詰パラ1988.12の門脇芳雄「辛口詰棋時評」に詰将棋の解説について書かれている。
最近(1988年当時)の詰パラの解説について困った点をいくつかあげている。
手順の説明や変化の解説が少ない
例えば10月号解答発表の大学院の田島氏作品は4銀連合という構想作品であるが、なぜ4銀を連合するのか解説がない。変化も書いてない。これでは4銀連合の意味も面白さも判らぬ読者が少なくないと思う。
(中略)
解説はよく判った人を対象に書くのではなく、判っていない読者を対象に、親切に書く心構えでやって欲しい。
解答を送ってくれる人、短評を書いてくれる人は「よく判っている人」がほとんどですので、それを読んで解説を考えているとついつい手順の説明など必要ないかと思ってしまうのですね。
でも解説は解けなかった人のために書いてほしいものです。
担当者の意見がない
短くても担当者の意見なり解説があった方が良いと思う。
短評を選ぶ段階で自分の意見も反映されるので、わざわざ同じことを書くのはどうかなとなるのかもしれません。でも、短評だけ並べて自分は黙っているというのはやはりいただけませんね。
もっと困るのは無責任
担当者の中には忙しい人や、仕方なくやっている人もいるだろう。従って「辛口」といってもあまりキツイ批評は避けるが、気が付いた点を一、二。
最初の方で上のように書いているのに……
大学の場合はちょっとひどい。この担当者は作者としてはできる人らしいが、選者としては不適任のようだ。適任者と交代した方が良いと思う。
これが辛口でないなら、本気の辛口はどんなものになるのだろう?
怖いけど(自分に対してのものでないなら)ちょっと読んでみたい気持ちはあります。
(ちなみに当時の大学担当者は今でも元気に創作で活躍されています)
今さら、私が解説を担当することもないので、正解は分からないのですが――。一応、短いなから二回担当した(とはいえ、一回目はひど過ぎた。若かったとはいえ、読者の想定が、自分自身だったのは間違いない)者の思い出を。
結局、誰に対して書くのが正解何か、私には分かっていません。解答してくれた人に対してだと、変化や手順説明が少なくなるのは、仕方ないでしょう。特に、(最近は知りませんが)以前は長さが決まっていたので。変化を手厚く書くと、手順説明するスペースがなくなってしまいましたから。
その作品を解いていない人に向けて書くのが望ましいのかも、とも思いましたが、でも、これを解答募集した作品でやるのは、難しいと思っています。結局、どっちつかずの中途半端なものになってしまいそうで。
代わりに、担当者の意見を書くように頑張ったのですが、それも危険なもので、結局、投稿が全く増えなかったのは、作者に「この担当者に解説を書いてもらいたい」と思うものには全くなってなかったことを、認識しただけでした。
門脇さんだから書けたものかとは思いますが、今の読者にはどのようなものが望まれているのか……。