ジャッジ:小林敏樹
創作課題\(1+n\):1筋に飛車を2連続で捨てる詰将棋を創ってください。
\(n=0\) 1筋に飛車2枚連続で捨てる
\(n=1\) (1x玉に対し)1y飛、同玉、1x飛、同玉、〇〇迄
\(n=2\) (11玉に対し)19飛、同x、1y飛、同z、〇〇迄
\(n=3\) (2x玉に対し)1(x-1)龍、同〇、1(x+1)龍、同〇、〇〇迄 +-は逆順も可
\(n=4\) 連続で捨てる飛の1枚を序で盤面に打っておく(7手)
\(n=5\) 連続で捨てる飛を2枚とも序で盤面に打っておく(9手)
\(n=6\) 連続で捨てる飛を2枚とも序で間駒で入手する
\(n=-1\) 「1筋」の縛りや「連続」の縛りを外した作品でもとにかく飛車を2枚捨てればOK
「自分でテーマを設定して詰将棋を作る」という作り方の練習のつもりで、追加の創作課題を出題しました。あまり反応は得られませんでしたが、それでも何名かの作者に作品を投稿していただきました。どうもありがとうございます。
同じテーマでも、作る人が違うとできる作品も違ってくる、ということがよく分かって面白いと思いました。
優秀作
【第9問】ばけ
14角を配して、初手13龍をタダ捨てにするアイデアが素晴らしい。この手が変化のための伏線になっているのも旨いです。
ばけさんの投稿作はどれも作図技術が高く、模範演技を見るようでした。おそらくは名のある作家の方の変名なのでしょう。
【第1問】冬眠蛙
打歩打開の飛2枚捨て。3手目をヒモなしの捨駒にしているのが主張ですね
【第2問】springs (feat. みつかず)
さらに2手逆算できるということですね。みつかずさん、参考にして最終版を作ってください。
【第3問】小林敏樹
紛れがかなり強力で、苦労してようやくこの図になったのですが…。
【第4問】ばけ
第3問を作った者として、本作の仕上がりには感心。参りました。
14銀が、3手目に飛を離して打つ手をなくす好配置でした。
【第5問】小林敏樹
このテーマではこの形しかないだろう、と思って作ったのですが…。
【第6問】風みどり
前問より1枚少なくできており、これも私の負けです。
【第7問】ばけ
このパターンは思いつかなかった。なるほど。
【第8問】風みどり
2手目35玉は38龍、36歩、15龍まで変同。
15に龍を捨てるために、邪魔な飛を捨てるという構成。
【第10問】小林敏樹
2手目36玉は、26とがピンされているので37金まで。工夫はそこだけ。
【第11問】springs(feat.小沢卓也)
上下をひっくり返すと、ずい分感じが変わってくるものです。
小沢さん、参考になりましたでしょうか。
【第12問】ばけ
出題時の解答例2(風みどり作)と比べると、配置を少し変えるだけで2手逆算できていたということ。
さらに2手逆算した形は第14問をご覧ください。
【第13問】あとれい
2手目24玉は、36銀、25歩、22飛、23香、25飛以下で9手駒余り。4手目24玉の変化も同様に22飛以下。この変化の切り方は実に巧みです。
桂合を発生させて動かすパターンで、収束の15飛捨ても鮮やな好局。
ただ、17飛でなく17歩という違いはあるものの、この桂合は酒井克彦氏に前例がありました。
酒井克彦 詰パラ1993.9
【第14問】ばけ
第12問にさらに2手追加した完成作。
軽いけれど、「2枚飛を打って後に捨てる」テーマを実現した達成感があります。お見事です。
【第15問】springs
第11問の配置に一工夫加えて、これも見事にテーマを実現。
3手目がタダ捨てになっていて、同玉、36飛、同玉、37金の変化でも2枚飛捨てになっているところがいいですね。完成品です。
色々と作り方はあるものです。
最後に、参考となりそうな作例を2作あげて、締めくくりとします。
柳原裕司 詰パラ1992.12
打ち歩がらみだけど、角のラインが異なる関係で、桂合~桂不成が入るとは驚きです。
塩野入清一 詰パラ1974.12
「2枚飛を打って後に捨てる」パターン。趣向詰の名手による手すさびですが、うまいものです。 Tweet