高木秀次『千早城』に登る(18)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第18番 詰パラ 1957.9

今回も図面の入力にミスがあって、しばし悩んだことは……もう飽きたと思うので黙っておこう。(??)

桂馬が3枚もある。これを趣向的に捨てるのだろうか。
44~74あたりに捨て所はたくさんありそうだ。84桂,同金と質駒にする筋だってありそうだ。

初手は銀成だろう。まずは平凡に左に成ってみよう。

72銀成、同銀、71角、52玉、64桂、同歩、

63角、同銀、61角という筋を視ていたのだが、どうも角は3枚は存在しない。
視ていたのは亡霊だったようだ。

今度は逆に右に成ってみる。

52銀成、同玉、64桂、

この桂が撮れないのではないだろうか。まだ角が2枚残っている。
取れば63角から簡単に詰みそうだ。
かといって62玉では51角から簡単そうだ……と思いきや簡単ではなかった。

   62玉、51角、同玉、43桂打、

この43桂打になかなか気づかず苦戦した。同となら同桂生、62玉、51角、61玉、62歩がある。

   62玉、32龍、

とわかれば62玉と逃げても一歩あればいいのだから32龍はすぐに見えた。
アレ?でもこれ変化だね。

ということで3手目の64桂は同歩と取れるらしい。
同歩ならば簡単に詰むと思っていたが、実際にはそうではなかった。

(64桂、)同歩、63角、62玉、51角、61玉、

1歩あれば簡単に詰むのは間違いなかったが、手駒は桂馬ばかり。

ここでズルい考え方をする。

同歩の順が作意だとしたら63角といった俗手はありえない。

それならば61角だが……。
ここでちょっと閃いて次の2手を入れておいた。

44桂、同と、

これはなんというかこの段階ではタダの勘。
でも後で正解だとわかったのだった。

61角、51玉、63桂打、62玉、51角、61玉、
71と、52玉、61銀まで

ということで、これも変化。
61角には62玉と逃げるのが正解のようだ。

61角、62玉、

この形になったら3連続捨駒の筋が見える。
そしてやはり44を埋めておいて正解だったと判るので、これが本筋だと自信が付く。

54桂、同歩、42龍、同銀、63桂成、

同玉に41角をみている。
これは取れない。
でも、もう収束のようだ。

   61玉、71と、同玉、72銀、82玉、
71角、92玉、93角成、

やはり終わりだ。

   同玉、84金、92玉、83金、91玉、
81銀成、同玉、72圭、91玉、82圭まで31手詰。

31手詰を支えるにはメインの3連続捨駒だけでは弱いのではないか?
……とも思ったが、それはこちらが考えた順番の問題で、並べ直してみたら初手から怒濤の7連続捨駒だった。
61角は取れないと思っていたので捨駒に数えていなかったのだ。
それなら高木秀次作品としての水準は充たしているというべきだろうか。
個人的には思考の飛躍を必要としないので、ちょっと不満が残るのだが。

発表時の解説を探してみたら、鳥越九郎・山中龍雄を抑えて首位を獲得していた。

なお33とは金にすると余詰になる。

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