Judge:駒井めい
最優秀作
第12問 kisy
正解
45香、同玉、57金、35玉、47金、44玉、
45香、同玉、35馬、同香、57金まで11手詰
6手後に初形から金を一段上に移動させた局面が現れる。作意だけ眺めた人にはこれが不思議なやり取りに見えることでしょう。金を移動させる手段がバッテリーの組み替えというのも面白い表現。
玉が44か45のどちらにいるかが重要で、玉が44の地点にいる状態で57金と馬の利きを遮ると、33玉と逃げられて24馬が実行できない仕組み。これが香を最も近くから打たなければならない理由にもなっている。
重要な役割を担っていた馬を捨てる手も入っていて申し分のない手順。高度な狙いを、緻密ながら明快な仕組みで実現したところも素晴らしい。
10手目は同香とするのが恐らく作意で、最終手57金の開王手で詰め上がり。これは最後の1手まで狙いを表現していて明快だ。10手目に同玉とする変同をどう見るかは議論が分かれるところだろう。この変化は駒余りで割り切れていた方が良いと思うが、これに手を加えようとすると作品全体のバランスを崩しかねず、簡単ではなさそうだ。
優秀作
第9問 はせがわ_ゆ
正解
39香、38飛、35馬、同玉、38香、37金、
36飛、同金、同香、同玉、46金まで11手詰
香の最遠打と二回の中合。二回の合駒も飛合から金合と価値の高い駒が最善。
香打が最遠位置に決まるのは、変化で馬や龍を香と連結させるため。最初の合駒が飛車に限定される意味も巧妙に変化に隠されていて、主眼となる手が際立つよう繊細に作られている。また、二種類の合駒の順番が限定されているのもお見事。
このような構成を短編で作ろうとすると、取った合駒をどう使うかが悩ましいが、手順が緩むことなく取った合駒が上手く使われている。
最終手余詰(11手目37金)が若干気になるものの、狙いと直接関係しているわけではないし、他の部分の質が高いのでそれほど気にならない。
佳作
第3問 springs
正解
15香、14角、同香、13桂、23角、同飛、
21龍まで7手詰
二連続移動合。角合は将来の逃げ道を確保するため。桂合は攻方に取らせないため。個々の移動合は珍しい手筋ではないが、二種類の移動合を連続で組み合わせたところが良い。23の地点を空ける角の移動合については、移動合をした瞬間は23の地点に龍が利いているので、すぐには意味が分からないようになっている。
第4問 羽毛布団
正解
21香成、同玉、24香、12玉、13歩、同玉、
23香成まで7手詰
飛香のバッテリーを崩して、角香のバッテリーを作り直す。この二つの手順を香の打ち替えによって一つにまとめている。手に深い意味付けを持たせているわけではないが、難しい狙いをサラッと実現している。
初形の攻方22香は代えて歩でも十分だが、香にしているところから作者が狙いに拘って作っていることが伺え、この点はとても好感が持てる。
第5問 RINTARO
正解
24香、13玉、22香不成、35歩、14歩、23玉、
33とまで7手詰
いきなり初手33ととすると同角とされるので、3手目22香生は受方角の利きを遮るのが目的の一つ。代えて3手目22香成は5手目14歩が打歩詰になるので、香生に限定されるのは打歩詰を回避するため。双方の角の利きを一枚の香で遮る展開が面白い。
特別賞
第7問 RINTARO
正解
24桂、11玉、12香、22玉、23歩、13玉、
14と、同玉、15歩、13玉、25桂まで11手詰
3手目12香のところを代えて12歩とすると、9手目15歩が二歩になって指せない。手順自体はほとんど並べ詰で完成度は決して高くないが、この二歩禁回避は面白い狙い。
第10問 negitarou
正解
55香、54香、同香、同桂、53香、同角、
同桂成、同玉、31角、52玉、42角成まで11手詰
香打から香合で初形から桂を跳ねただけの局面が現れる。これは9手目31角を王手にするため。序4手が面白い攻防。
講評
第1問 RINTARO
正解
15香まで1手詰
香の単騎詰。初手19香は18飛成、同香、17飛成、同香、16桂、同香、13角成の連続移動合で逃れ。どれほどの解答者が紛れを読んでくれるかは怪しいので、駒数と効果が釣り合っていないように思える。ただ、このような意欲的な創作は個人的にとても好き。
第2問 マンダリンピエロ
正解
84香、91玉、92歩、同玉、83桂成、91玉、
82成桂まで7手詰
香を一つ離して打つのは桂を成る空間を確保するため。この香の意味付けは面白い。ただ、小駒で詰ませる作意なので、大駒の角が作意で働かないのは少し気になる。
第6問 RINTARO
正解
22香、11玉、12歩、同玉、23桂成、11玉、
21香成、同玉、22とまで9手詰
香歩問題。初手22香に代えて24香は23歩合などとして同香生、12玉、22香成、13玉と逃げられる。打った香が邪魔で作意のように桂成ができない。もし紛れを重要視するなら、初手24香に対して逃れる応手を一通りにして、より妙手感を出したかった。
第8問 negitarou
正解
54香、42玉、43歩、同玉、53香成、44玉、
43角成、55玉、65馬引、45玉、54馬まで11手詰
初手54香は角の利きを遮るようだが、後に成香を作るため。基本的に玉を追っていく手順なので短編として緊張感にやや欠けるが、この初手が面白い。
第11問 negitarou
正解
34銀、同玉、43角、同玉、33金、52玉、
54香、53金、64桂、62玉、95角まで11手詰
序4手の変化が難しく緊張感がある。ただ、受方は基本的に玉を動かす手なので、短編の手順としてやや単調な印象を受ける。
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