詰将棋つくってみた(104) 課題23:ミニ煙

課題23:詰上り盤面3枚になる詰将棋を作ってください。

「初形条件:盤面39枚+終局条件:盤面3枚」がいわゆる煙詰という条件作です。
今回はこの終局条件だけを充たす作品を募集します。

詰将棋入門–実践編という影のタイトルを持つ「詰将棋つくってみた」の企画ですが、このところ創作の切掛となるテーマだけでなく、創作技法も毎月変えるように心がけています。今月は課題20清涼詰の系列で「逆算」の技術を必要とする課題になっています。そこで逆算に関しては当節一流と誰もが認めるJudgeをお迎えしています。奮って作品を寄せてください。

勿論、さまざまな作り方を習得する必要はまったくなく、自分が作りたいテーマに合った作り方を極めればよいのです。でも、所詮は遊びですから、いろいろ試してみるのも悪いことではないでしょう。

  • 手数制限はありません。
  • 未発表作に限ります。
  • 投稿先はkazemidori+kadai@gmail.com
  • 締切は10月30日(日)
  • Judgeは芹田修さんです

例題1 風みどり

正解
21飛成、同玉、31香成、同玉、23桂不成、41玉、
42銀、同玉、33銀、51玉、62角成、41玉、
31桂成、同玉、53馬引、同銀、同馬、21玉、
31馬、同玉、32銀打まで21手詰

毎回速成の例題で恥ずかしいのですが、今回は初手ぐらい捨駒にしたくて、そのために駒取り2連続というよけいみっともない手順になりました。悪い見本としてください。
しかも考えてみたらこの詰上りは小川悦勇さんに決定版があったではないですか。この冬に完成予定の『雨滴』書籍版をよろしくお願いいたします。

例題2 風みどり

正解
13桂、12玉、33角成、13玉、12龍、同玉、
22馬まで7手詰

ということで、短くピリッとまとめようと再挑戦。無防備図式の7手詰です。
終局条件のみですから、初形に持駒があってもまったく問題ありません。

例題3 風みどり

正解
14金、同玉、13桂成、同玉、12桂成、同玉、
11桂成、同玉、12歩、同玉、13歩、同玉、
14歩、同玉、15歩、同玉、16歩、同玉、
17歩、同玉、18香、同龍、同金、同玉、
19飛打まで25手詰

いかにも煙詰の収束のような歩をたくさん消費するのんびりした手順。

上級者の方にはこのような作品は期待していません(煙にしてください)が、創作経験少ない方はもちろんこの水準でOKです!(最近、レベルが上がりすぎているので、むしろ歓迎します(^^;;)

さて、風みどりのショボい例題はこれくらいにして、ここからは中級・上級者向けの例題。
ミニ煙といって筆者がまず思い浮かべるのは次の2局です。

若島正『盤上のファンタジア』第68番 詰パラ1988.5

解答は末尾に動く将棋盤で。

この素材は酒井克彦にもありますが、あちらが〇〇銀が邪魔駒なのに対し、こちらは〇〇銀が邪魔駒。しかも消去するのに銀1枚を消費するという無防備玉なのになぜ成立するのか奇蹟としか思えない傑作です。欠点は序盤が変化・紛れが多くて一般人には難解すぎること。6手すすめたところから考えるのもアリだと思います。

この作品を仮に煙詰まで逆算できたとして(なんか1作記憶に引っかかる作品がありますが、その作品を揶揄する気持はありません)果たして作品の価値は上がるでしょうか。
煙詰を100作も並べていると(特に昔の作品)では中盤の似たような手順や、歩を消費するためだけのだらけた手順に飽きてくることがあります。

創作の途中で、物凄く巧い手順が見つかったのだけれど、それを採用すると残りの駒を配置する場所がなくなる……といった理由でその手順を没にすることはないのでしょうか?条件作を作っているのだからそれは仕方ないことなのでしょうか。
まぁ、こんなことを感じるのは、筆者があまり条件作が好みでないからかもしれませんが。

巨椋鴻之介「風立ちぬ」『禁じられた遊び』第36番 近将1959.11

初手から延々と続く美しい手順にまず唖然とさせられます。
作意では15角、変化では35角と捨てる対比も見事です。
33銀と打ったこの銀が22、31と動き42銀成と捨てられる活躍と44金と打ったこの金が43,52を経て62で捨てられる活躍を見せるのと対になっています。

作者も次のように書いています。

本局で私がとりわけ心がけたのは、物々交換を避けた無理のない動きと、駒の機能度や効率である。充分な消去感を与えるだけの駒数は欲しかったが、この条件さえ満たされればむしろ駒数を減らし、一つの駒が何度も動いてから消えるようにした。
(中略)
右上隅から左方へ移動するツナギの部分にしても、左隅での収束を一つ見つけるたびに現れる種々の案のうち、結局は最も簡潔なものを選んだのである。

さて、例題はこれくらいにしておきましょう。

ちなみに山田康平「セブン・センシズ」を選ばなかったのは意図的なものです。
逆算の終わりとしてなんらかの初形条件と結びつけるのはわかりやすい目標ですが、そういったものを取っ払った先にミニ煙はもっと面白いものを見られるのではないかと期待しているからでした。


若島正『盤上のファンタジア』第68番 詰パラ1988.5

巨椋鴻之介「風立ちぬ」『禁じられた遊び』第36番 近将1959.11


「未発表作」とあるけれどtwitterで流した作品はダメですかと質問がありました。
昨今はtwitterも既発表とする風潮ですが、つみき書店はそんなに厳しくしても仕方ないのでインプレッション3桁まではOKとします。(1000を超えていたら既発表扱い)

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