柴田昭彦『詰将棋三十年』第99番 詰パラ1968.7
パラ150号の表紙を飾った作品。したがってリアルタイムでは解いていない。
筆者がパラ会員になったのは250号の少し前。そういえば250号の表紙も柴田昭彦氏だった。
13から22と潜られると絶望に見える。
そこでまずは13に逃がさないように攻めてみる。
14飛、同玉、16香、
イメージしているのは以下の手順
24玉、15角、13玉、33角成、14合、
同香、同玉、15飛まで
【妄想図】
そこで15に角を打たせないように玉方はここを埋めるために捨合をしてくる。
しかし12歩があるので歩合ができないから玉方もなかなか苦しい局面だ。
香・桂・銀・金・角・飛と考えてみて、これは角しかないとわかる。
15角、
同飛、
【失敗図】
つまり合駒を同飛ととったこの局面で香・桂・金・飛は1手詰なのだ。
残るは銀・角だが、銀だったら35角、同歩、25銀と綺麗に詰む。
そこで15の合駒は角と確定するのだが……これで困る。
この局面から1枚の角を別の駒に替えようと57角としても46歩合されてしまうし、42角は33香、同角成、同桂で桂馬が利いてきて香ではうまくいかない。
初形に戻して考え直そう。
【再掲図】
落ち着いて考え直してみると13玉を制する手がもう一つあることに気づいた。
42角、
先程、角を何かと交換してもらおうと考えた手だ。
しかし、42角は実戦的に13への逃げを押さえている。
13玉、31角成、22合、14飛、同玉、
15香、24玉、16桂まで
42角に33合でもかなり有望だ。
33合、25飛打、13玉、31角成、22合、
【変化図】
以下14香、同玉、15飛、24玉、16桂まで
この順を防ぐために玉方は33への合駒が決定する。
33角、
これで15飛に同角で凌ごうという訳だ。
26桂を決めてから13玉に15飛でも同角、同飛、24玉で際どく躱される。
33角合をさせた状態で、最初に考えた攻めを実行してみよう。
14飛、同玉、16香、
角が質に入っているので24玉なら33角成から15角が打てる。
ということはやはり15に捨合が必要だということだ。
15合、同香、24玉
【仮想図】
合駒は香・桂・銀・金・飛。
もし☗が銀以外ならば、どれも1手詰だ。
したがって15の合駒は銀と確定する。
15銀、
銀合は同香では詰まないので……
同飛、
同角の変化も確認しておこう。
同角、同角成、13玉、33馬、14合、
22銀まで
【変化図】
したがって
24玉、
つまり42角の効果は33角合とさせることによって相手の持駒から角を品切れにすることにあったのだ。
33角成、同桂、
【失敗図】と比較して持駒が「角角」から「角銀」に変わっていることが確認できる。
あとは気持ちよい収束だ。
35角、同歩、25銀、同桂、14飛まで15手詰
15香に角合をされては詰まないので42角、33角合と角合を品切れにしつつ、攻方は角をいつでも取り返せるという実に都合の良い初手42角の好手であった。
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