湯村光造 近代将棋1950.11
一見初心者向きの5手詰のようだが……。
19玉、38金で持駒に角がある。
これは遠くから角を打つ形だ。
ところが46龍が73角を阻害している。
16龍、
49龍、29飛、同龍、同玉、39飛、18玉、19飛……という筋も良くあるが、本作は49香があり縦には龍を捌けない。したがって16龍と横に捌く一手だ。
同香、73角、
これで角を成れば終了。
……というのが、実は罠なのだ。
(16龍、) 17金、
【失敗図】
この限定間駒で痺れている。
同龍は同香成で守りが堅い。
73角でも29玉で28角成、同金だ。
実は初手から間違っていたのだ。
正解は……。
37角、
平凡な37角!
見事に裏をかかれた。
18玉、28金、19玉、29金、
同玉、26龍、38玉、28龍、49玉、
48龍まで11手詰。
【誤解図】
龍切りと見せかけて、実は平凡に龍を活用する順が正解か。これはしてやられたな……と納得してしまったら、まだ作者の罠から抜け出せていない。
28歩、
28金を拒否して、2手目は28歩の間駒が正解だ。
同角、29玉、39金、18玉、
18玉では19歩から3手詰だから29玉と逃げる。
……26龍を拒否してと書くべきだったか。
38金、
攻方の好手は38金の一手だけだ。
同玉、37龍、49玉、39龍まで13手詰。
筆者は傑作だと思うが、『Limit7』には収録されなかった。
たぶん理由は攻方の好手が少なかったからだろう。
同じ作者による兄弟作がある。
こちらは中合を作意にした23手詰。
こちらも双方に邪魔駒消去が登場する面白い作品だ。