小西逸生『青玉』第82番 将棋世界1965.12
こんな感じかな……で詰んでしまったのだが、人によっては難解作かもしれない。
持駒に飛車2枚あるときは「サンドウィッチ手筋」を意識する。
しかし本作で初手から12飛はありえない。実際33玉で24,44への逃亡が阻止できない。
そもそもサンドウィッチ手筋は伝家の宝刀として変化に使うものだ。
というわけで初手は平凡に
41角、
33玉が作意だろう。が、まずは変化から潰していこう。
22玉は……
22玉、23飛、11玉、12飛、同玉、
24桂、
【変化図】
以下11玉に飛車を切って32角成~23桂まで。
ん?32飛、13玉、23飛もあるか。
あ、22玉には42飛で簡単だ。こういう手は苦手。
ともあれ作意は
33玉、
となれば3手目はこれしかない。
42馬、
24玉が阻止できるのは判るが、44玉は?
44玉、53馬、
これで捕まっている。……はずだ。
同玉は……
同玉、54飛、43玉、63飛、
【変化図】
55玉と大海に飛び出しそうになったら……ここでこそサンドウィッチ伯爵の出番だ。
55玉、57飛、
【変化図】
通常のサンドウィッチだと2枚目に飛車は成れるのが普通だ。本作は2枚目は54飛だから成れないが、その代わりに74角成などの追撃がある。65玉には77桂で3手詰。
これで4手目は決まる。
同玉、
次の手は平凡に行くよりあるまい。
32飛、
53と43が考えられるがまっすぐ44を目指すのはまず失敗の筈。
43玉、42飛打、53玉、63角成、
【変化図】
53玉から44玉とジグザグに逃げるのが正解だ。
53玉
今度は63角成では、44玉から35へ逃げられる。
ということは持駒にの飛桂を使って35を埋めれば良いと云うことだ。
54飛、43玉、35桂、同歩、53飛成、
同玉、63角成、
同玉、62飛成まで15手詰
最後は大駒2連捌き捨て、それも手順で打った駒だから気持ちよさは倍増だ。
配置も広がっているようだが攻方の駒で詰上りに遊んでいる駒は皆無だ。
見事な作品だと思うが筆者にはちょっと不満が残った。
それは巧く表現できないのだが、氏のテクニックだけでまとめた作品という印象を受けてしまうのだ。
スランプのときの創作なのではないだろうか。なんとなくなのだが……。