2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。
選題の言葉 (2010.10)
谷川浩司 単なる煙詰では今は評価されませんからね。
慥かに資本主義社会において物を売ろうとするならば、色々な肩書きがあった方が有利だ。三ツ星レストランに観光客は殺到する。
双玉煙、周辺巡煙、無防備煙、七種合煙と煙詰の肩書きも増える一方だ。。「全駒市松七種合煙の1号局で最長手数さらに看寿賞受賞作です」といわれれば、どんな素人でも凄いと判る。
では単なる煙詰は本当に評価されないのだろうか。
心配無用だろう。パラ読者は観光客でも素人でもない。肩書きの有無でなく、自らの感覚で良い物は良いと判断する気概を持っている筈だ。
安武翔太「落葉」 詰パラ2010.10
72飛成、同玉、73歩成、同玉、63歩成、同香、
84馬、72玉、82歩成、同玉、74桂、72玉、
62桂成、81玉、82歩、同玉、92香成、同歩、
93歩成、同歩、同馬、73玉、74歩、同玉、
84馬、64玉、63成桂、同玉、53と、72玉、
☆74歩が最初の好手。ここで63圭と行きたくなるが、同玉、53と、同玉、54と、52玉で93馬が遠く不詰。1歩消費して84馬の形にする。
☆53とに一旦72玉とごねるのが最初の陥穽。62とで詰みそうに見えるのが変化と即断させたか。ここでの誤解者2名。
63と、同玉、54と、52玉、43歩成、イ同龍、
同と、同玉、44歩、同銀、42飛、同銀、
同桂成、同玉、
イ61玉は83馬、72飛、73桂、51玉、53香、52歩、42桂成、同銀引、52と以下
☆飛車を精算し、44歩、同銀、42飛とさらに精算する辺り、変化や紛れも多く心細い。この作者は飛車を主役に攻めを組み立てないと決めうちすれば、42飛にも躊躇はなかったかもしれないが。
須川卓二 龍をほとんど使わない手順で独特の雰囲気を感じられる。42飛の前後が不詰感が漂い苦労した。
34桂、ロ43玉、54銀、34玉、X45と、同銀、
同銀、同玉、46香、55玉、56銀、同金、
同と、ニ同玉、66金、同と、同馬、46玉、
47と、同玉、57馬、37玉、27と、同金、
ロ52玉は44桂以下
ロ53玉は54銀以下
ロ33玉は51馬以下
ロ32玉は44桂以下
ロ31玉は42銀以下
X 45銀でも可
ニ54玉は65と、同玉、75馬、55玉、45金以下
☆変化ロには腰を落ち着けて取り組むしかない。誤解者を産んだのはニの変化だ。この変化には別詰もあり、誤解者1名。
☆93にいた馬が57まで引きつけられ、いよいよ収束。
永島勝利 収束格好良いです。29金～39馬には痺れます。またその前の17角も48角がみえるだけに盲点でした。
野口賢治 周辺をクリアーにしながら突き進む砕氷船のようで気持ちがよい。収束手順はそのまま1局になりそうで鮮やか。
☆ここから挑戦しても楽しめます。
46銀、ホ36玉、27銀、同玉、38金、26玉、
35銀、ヘ25玉、26歩、同金、15金、同玉、
26銀、同玉、17角、15玉、16歩、同玉、
26金、17玉、27金引、18玉、28金引、
19玉、29金、同玉、39馬、19玉、28馬まで97手詰
ホ26玉は27銀、同玉、38金、26玉、48馬以下
ヘ36玉は46馬、25玉、26歩、同金、15金、同玉、26銀、同玉、48角以下
☆38金そして17角と好手を散りばめ、見事詰上がる。
池田俊哉 馬・角主役で、中段玉を追い回していく。趣向でない分じっくり手順を読まされる感じ、そのためか手数の割には重量感がある。序から活躍した馬がそのまま生き残ってとどめをさすのはかえってユーモラスな感じ。
鈴木彊 天の川銀河の星々が時には流れ星のように、また夜明けを前に１つまた１つと消えていく宇宙の彼方の星々の物語を連想させてくれました。素晴らしい煙詰でした。
凡骨生 落ち葉を掃き集める如く見事に掃除していく。
和田登 きびきびした手の連続で気持良い煙詰
作者 煙詰です。82手目の局面あたりから地道に逆算しました。本当に「ただ単に煙るだけ」の作品で何も特長のない作品ですが、「やさしい大学院」あたりで使っていただければ嬉しいです。
武田静山 煙詰は内容がどうあっても解いた感動は格別のものがある。
斎藤博久 最後まで緩みのない手の連続。
加賀孝志 スッキリとまとまりのある煙。二枚の馬の連携が心地好い。
今川健一 単なる煙詰は本当に評価されないか？この安武作品の評価は？でしょうね。先ずは初形の駒配置に注目、不自然な成駒なし。続いて詰手順、趣向、伏線等は入っていないが、巧みに駒が消えて行く。以上を考慮して、これまでの煙詰と比較しての私の評価は中の上、Ｂ。
竹中健一 途中がちょっと難しかった。見た目で67とをどうやって消すのか？と思ったが、上部に出てきて納得…。
☆A18、B3、Cなし。平均2.86でした。
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