『三桂の詩』の編集をした塩沢雅夫氏が、同書のコラムに「名言の旅 名言の風」を書いている。
氏が蒐集した詰将棋に絡む名言集だ。
いくつか紹介しよう。
- 私は詰将棋を、指先に酔いを与える芸術であると思っている。
指先から伝わる思想
これを大切にしたい。—斉田喜道
- 他人の作に感激することは、作家にとって大切なことではなかろうか。それが、自己の情熱にたちまち点火するのであるから……。—南倫夫
- いい作品というのは、どこかで偶然が光っているような気がする。—北千里
- エッセーは、作家の思想よりも、体臭を、むしろ感じさせるものだ。
短篇詰将棋は、僕はエッセー的であらねばならぬと思っている。
僕は、理想は表現し得る、という、あるいは少年期の幻想にしかすぎないものを、いまだに捨てえない。—近藤郷
- 詰将棋はあくまで趣味
人生や哲学とは無関係と割り切っているから楽しいんだと思うんですよ。—吉村達也
- 理想—-時間に堪えうる作品!—上田吉一
- 出来る限り夢追う人となって、作図において夢を追い続けていきたいと思っています。—佐々木聡
- ひとのはなしィ聞いてみて「こいつぁオレよりまずいな」と思ったら自分と同じくらい。「オレと同じくれぇかな」と思うときは向うがちょいと上で、「こいつぁオレよりたしかにうめえや」と感心したときは、もう格段の開きがある。—古今亭志ん生
筆者も詰棋書紹介の連載を機会に詰棋書を読んでいて、嗚呼いいこと言うなぁと感じることも数多くあるのだが、無精なものでメモを取ったりしないからあっという間に忘却の彼方へ。
Tweet
南倫夫さん、佐々木聡さんの言葉に同調しました。
ただ、他人の作品の ”良さ” 、”価値の高さ” が、正しく理解できるかどうか、そこが大切なところ。
そうした”眼”を持つ詰キストを育てる啓蒙活動が要るのだろうと思うのです。
誰がどんな形で啓蒙活動するのか。
特別なエッセイの場でもない限り、解説者しかいません。解説者には、作品を通じてご自分の感性、詰棋観を書いて欲しい。独断、独善でよいから。
そうした原稿の中から読者は、自分の感性に合ったものだけを身につける筈。