詰将棋創作チョー入門(35) 第4回三手詰祭:結果発表(その5)

つづきです!

第41問 風みどり

正解 37馬、同龍、87銀まで3手詰

96銀は85か87で開き王手をするしかありません。それでは六段目にある龍の利きで塞がれてしまうので、龍を動かすという仕組みです。しかし原理的に先に銀で開き王手をして96歩合とさせてから37馬とすれば同龍の後に96香で詰んでしまいます。この手順前後を解消するために88王にお出まし願いました。33番もおなじような理屈ですね。★

     negitarou 8七銀で自玉をガード!
     占魚亭 合駒阻止の利き逸らし。
     keima82 逆王手を食わない唯一の順。
     奥鳥羽生 遠巻きの 飛び道具攻め 功奏す
     まつきち 舞台は大がかりですが、詰め上げた印象はこぢんまり。最終手銀の動きが渋いから?

攻めが99香のみなので単調だからでしょうね。

第42問 奥鳥羽生

正解 47飛、35玉、38飛まで3手詰

47飛が「決まった!」という限定打。同銀なら55飛で駒余り。46合は同銀で駒余り。49飛ではなぜダメなのかもちゃんと解答者に伝わっています。これが作者の喜びです。★★

     negitarou 初手・4九飛は「4八歩合」で凌ぎます。
     keima82 相変わらず打点限定の問題がお上手ですね。
     占魚亭 初手限定打。最終手のために48地点に触れないようにする。
     まつきち 49飛の紛れを読んで欲しい(笑)。山修の99飛のミニ縦版?

山修の99飛……歳とったせいかピンときません。もしかして山本民雄?

第43問 negitarou

正解 38香、37合、48桂まで3手詰

作意の設定にご意見多数(^^; 確かにこれでは解答者も左辺の飛角もスカッとしません。

     ぎょうざパン 2手目取る変化が面白いですね。
     奥鳥羽生 炭小屋に 隠る吉良殿 見つけたり
     占魚亭 2手目同桂成を作意にしたいところ。
     まつきち ちょっともったいない表現。59角で締めくくりたい。(一段上に上げて桂を置き駒にするとか、ただし変同です)
     keima82 変化が☗59角で詰んで☗64角で詰まないのはとても良いですが、これが変化に埋もれてしまい、作意が平凡になってしまって非常にもったいないです。なんとかして☗59角の方を作意にできないものでしょうか。

単純ですがこんな案は如何でしょうか。

第44問 シナトラ

正解
26金、同歩、23銀成まで3手詰
   同銀、23銀不成まで3手詰

星5つを集めて大好評。変同利用ツインと分類される作品です。2手目の応手によって23銀の成|不成が変化するという面白さ。易しくて・面白い理想の三手詰ですね。★★★★★

     奥鳥羽生 二化けや 変幻自在 銀之丞
     ぎょうざパン 2手目の取り方で成生が変わるんですね。
     keima82 玉方の応手に応じて銀が成か不成で分岐。
     占魚亭 利きを通す角の違いで銀の成・生が変化。
     まつきち 2手目同銀には生という、成生の対比が面白い
     松崎一郎 応手により銀の対応が異なる(成、不成)のが面白い。

第45問 井頭桜花

正解 13角成、同玉、33飛成まで3手詰

初手33角成だと13玉と逃げられてこの33馬が邪魔になり詰みません。この紛れを読んでもらえないと作者は辛いのですが13に捨てたくなる形ですね~。形ももう少し整理できそうです。

     まつきち これは少々底が浅い印象。
     占魚亭 受方36飛を働かせない。
     keima82 配置から作意がわかってしまいました。
     奥鳥羽生 身を捨てて 邪魔はしません おゆきかな

第46問 keima82

正解 38飛、同と、18角まで3手詰

本作も星を5つも集める大好評でした。18角と引きたい形なので18飛を捌きたいのですがさて38か15かの二択。同銀の一手の15飛を選びたくなりますが、24が開いて失敗。38飛は25玉の変化があります。こちらは34角の両王手でこれも気持の良い変化です。初手63角成にどう逃れるかという楽しみもあります。★★★★★

作者 初手☗63角成は非常に危ないが☖45香合で大丈夫と柿木様は言っています。2手目☖36合は☗同角の時合い効かずで同手数駒余り。☗18飛車は邪魔駒。1手詰作品(詰将棋メーカー掲載の自作)の逆算。

     占魚亭 深慮遠謀の邪魔駒消去。
     山城正樹 18飛が邪魔駒なんですね
     ぎょうざパン 18の飛は邪魔駒だった。
     松崎一郎 18飛は邪魔駒だったのかあ。
     まつきち 15飛の紛れが作意を引き立てる。
     奥鳥羽生 おいとまは どちらの扉 使いましょ
     negitarou 角を1八に逃がしたい。初手は、逃げ場所を確保するための一手。
     keima82 自作。元々は☗18飛と☖39とがない1手詰作品として創作したものですが、18の地点を埋めれば邪魔駒消去問題にできると気付きました。

