高木秀次『千早城』に登る(23)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第23番 詰パラ1952.2

今日は王将戦もあって、難しい作品だったらあっさり諦めて解答をみようと決心して(?)取り組んだが、今回も易しい手筋物だった。

初手は36歩もあるが、普通に考えて銀を引く一手だろう。

36銀、

36歩に26玉は簡単だが、36銀だとちょっと長くなりそうだ。

   26玉、16金、37玉、28金、36玉、
14角成、

【変化図】

以下まだ手数はかかるが桂を2枚打って33に追い込めたらあとは物量で攻めて良し。
これで2手目は44玉に確定する。

   44玉、

この局面で暫く悩む。
36桂と打ちたいから35銀とすぐ捨てる手が見える。しかし、同玉で無意味に見える。
39角を活用するのに17角は実現しそうに思えないから66角、同龍という展開が見える。
そのためには66金が邪魔駒だ。
持駒に桂があるので55金、同龍、56桂、同龍、66角という手が見える。(自分でも作ったことあるので)
しかし、55金に同玉で全然詰まない……。

55金に同玉のとき詰ますには馬が必要……あ、41角を使うことを忘れていた!と気づいた瞬間に一気に解決への道筋が見えた。
そうだ、41角を使わなければ。

35銀、同玉、25金、

14角成の実現を目指して25金と捨てる。
このために25銀が邪魔をしていて4手かけて原型消去するわけだ。
巧いと思うのは2手目の変化で15金は16金の質駒を獲るのに必要な駒という認識ができていて、25金と捨てる手が盲点に入っていたのだろう。

   同玉、14角成、35玉、36馬、44玉、

36銀を馬に置き換えた結果になっている。
次に54銀を消去する。

45銀、同龍、56桂、同龍、

54銀が原型消去された。
これでいよいよ55金が可能になった。

55金、同龍、56桂、同龍、

55金に同玉は54馬まで。
これで66金が原型消去された。
いよいよメインディッシュ。

66角、

狙いの一手がやっと実現した。

あとは収束。

   同龍、54と、33玉、23歩成、42玉、
32と寄、同銀、同と、同玉、14馬、

31玉に22銀以下金合で馬が消える収束を妄想したが、31玉は32銀から41銀成の変同だった。43とで早かった。

   42玉、33銀、同玉、23と、42玉、
32とまで35手詰

25銀・54銀・66金の3枚を順に原型消去するという解くのは易しいが創るにはかなり苦心しそうだ。
高木秀次らしい重厚な手筋物だった。

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