詰将棋入門(81) 桂を成桂にすり替える

伊藤看寿 『将棋図巧』第46番 1755.3

現在でも人気のあるテーマ。

本作の狙いは手順を追うだけで誰でも理解できる。
そしてそれは冒頭の8手でいきなり始まる。

持駒の4枚をすべて使い果たし、15桂を15成桂に変異させるマジック。
人を驚かせるコツを看寿は理解している。

ゆっくり見ていこう。
17から18と入玉されるとやっかいそうだ。
かといって15馬では同銀で23香が利いてきてしまう。

27銀、

17玉なら18金で簡単。

同桂成、26金、

27成桂を質駒にしているので26金が利く。
17玉なら27金、18玉、17飛で簡単。

同成桂、25銀、

やはり26成桂が馬の質駒になっている。
17玉ならば26馬以下だ。

同成桂、15飛、

これは退路封鎖。
同銀ならば49馬以下簡単。

同成桂、

これで初形図と比較して持駒を使い果たしたが、15桂が成桂になっている。
この「持駒を使い果たして」というのが、言わずもがなだが上手い演出。

49馬、

あとは収束である。
短く終わらせることも勿論可能だが、大駒をすべて捌いて消すのが看寿の選択。

26玉、27馬、35玉、34金、同玉、33飛、

まず飛車を清算。

同銀、同角成、35玉、44銀、同金、同馬、24玉、33馬、14玉、15馬、

6手目同銀の変化に必要だった42角を消す。

同玉、16金、14玉、26桂、同香、36馬、

これで主駒だった59馬が消えた。

同と、25金、23玉、15桂、22玉、32と上、11玉、23桂不成、同銀、21と寄、12玉、22とまで43手詰

49馬以降は手数はかかるものの自然な着手で難しい所は無い。
相も変わらぬ後片付けの手際の良さに目を瞠るのみである。

現在でも人気の成らせ物の元祖であろうか。

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