第47問 negitarou

正解 49龍、39歩成、56馬まで3手詰

初手がおよそ詰将棋らしからぬ平凡な王手。

     ぎょうざパン 金合で不詰と思ったら品切れだった
     keima82 「3手じゃ詰まないなあ、5手で駒が余るなあ」と思っていたら、まさかの売り切れ! ☖57金は合駒制限駒。☖17金と配置したら意味のある駒にならないですかね?
     占魚亭 金を種切れにした理由に納得。

39銀合なら38龍までなので普通は39金|飛合となります。keima82さんの短評は以下56馬、28合、38馬まで駒余り5手という意味です。ところが飛車も金もすべて盤面に出払っていたということでした。
そのため応手は39歩成がforcedになり38が開いたので56馬までの両王手で罪ということでした。

     奥鳥羽生 馬の道 龍の剛力 こじ開ける
     まつきち 金の切れ目が…。龍は44あたりに置きたいのですが。

奥鳥羽生さんは38を空ける狙いと受け取り、まつきちさんはそれだったら45龍の初期配置では馬が56に走る邪魔駒になっている。つまり初手の39龍は38を空ける目的と邪魔駒を捌く目的の一石二鳥の手になってしまう。普通の将棋では一石二鳥の手は好手なのですが、詰将棋は不思議なことに狙いが濁ってしまうということか歓迎されません。44龍と置きたいというのはそのような意味です。ただしこの図のままでは44龍の配置では、初手から56馬でも、また18金を狙って45馬でも詰んでしまうので、作者は45龍と配置したのでしょう。

第48問 keima82

正解 34龍、36龍、66馬まで3手詰

攻方44龍が邪魔駒になっています。なければ66馬までの一手詰です。一方で玉方にも邪魔駒があります。45銀です。なければ67角で12王を捕らえて勝ち。そこで攻方は45銀を移動合で捨てることができないようにわざと銀の利きに34龍とします。(36銀とされても67角の利きを塞いでいる)同銀では66馬で駒余りとなるので(どうせ1手詰なのですが)36龍と逃げるのが正解になります。緊張感ある応酬の三手詰でした。★★

     まつきち 豪快な応酬
     占魚亭 35龍には36銀で痺れる。
     ぎょうざパン 角筋を注意しながらの攻防が面白い
     奥鳥羽生 そっと寄り 誘いに乗らず 角封じ

作者 初手☗35竜は☖36銀が逆王手。2手目正解手以外は☗66馬で駒余り。3手目☗同竜は☖同銀が逆王手。

第49問 松θ拓矢

正解 13銀、同玉、26桂まで3手詰

作者 玉を移動させてトリプルピンメイト。

ピンメイトとは守り駒がいるようで実は動けないので役に立たず詰んでいるという状況のことです。チェスプロブレムでは珍重されているのでしょうか?
本作、詰上がりは2筋の3枚の守備駒を3筋の3枚の飛車角が無効化しているのですが、初手に26桂と刎ねてもそれらの守備駒が役立つわけでもなく、21玉で逃げられます。なので13銀は単に危険地帯に呼び込む捨駒と感じられるのですが……ちょっと的外れの感覚でしょうか?

     まつきち 三重ピン?
     keima82 3枚がピン。
     占魚亭 3重ピンメイト。
     奥鳥羽生 一瞬に 三つピンされ あわわわわ
     negitarou 角(×2)と飛車(×1)のラインに呼び込む。合駒が成立しないのが意外です。

第50問 シナトラ b)59桂→57

正解
a) 44飛、45飛、35香まで3手詰
b) 48飛、47角、36香まで3手詰

ツイン。今度はどのような遊びが楽しめるのでしょうか。
いずれの図も飛車を打って間駒をして香が移動して開き王手までの詰み。★

     占魚亭 きれいな対称。
     keima82 これぞツインといった対比。
     ぎょうざパン 逆王手の対比が面白いですね。
     奥鳥羽生 逆襲を 香しなやかに 受け流し
     negitarou 大駒(飛・角)での逆王手を移動合で凌ぐ
     まつきち 逆王手の駒種と香の移動場所は、ツインらしい対称の面白さ

こういう短評を読むと、もうずいぶんとツインという形式も市民権を得たように感じます。
先駆者は山田康平さんですが、最近のシナトラさんの活躍が非常に大きいといえましょう。


明日で最終回(^^)。

「詰将棋創作チョー入門(35) 第4回三手詰祭:結果発表(その5)」への4件のフィードバック

  1. 42問の短評「山修」は「山本民雄」の誤り。失礼しました。
    山本氏の作品に対する「肌に粟を生ずる感」という山修さんの言葉が記憶に焼き付いていたので、つい筆が滑りました(笑)

    1. 【第43問】ですが、皆様に色々ご意見いただき勉強になりました。 
      特に、風みどりさんの改良図。素晴らしいです。2六と金の配置が絶妙(移動合でも詰み)だと感じます。

      【第47問】は、玉方・5七金の初期位置は、1一 or 3一でした。(開き王手の時に、飛車を取る)
      5七金は、例えば3手目・3四馬、2八合、5六馬のような手順を防ぐつもりの配置でした。 (^^;)

  2. 【第47問】は、理由があって金をたくさん配置しましたが、激重!

    金を全て「と金」に変更したい衝動に駆られます。(多分、病気です。以後、気をつけたいです!)

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