長編詰将棋の世界(21) 単なる煙詰!

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

添川公司「胡蝶蘭」 詰パラ2010.10

棋譜ファイル

31桂成、11玉、21成桂、同玉、32金、11玉、
22金、同玉、52飛成、11玉、12龍、同玉、

32桂合は33と、11玉、41龍、21金、同龍、同玉、22金まで
A 23と、同玉、24と、同玉、43歩成、34歩、同飛、同玉、33桂成、24玉、25歩、13玉、14歩、同玉、15と、同玉、18飛、25玉で不詰

☆紛れAをご覧になれば12香を処理しないと先に進まないことがわかる。そこで9手目52飛成だ。

14香、21玉、22歩、31玉、42銀成、同玉、
54桂、31玉、42桂成、同玉、43歩成、31玉、
21歩成、同玉、12香成、31玉、22成香、同玉、
23と、同玉、33と、12玉、13桂成、同玉、
14と、同玉、15と、13玉、14と、同玉、
18飛、24玉、15馬、35玉、

B 23とは同玉、24香、…18飛、24玉、15馬、35玉で不詰
B 13香も可
C 43歩成は63手目66と引ができず不詰。

☆今度こそ23とだと紛れBで次の途中図と似た局面になるが不詰。44歩を33とと活躍させるために一旦14香と打ち追い戻す必要がある。

☆また54桂から42桂成と盤面の66桂を消去して置くのが、深謀遠慮の伏線。効果がでてくるのは40手後だ。

永島勝利 66の桂が邪魔駒とは!気付いてからもそれなりに悩みました。解いた後の達成感の良さで評価も上がります。
野口賢治 はるか数十手先のために66桂を消しておく伏線手はウッカリしそう。久しぶりの難解煙。
今川健一 無理のない初形から66桂を消しておく伏線が現れる。消えるだけでは満足しないベテラン解答者も、これで大満足。

☆打った歩香を次々に成り捨て、さらに桂馬が跳び込み2枚のと金を押し出していく所は実に快感。

☆気持ちよすぎて12香成を同玉と取ってしまった方が4名も。

34と、同玉、46桂、同と、35歩、同玉、
36歩、同と、同金、同玉、38飛、46玉、
37馬、57玉、56と、同玉、66と引、同金、
同と、同玉、67歩、同玉、69香、77玉、
55馬、87玉、88飛、96玉、87金、85玉、
86金、同金、同飛、同玉、

23玉は24香、32玉、14馬、31玉、32馬以下
43玉は54と、32玉、34香、41玉、42馬以下
66と寄も可
65とは同玉、68香、67歩、同香、56玉、66金、57玉で不詰
77玉は55馬、67玉、78金、76玉、65馬、85玉、86歩、94玉、84と、同玉、75角、94玉、83馬以下
76玉は66馬、85玉、86歩、同金、75馬、94玉、84と、同銀、83角以下

☆33とを残した成果で34と、同玉、46桂と攻めが継続する。変化とばしもできる所だが、ロの変化は鑑賞しておいて欲しい所だ。

☆X66とができるのが、先に66桂を消去しておいた成果。

☆65との紛れDをくぐり抜け、変化が多い77歩から69香と打つのが中盤の難所。

☆変化ハは香を温存して55馬といけるので読み飛ばした方も多いかもしれない。変化ニで87歩の存在意義を確認しておいて貰おう。

某氏 69香が打ちにくい。この消えそうもない香が最後に大きく働いて解後感をより高めている。

☆誤解した方の短評は名前を伏せてみた。変かな。

75角、87玉、88金、96玉、97金、85玉、
86金、94玉、84と、同銀、95歩、同銀、
同金、同玉、77馬、94玉、95銀、83玉、
84銀、82玉、81と、同玉、71香成、同銀、
72歩成、91玉、92歩、同玉、93銀成、91玉、
82成銀、同銀、同と、同玉、

76玉、77金も可
93玉は84角、82玉、81と、92玉、93銀、81玉、71香成、同銀、72歩成以下
85玉は86馬、94玉、85銀、83玉、74と以下
82とも可

☆誤解者を産んだのは変化チ。85玉と逃げ86馬以下作意順で詰ませてしまった。この変別に陥った方4名。

☆さて、いよいよ収束。ここからでも是非挑戦を。

73と、同玉、95馬、82玉、64角、93玉、
82銀、92玉、81銀不成、同玉、72銀成、同玉、
73馬、71玉、53角成、81玉、71馬、同玉、
62香成、81玉、72成香、92玉、82馬まで137手詰

☆収束は2枚角が乱舞する鮮やかな幕切れ。しかし、ここまできて64角に92玉と逃げ、2手短く詰めてしまった方が3人。

作者 53角成以下の9手が煙詰で一度やってみたかった収束。易しい作。

斎藤博久 作者の煙では今までで一番手応えのある手順。
和田登 すばらしい。ため息が出る芸術的な駒捌き
池田俊哉 序から中盤が難しい。66桂の消去はひらめくところだが、33とを残すように攻めるところから、69香を打つ辺りまでが細かい変化、紛れを含んでやっかい。選題の言葉通り、一般向けする派手さはないが、自陣成駒なしの美しい初型から読みがたっぷり必要な手順まで、作者お気に入りの作品かと。
小川千佳夫 随所に細かい味があり、落とし穴が一杯。もしかしたら落ちてしまったかという不安を抱えて解答します。
某氏 馬鋸や龍鋸が無くてこの手数というのは何気に凄いことだと思う。収束も目新しい感じがしました。

詰上がり図

☆結局誤無解合わせて18名。正解の9名は全員A評価の3点満点を達成した。

総評

永島勝利 「単なる煙詰」とは、内容面も含んだ意味と解釈すれば、頷ける話です。「感動」のある作品に付加価値を感じます。
国兼秀旗 「捌きの究極」としての煙詰はそれだけで解後感はよいと思います。難解さが加われば更によしです。谷川先生の難解煙、期待したいです。
☆同感!谷川先生、投稿待っています。

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