北村研一 「槍襖」旧詰将棋パラダイス 1950.9
第1回看寿賞受賞作品。
受賞通知が届いた5日後に30歳の若さで亡くなり、結果の掲載されている昭和26年7月号は作者の北村研一は見ていないという悲話とともに最も有名な詰将棋の一つ。
66銀、86玉、87金、95玉、94と、同龍、96金、同玉、87角、同玉、98銀、76玉、
4枚の歩と香がどうしたって期待を持たせる。
序は54角を消して14龍を効きを通す。
98銀、76玉で準備完了。(86玉だと、87歩と打ち、あとで86に逃げてこれなくなる。)
77歩、66玉、67歩、56玉、57歩、46玉、47歩、35玉、
これで1回目の歩突きが完了。
36歩、45玉、
歩打一発で折り返し。
46歩、55玉、56歩、65玉、66歩、75玉、76歩、86玉、
2回目の歩突き。
87歩、95玉、94龍、同玉、93飛、84玉、96桂、74玉、
飛車の段を変える必要があるので、必然の折り返し。
75歩、64玉、65歩、54玉、55歩、44玉、45歩、34玉、
3回目の歩突き。
23飛成、同歩、35歩、43玉、
飛車を切ったら馬が効いてきた。
44歩、同馬、33金、53玉、54歩、同馬、43金、63玉、64歩、同馬、53金、73玉、74歩、同馬、
4回目の歩突き。同馬で消えていくのがうまい。
金が寄らずに香がなっても良いところがあるのは残念な瑕疵。
63金、同桂、74香、同玉、83角、73玉、72角成、74玉、83馬、75玉、65馬まで75手詰
追ってきた金をさらっと消してあっさりした収束がスマート。
75玉から始まって75手で75玉で終局というのも作者の主張。
期待に違わぬ楽しい趣向が盤上に現れる。
主役の歩が4枚とも綺麗に消え去るところが完成度の高いところ。
ところで「やりぶすま」を漢字変換すると「槍衾」となる。
そういえば「詰棋めいと」にそのことについてどこかに書いてあったなとバックナンバーをひっくり返すが見つからない。8号かと思ったのだが……。
どうも「槍襖」は誤字の可能性が高いようだ。
因みに槍衾とは……
上の写真は右がローマ軍で左がマケドニア軍。
マケドニア軍ががつくっているのが槍衾。
北村研一に興味を持たれた方は次の情報にアクセスしてみるとよいだろう。
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いやあ偶然ですね。ちょうど今読んでいたところでした。
「詰棋めいと」30号の82ページ。杉山正さんがマイ・ベスト展の中で言及しています。
ホントだ。杉山さんのマイベスト展とは!そこは捜さなかった~。もう詰棋めいとはもったいないけどデータ化して検索できるようにするしかないかな。
追記します。
「槍襖」は現代の視点で見ても傑作だと思います。ただし、自分が現代の視点を持っている自信はありません(笑)。