伊藤看寿が図巧#75で挑戦した玉方馬の\(3/4\)回転。
玉から1間離れた場所に飛車か香で王手をしそれを同馬ととらせる。
これを後世の人々は実現することができたのだろうか。
検索してみた。(が、難しくてほとんどヒットしなかった。知っている作品、教えてください。)
まずは同馬2回の簡潔作から。
柳原裕司 詰パラ 1985.3
使用駒10枚のスッキリ図式で飛車の限定打2連発、それを同じ馬に取らせて金打ちまでの5手詰。
理想的な5手詰だ。
25馬が52にいたとしたら、52⇒34⇒12で\(1/2\)回転と考えるわけだ。
創作の難しさがわかってきたことだろう。
池田俊哉 詰パラ 1977.5
これで同馬3回。
仮に66馬が73にいたとして、更に62桂がなければ\(3/4\)回転が完成だ。
これはこれでとても上手くできている。
気持ちよい作品だ。
三輪勝昭 詰パラ 2015.2
これが初めて実現された\(3/4\)回転だと思われる。
27龍までという変化で実にうまく成立させている。
さすが三輪さんの正面突破力は凄い。
傑作だろう。
ただ看寿に言わせると、初手から31飛だと別の馬に取られる。
42が空いていたら完璧だったのにという声が聞こえる。
鈴川優希 「ケルビン卿の原理」 第n回裏短編コンクール 2015.11.13
そして、本局が筆者の知る限り図巧#75のテーマを完全に実現した唯一の作品。
初手から35飛成とできる形で、53馬を75⇒57⇒35と移動させている。
捨駒の順番は香⇒飛⇒飛しかなかろうという常識に囚われず、飛⇒香⇒飛で実現。
邪魔駒消去というアイデアと、打捨てでなく捌き捨てという驚き。
そして理論上最短の7手詰で表現しきった所が素晴らしい。
さて、残る飛⇒飛⇒香を実現してくれる勇者は現れるか?
追記(2020.12.29)
鈴川さんから教えていただいた作品。
柳澤瑛 詰パラ 2019.6
鈴川優希—-収束も決まって素晴らしい作品です。打ち捨てのほうが創作の難易度としては高いでしょう。
と金群の配置が余詰との壮絶な戦いがあったことを如実に示していますね。
創作難度は打捨ての方が高いと思いますが、詰将棋は創作技術を競う競技ではありません。このテーマは打捨てという思い込みを打破した鈴川さんの発想の柔軟さというかクレバーな創り方は凄いです。
しかし本作のような正面突破する意欲と根性も素晴らしいです。
人気投票は最下位でしたが、このテーマは解くには非常に易しいのと、やはりと金の配置を安易だと感じられてしまったのが原因でしょうか。
筒井浩実—-若い作者の意欲的な挑戦は天晴れで、再度順位戦の舞台に戻ってくることを期待したいです。
見覚えのある作者名ですが、若い方なのですか。
これからが楽しみです。
図巧#75のテーマを完璧に実現した作品は今のところ本作が唯一ということでよろしいでしょうか。
情報待っています。
自作をご紹介いただきありがとうございます。
なお、馬の3/4回転ですが、2019年6月C級順位戦の柳澤作が最も図巧に忠実に作ってあると思われ、収束も決まって素晴らしい作品です。
打ち捨てのほうが創作の難易度としては高いでしょう。
情報ありがとうございます!
追記します。