詰将棋入門(95)で図巧#90を取り上げた。
17香、39香、59香と遠打する作品だ。
あの作品を鑑賞して、「17香も19香としたいなぁ」と考えた人が数多くいたに違いない。
「飛車を捌かなくても手順の統一性を優先したい」というのもよくわかる考え方だ。
さらに「どうせなら香3枚でなく4枚とも打ちたい」と考えるのが人情というものだろう。
それなら図巧#91のように飛び飛びに打つのではなく、19香~49香と並べてみたいと考えるに違いない。
人間の欲望はキリがないのだ。
で、そのような作品が発表されてないか検索してみたら3作ヒットした。
いずれも有名作家の作品なので、3作とも紹介しよう。
湯村光造 近将1988.12
ちょっと期待していたものとは異なるが、確かに19香から49香まで打っている。
5手目に19飛でなく19香と駒を使ってしまうのがポイントか。
収束は2枚の飛車を消去して手早く終わる。
少ない配置で湯村光造らしい作品。
橋本孝治 近代将棋 1991.2
直打や一間あきの香なので遠打ではないものの、狙いの構成を配置・手順・手数ともにミニマムに実現した作品。無防備玉でもありますね。
この作者にしてみれば極々軽い作品でしょうが、見事です。
しかしここまでの2局は盤面を大きく使った看寿の図巧#90とはかなり印象が異なります。
正面から看寿に挑んだ猛者はいないのでしょうか。
ご安心ください。
最後の1局は現全詰連会長の柳田明作です。
乞うご期待。
柳田明 詰パラ 1980.10
期待させる初形から期待通りの展開で嬉しいです。
中合は62飛の所で獲った駒を打てば良さそうです。
99竜を捨駒で実現しているのが上手いですね。
この作品は詰研の『古今趣向詰将棋名作選』の発刊記念にパラと近将で記念出題された一つだと記憶しています。恐らく作者がまだ若かった頃に図巧#90を見て、一気に作り上げた作品なのではないでしょうか。
(そのうちコメントが付くのを待ちましょう^^)
柳田さんの作ですが、図巧90番を見て作ったわけではありません。
http://park6.wakwak.com/~k-oohasi/shougi/html/kisou/kisou11.html
ここの参考4図をご覧ください。
「中学生の時の作品で、狙いは四香連続最遠打。図巧90番を知って発表する気がなくなったが、『趣向詰名作選』の出版記念に挨を払って登場させた。」
若い頃の作品だろうとは思っていましたが、図巧を知らずに作っていたのですね。情報ありがとうございます。
ほっと様
他人の作品なのに、コメントまで覚えていて下さって恐縮です。
風みどり様
図巧を知らずに作った作品でして、将棋まつりで北原氏に見せたら即座に指摘された覚えがあります。
四香最遠打ですが、つなぎ手順が若いでしょう?