詰将棋雑談(58) 香剥総浚[其の参]

前回並べた1974年の3作に刺激を受けて、1975年には5作もの香剥作品が発表されている。
今回はその5作を一気に並べよう。

金成憲雄 詰パラ1975.2

剥がす香は3枚。
29に効かすための香生を馬で剥がすの繰り返し。
馬で剥がすのは初めてだが、2回しか繰り返せない。

金成憲雄は筋ワル生の名前の方が有名だが、発表する作品はどれも精錬された作品ばかり。

山本昭一『怒濤』第74番 詰パラ1975.4

「プロットに目新しい所は全くない。他に狙いらしい箇所もない。…(中略)…エンターテイメントなのである」と作者は語る。
同じ作者のデビュー作を単純化した作品に見えるので、上のような感想になったのかもしれない。
しかし1982年の創棋会作品集『白雨』に自選した5局に入ったのはこちらの方で、複合剥がしのデビュー作は選ばれなかった。
その気持ち、わかるような気がする。

上島正一『恋唄』第94番 近将1975.6

上島正一は上田吉一と若島正の合作。
『白雨』では上田吉一が選んでいるし、『恋唄』はもちろん若島正の作品集だ。
飛龍のコンビによる左右一往復で香を1枚剥がす。
香剥がしでは初めての200手超えの大作だ。
175手目作意は33桂成だが、23と、同玉、13桂成とする迂回手順が成立している。

伊藤一幸「城壁」 詰パラ1975.9

香2枚を間駒で発生させる所が工夫か。
銀を使って剥がす順は近藤孝「かずら橋」と同じ。
収束が長いのは間駒制限のための配置に理由をつけるためだろうか。

山本昭一 詰パラ1975.10改

2枚飛による左右二往復で香を1枚剥がす。
64の地点を埋めるために角を香に戻してしまうので、もう一度右辺に持って行かなければならない所が新工夫だ。
原作は45香に一旦35玉とよろけ36飛、45玉としていたので200手超えだった。
しかし余詰不完全で、本図は添川公司による修正案

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