短篇から超長編まで幅広い分野の作品51局が収録されている。
その作品レベルはいずれの分野でも最高水準である。
もう10年くらい新作の発表がないので若い人には名前を知らない人もいるかもしれない。
例えば仕事で疲れ果てて帰ってきたら詰パラが届いていた。
でもとても今夜は解く気にはならないなと思いつつも、パラパラとめくっていたら上田吉一の新作が載っていた。
上田吉一なら解けないまでもちょっと考えてみようとするだろう。
どんなに疲れていても盤駒を持ち出すはずだ。
そういう作家が誰にだって何人かはいると思う。
筆者と同世代の詰将棋ファンにとって、森長宏明はそういう作家だ。
誰だって、森長宏明の名前を見つけたら解いてみる。
市橋豊でも愛上夫でも久留島内でも同じだ。
51作と比較的少ないが密度は濃く、作者の想いのこもった解説も読み応え十分だ。
見つけたら即買いをお勧めする。(アカシヤ書店で2500円。安い!)
愛上夫 『詰物語』第7番 詰パラ1985.12
『中編名作選II』第26番に選んだ伊藤正作と対になる傑作と紹介したい。
が、念の為『短篇名作選』を確認してみたら青木さんが紹介していた(#110)。
ということで、『短篇名作選』に選ばれていない作品をもう1局。
愛上夫 『詰物語』第12番 近代将棋1986.2
桂合回避の渋い表現。
Tweet