筆者が若い頃の話。
会社は辞めたけれど、教員採用試験は2次試験でまたしてもふるい落とされてしまった。
(面談が苦手。人間が正直なもので。)
無職ではかわいい妻と子どもが路頭に迷ってしまうので、働くのは好きではなかったが、新聞の求人広告で見つけた塾にもぐりこんだ。
その塾は高校入試対策をウリにした塾で、日曜日の講座にはわざわざ新幹線で通ってくる生徒もいるという変な塾だった。
そんなに遠くから通うほどの塾かというと、入試の過去問をとにかく大量やらせるだけという、何の特徴も無い塾だったんだけど。まぁ、体系的に授業を進めるのではなく、ランダムにトピックを拾い上げていくというのが飽きさせない工夫だったかな。毎回1冊の小冊子になった問題集が渡され、そいつをやっつけていく。
といっても、3時間も類題ばっかりやっててもつまらないから、筆者はまた塾の公式テキストとは別に、独自のテキストを作って、それもやらせた。だから1回の授業がだいたい4時間くらいになったかな。今考えると、みんなよく勉強してたなぁ。
で、有名な高校に合格するような生徒はそれでもちゃんとこなしていくだけれど、半分以上の子どもは塾のテキストをこなしきれない。
それで塾が終わった後なのか、塾の宿題をこなすための塾とか家庭教師に通う生徒もいたそうだ。
(俺のせいもあったかも!)
これは、そういう落ちこぼれ(禁句!)のための連載です。
というわけで公式テキストはこちら。(前置き長すぎ)
(透明駒 1+0)は攻方に透明駒が1枚、玉方にはなしという意味です。
「ばか詰」とあるのが混乱を深めます。
透明駒も自分の好きなように決めてよいような気がしてしまうからです。
37に透明な飛車がいてくれたら36金の1手詰では!?
そういうことではないようです。
正解を見てみましょう。
37金、17玉、27金まで3手詰
37金に17玉!?
これはわざと17玉とすることで、透明駒の位置と種類を確定させたわけです。
17玉と行けたということは18に透明駒がいるはずです。
これが王手でないわけですから、可能性は次の2通り。
18桂の場合と
18角の場合です。
しかし18桂だった場合は、初形は次のようになってしまいます。
これはおかしいので、18角が決定します。
【詰上図】
(透明駒 1+0)は攻方に透明駒が1枚、玉方にはなしという意味です。
しかも、この初形では王手がかかっていますから、攻方の透明駒は24か25にいるに決まっています。
とすると考えられるのは次の8通りです。(本当は25成銀とかと金とかもありえますが)
24角
24桂
25角
25馬
25金
25銀
25桂
25歩
この中で、3手詰になるのは……
24角が33角、12玉、22角成まで。
24桂が32桂成、12玉、22成桂まで。
25(角|馬)が43(角成|馬)、12玉、21馬まで。
25桂が33桂成、12玉、22成桂まで。
しかしいずれも手順を書いてみると
x、12玉、x
としか書けないので、
24金、12玉、13金
の可能性もあるので11玉と逃げられてしまいます。
x、12玉、xまで3手詰
と書けば、「詰んだといっているのだから上のどれかってことで正解じゃないの?」
と思っていたのですが、「まで3手詰」は手順に含まれないようです。
こちらで勝手に詰み判定はできないということですね。
そろそろ正解を見てしまいましょう。
x、13玉、23歩成まで3手詰
2手目の13玉が妙手です。
2手目に13玉とすることで、透明駒が24にいること、そしてこれで王手になっていないということから
24の駒が歩しかないことが確定します。(25に香はありえなかった)
初形は25歩だったというわけですね!
透明駒の位置と種類が確定したので、3手目は23歩成と書けるわけです。
【詰上図】
この2問から学ぶことは次の教訓でしょう。
線駒のラインに玉をつっこめ!
これで透明駒の位置と種類を絞る手筋。
なんだか剣術の極意みたいでかっこいいですね。