河辺昭光 詰パラ1963.3
1959.9の森田正司の森田手筋に刺激を受けて創作されたものだろう。
13手詰。
打歩詰の局面。
47歩が打てれば66龍で詰む。
そこで守備駒を引き寄せる定番の捨駒を放つと
48龍、
同ととなって47歩が打てるようにはなるのだが、29角も利いてきてしまう。
同と、47歩、同角成、66龍、56馬で不詰。
【失敗図】
初手はぼんやり龍が出るのが正解だ。
66龍、
47玉は36馬までなので合駒選択だが
例えば香合だと
56香、55銀、47玉、48歩
これで詰んでしまう。
したがって合駒は48に利かせる桂馬と決まる。
56桂、
47歩、同玉、67龍、46玉、
初形と比べて、歩1枚を消費して56桂を発生した形だ。
これで47歩が打てたら森田手筋なのだが、打てない!
48龍、
初手にやった場合と違って、今度は同とならば37龍まで
同桂成、47歩、
これでやっと歩が打てる。
同成桂、66龍、56歩、55銀まで13手詰。
森田手筋は「合駒発生→線駒の利きを無くす→歩が打てて収束」という構造。
本作は、さらにその合駒では打歩を打開できず、成駒にすることで打歩詰を打開するというナラティブだ。
面白い。
当時「異常感覚」と人気があった作家だが、並べてみるとワクワクする作品や前衛的な作品もある。
50年くらい早く生まれた天才作家かもしれない。
塚田賞受賞作品は有名なので、それ以外の作品をあと2局紹介する。
11手詰と7手詰なので、解いてみることをお薦めする。
(特に7手詰の方は後で「ルール論争」でも取り上げる予定なので予習を。)