今回amazon-kindleのオンデマンド出版サービスを利用してみた。結論から言って、このサービスを利用すれば作品集を出版するハードルは、また一段と下がったといえる。このサービスの報告だけしようと思ったが、この際ある程度まとめて「作品集制作のススメ」を書いておくことにする。
前回までに、amazon-kindleのオンデマンド出版で「著者用コピー」を利用することで208頁ある『詰将棋つくってみた2021』が1冊当たり682円で必要部数だけ作れるということを書いた。
次の問題は、どうやって版下を作るかということだろう。詰将棋の図面はあっち向きとこっち向きの駒があるので小説や随筆、自分史の本を出版するよりちとハードルが高い。
「一太郎」を使う
ワープロソフト「一太郎」は国語の先生に人気のソフトだ。職場が「WORD」に統一されても、こっそり持ち込んでお陰でいろいろ不具合が起こって困ったのは昔の思い出。
私自身は「一太郎」を使っていたのは主にver.3まで、ver.4も少し触ったが\(TeX\)を覚えるために背水の陣を引いて削除した。なので現在の「一太郎」については何も知らない。
しかし『四百人一局集』は岡本眞一郎氏により「一太郎」で組版されたらしいから、図面の作成も可能なのだろう。また、聞いた話だが、山田修司氏も『夢の華』を作成するために「一太郎」から柿木将棋のファイルを読み込めるようにしたそうだ。それなら図面の誤植の心配もない。「一太郎」遣いの方は山田修司氏に連絡をとってみるといいだろう。
「Excel」を使う
「Excel」だったら、私も必要に迫られて使うようになったのである程度わかる。以前、簡単なマクロを公開した。今でも【倉庫】に置いてあるので使ってみて、改良してほしい。
「かんたん棋書エディタ」を使う
これもちょっと試してみただけなので自信を持ってお薦めすることはできないが、非常に便利だ。
柿木ファイルから貼付けられるところが素晴らしい。htmlで出力されるのでKindleで出版するのにも便利かもしれない。
どなたかこちらで本を作ってみてレポートをしてくれることを期待する。
\(\LaTeX\)を使う
つみき書店の本は\(\LaTeX\)で組版されている。この方法については\(\LaTeX\)による詰棋書の組版という連載で解説した。
解説を書いている途中で少しずつ変わっているところもあるので申し訳ないが、それでも通読すると理解して使えるようになると思う。
「InDesign」を使う
今ほとんどの出版物は「InDesign」というソフトで組版されているようだ。実際にマイナビの棋書やJCPSのParadise Booksは「InDsign」で組版されている。
つみき書店も縦書きの作品集を作りたいという要望に応えるために「InDesign」を導入した。『暁将棋部屋 第6号』は「InDesign」での組版だ。
問題は「InDesign」は\(\LaTeX\)と異なり、有料のソフトだということだ。しかも買取り方式ではなくサブスクなので毎年 28,776円かかる。
これも又聞きだが、柿木ファイルから取り込むしくみを若島正氏は作成しているらしい。興味ある方は問い合わせてみると良いだろう。私も『詰将棋年鑑』のために柿木ファイルから「InDesign」に貼込むためにexcelファイルに変換する簡単なAWKスクリプトは書いた。(何処かにあるはず)
つみき書店に依頼する
作品集を作るのに肝腎なのは作品とその解説。組版のために時間をかけたり新しいことを勉強したりというのは勿体ない。それだったらその時間を作品の推敲と解説の執筆に当てたいという方は、つみき書店に組版を依頼してください。
- 柿木ファイルに図面と書誌事項が入力されている。
- 解説原稿はデータになっている。
- 横書きで\(\LaTeX\)で組版。
でしたら激安で請けおいます。
- 柿木ファイルに図面と書誌事項が入力されている。
- 解説原稿はデータになっている。
- 縦書きでInDesignで組版。
の場合は500円/頁で請けおいます。
最後は宣伝になってしまった。当初はそのつもりではなかったのだが、書いていてやはり組版はなんだかんだいって面倒だなと思った。そこや、装丁に凝りたい方はいらっしゃるだろうが。
つみき書店設立の第一の目的は詰棋書の発行、流通は第二だ。価格も相談に応じますのでよろしくお願いします。今のところ、来年の仕事の予定は『暁将棋部屋 第7号』と『古図式趣向詰選集』しか入っていないので、まだまだ余裕あります。