詰将棋入門(236) 途中で止める持駒変換(前)

上田吉一『極光21』第84番 詰棋めいと1985.3

狭い所で精緻な手順が展開される。詰棋めいとには序を省略した形で発表されたが、『極光21』では原図で収録されている。

上の将棋盤をクリックしたが「動かない!」と思われた方へ。
申し訳ない。上は只の画像。タイトルに(前)とあることに気づかれた方は鋭い。
動く将棋盤は(後)につけます。

長編なのでどんどん手順を進めていこう。

93香成、同玉、85桂、同と、82角打、同飛、

先に85桂としておかないと82角打に83玉と躱される。

94香、83玉、82角成、同玉、72飛、83玉、
93香成、同玉、

詰棋めいと発表時はこの14手が85桂、同との2手だけに省略されていた。(理由は不明)
歩があるのに94香と打つのはすぐに理由は分かるけどちょっとした香辛料。

73飛不成、

打歩回避の飛車不成。
83合だと94歩、82玉、72飛成、91玉、81とまで。
そこで72に利かせて銀合だと……

   83銀、94歩、82玉、83飛成、同玉、
72銀、82玉、

【変化図】

以下83歩で3手詰だ。

それでは72ではなく81に利かせて飛車合ではどうか。

   83飛、

実はこの飛合はこの後何度も出てくる。
しかしこの局面では正しい応手ではない。
それは作意を辿ればわかるので先に進めよう。
正解は間駒せずに躱す。

   82玉、

72とでは91玉で次の手がない。72飛成とせざるを得ない。
つまり飛不成に対して無理矢理飛車になってもらおうという応手だ。
そこで攻方も対応する必要が出てくる。

72飛成、93玉、63龍、83飛、

63龍のソッポ龍だ。今度は82玉なら72と、91玉、61龍があるので間駒せざるをえない。
間駒の選択はすでに終わっている。83飛合の一手だ。
現在20手目。つまり16手目に83飛合とすると4手短く詰んでしまうということだった。

94歩、82玉、83龍、同玉、63飛、73桂、

94歩が打ってあるのでこれは一間龍で送りの手筋が使える形。
つまりこの間駒は93歩成、同玉、73飛ととられる揮発性の間駒だ。
二歩のため歩合はできないので桂合しかないことはすぐにわかるだろう。

93歩成、同玉、73飛不成、83飛、

今度は持駒に桂があるので82玉の手数伸ばしは利かない。
素直に飛合だ。

94歩、82玉、83飛成、同玉、63飛、73桂、
93歩成、同玉、73飛不成、83飛、

20手目83飛合の局面が持駒「歩歩歩歩」。
30手目83飛合の局面が持駒「桂歩歩歩」。
40手目83飛合の局面が持駒「桂桂歩歩」。
これが持駒変換という手筋だ。

さてあと一息。
この続きは明日。
初見の方は是非明日までに考えてみてもらいたい。

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