詰将棋入門(215) 好形の桂香図式

水上仁 詰パラ1997.4

「詰将棋つくってみた」の今月の課題が桂香図式なので、好形の桂香図式を取り上げて鑑賞することにする。

14飛打と13を塞いで32飛成とする手はある。
22金合、同龍、同玉、33角、同桂で手詰まりだ。
そもそも14飛が捌けそうにないのでこれは考慮外かも。

すると初手は横から飛車を打つしかなかろう。

32飛打、

間駒を考えることになるが、どうも「31と」は邪魔駒だと判る。
なければ22に何を合しても同飛成、同玉、31角、12玉、32飛成までだ。

と、いうことは22の間駒は頭に利かない角か桂と決まりそうだ。
例えば香合ならば……

   22香、同飛成、同玉、32と、12玉、
13香、

同桂でも同玉でも角打ちで決まる。
22桂合は13に打てないが……

   22桂、同飛成、同玉、32と、12玉、
22と、13玉、25桂、

32とのあと22とと邪魔駒消去を狙うが、躱す13玉に対して25桂で決まる。
22玉に31角だ。持駒が角だったら13玉で困る。
ということで、2手目は角合に決定だ。

   22角、

角合の場合は32とでは行き止まりなのでその前に手を変える必要がある。

同飛成、同玉、55角、

なにか別の駒をくださいという55角が好手だ。
44に間駒するのは角以外だから同角で良い。
しかし、33に間駒されそうで打ち難い。

   33歩、

これで困ってしまいそうに見える。
しかし巧い手があった。

21と、同玉、32角、

33をカバーしている21桂をはずしてしまえば33合は根拠を失って単なる質駒に化すというわけだ。

   31玉、41角成、21玉、32馬、12玉、
23馬、同玉、33角成、

抵抗虚しく上図となればあとは簡単だ。
32角を同金と取ろうと33金合しても、同角成、同桂、32金で早く詰むだけ。

そこで55角には……

   12玉、

間駒せずによるのが最善の応手となる。
実戦だったら諦めてしまう局面。
詰将棋は詰むということが分かっているので攻めることができる。

11角成、同玉、14香、

これしか手がないのだが、指してみれば(?)なんとも巧い手だ。
よくみれば12に間駒ができない。

   12歩合、22角、同玉、32飛成、11玉、21と迄

12に間駒ができないのなら、13に間駒するしかないということだ。
しかも、13同香生に同桂とは取れない。
なぜなら、

   13歩、同香生、同桂、33角、

これで終わっている。
12玉に、22角成から飛車をなれば良い。

ということは13間駒、同香生、12間駒という連合になるのか?
13の間駒を決めていこう。
まずは歩歩で考えてみる。

   13歩、同香不成、12歩、

このように進めてみると、13の間駒に頭に利く駒はできなさそうだとわかる。

21と、同玉、22歩、

ここで22を叩くことができるからだ。
以下、同玉、31角、11玉、12香成、同玉、32飛成だ。

この22歩を取れるように12金合としても、

   13歩、同香不成、12金、同香成、同玉、13歩、

今度は13歩と叩ける。同玉なら14金と抑えて32飛成だ。

ということは13の間駒は桂か角。

   13桂、

これを同香不成では12桂合で……これは詰みそうにない。
13が埋まっているのだから22角を玉は取れない。

22角、12玉、

ここまで進めば、13の間駒は角ではなく桂正解だったとわかる。
もし、角ならば13香成、同桂、21角だ。

13香成、同桂、同角成、同玉、25桂、

それでも全部精算して25桂と打てる。
これでもう玉は鍋に入ったといえるだろう。

   12玉、32飛成、22飛、

21龍があるから飛合か金合だ。
金合は2手早い。

同龍、同玉、34桂、31玉、51飛、32玉、
41飛成まで27手詰。

それにしてもほれぼれするような初形。
手順も桂香がいずれも捌け文句なし。

筆者は桂香図式は苦手なのだが、これくらいスッキリした図ならば解こうという気になる。

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