名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(9)

さて55歩が発生しているので中合はできないので、23玉。

(65角)23玉、56角、同歩、


いよいよ念願の今日を入手できるが、55歩が発生しているので同歩と角を取られてしまう。
これで一見「わざと角を取るための歩を発生させた」という物語(ナラティブ)が演出されるというわけだ。
もちろん角を温存するより、香を入手する方が断然有利なわけなのだが。

25香、12玉、22香成、同玉、33角、

玉の逃げ方は6ヶ所。ほとんどは上から龍で押さえ付けて早く詰む。
32玉は42と、21玉、24龍。

12玉、42龍、23玉、22龍、34玉、
24龍、45玉、55角成、

最後に打った角を成捨てて花を添える。

54龍まで59手詰

動く将棋盤で、最初から作意を鑑賞されると良いだろう。

小川悦勇 『雨滴』第27番 詰パラ2001.7

冒頭4手の伏線。
24銀から14銀と香頭を軽くする攻め。
桂馬1枚を消費して34香を消去する。
一気に中央に戻す収束。

筆者は今まで発表された「1」の字あぶり出し作品中の最高傑作と考えている。


このような高度な作品がいっぱいの作品集が『雨滴』です。
どうぞ奮ってお買い求めください。

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