根号(\(\sqrt{ }\))を導入する際に分数を持ち出すのはおそらく定跡だろう。
はじめて小学校で \(3\div7=\displaystyle\frac37\) という計算(?)を習ったときには、
「これって何も計算してないじゃん」
と思ったことだろう。
しかし \(\displaystyle\frac37\) という新しい数(有理数)も大小関係を比較できたり、和差積商が計算できたりしていくうちに、「これも一種の数の仲間なんだ」と認識するようになったはずだ。
2乗して2になる正の数を
\(1.4142135623730950488016887242097\cdots=\sqrt{2}\)
と表すのも同じことだ。
これから \(\sqrt{2}\) や \(\sqrt{3}\) といった根号の付いた数同志の大小関係を比較したり、和差積商の計算を考えていくうちに、「これも数の仲間に入れてやろう」という気になっていくと思いますよ。
もちろんお母さんに
「たかし~、3m の飴もらったんで家族7人で平等に分けたいんだけど1人分何cmに切ればいい?」
「ん~、\(\displaystyle\frac37\)m」
「たかし~、1辺1mの正方形の凧作りたいんだけど、対角線にする竹は何cmに切ればいい?」
「ん~、\(\sqrt{2}\)m」
いずれの答も「役に立たないね!」と叱られるのも一緒です。
分数は便利だけど同じ数の表現が何通りもあるという弱点がある。
例えば \(\displaystyle\frac37=\frac6{14}= \frac{12}{21}=\cdots\)
これらは総て最も易しい \(\displaystyle\frac37\) を最終の答にすることにする。
同様に \(\sqrt{72}= 2\sqrt{18}= 3\sqrt{8}= 6\sqrt{2}\)
これらは総て根号の中が最も易しい \(6\sqrt{2}\) を最終の答にすることにする。
……と進めていったら、そろそろ読者が飽きてしまう。
話をちょっと横道にずらそう。
小学校で習った割り算。
\(30\div7=\displaystyle\frac{30}7\)
の前は
\(30\div 7 = 4…2\)
と習った。
この式は今考えてみると=の使い方がおかしいように思う。
中学校に来ると=は左右の量が等しい意味に使う。
小学生から来たばかりの子どもは=は答を書くときの記号だと云った理解なので
「waとよむなイコールと読め。イコールは量が等しいことを表している」と指導してしまう。
(実は中学校でも=の使い方は結構いい加減)
あまりのある割り算を使った問題を解決するには
\(30=7\times 4+2\)
と変形すると分かりやすくなる。
それにしても
\(30\div 7 = 4…2\)
という式は何だったんだろう。
\(30\div 7 = 4.2…0.6\)
と答えたらバツだったんだろうか。
「先生、さっきは飴を切るのにノコギリしかなかったんですが、もっと細く切れるカッターを開発したので答が変わりました」
\(30\div 7 = 4.28…0.04\)
はどうなんだろう。
\(30\div 7 = 4.285…0.005\)
\(30\div 7 = 4.2857…0.0001\)
\(\cdots\cdots\)
\(30\div 7 = 4.28571428571428571428…0.0000\cdots\)
もしかしたら、これって非負整数の世界の割り算と云うことなのだろうか。
それだったら、
\(30\div 7 = 4\)
で、いいような気がするんだよね。
「30個まんじゅうがあります。1家族に7個ずつ配布します。何家族に配れますか」「4家族」
残った2個は喧嘩になるから捨てるか配布者が食べてしまうのが良かろう。
「30個水風船があります。7人で平等に分けると1人分は何個ですか」「4個」
水風船は分けようとすると割れちゃうのでねぇ。
計算問題はどういう数の範囲でしているかを明確にしないとフェアではない。
例えば「\(x^2-2\)を因数分解せよ」という問題でも、考えているのが有理数だったら「できない」だけど、実数だったら \((x+\sqrt{2})(x-\sqrt{2})\) とできる。
でも、そういう話を前に別のブログで書いたら、理解してもらえない人がかなり居るらしいことをコメント欄で知った。
あともう一つ考えられるのは「あまりのある割り算は割り算ではない」という考え方。
私はずっと別の計算だと考えていた。
だから「÷」を使うのを止めた方がいいのではと思っていた。
どうせ中学校では「÷」はあまり使わないし。
余りのある割り算は「÷」
普通の割り算は「/」
これじゃ駄目かな。
もしくは mod と \ を使うとか。
\(30 mod 7=2\)
\(30 ¥ 7=4\)
う~む。
やはりオチは考えてから書き始めないと駄目だ俺は。
最後の2つの等式は、既存の記号を使って
30 = 2 (mod 7)
floor(30÷7) = 4
※floor(x)はxを超えない整数(ガウス記号)
と書けるので、(新しい記号や用法を導入しなくても)特に困ることはないのかなと思いました。
シクシク…息子に「awkは言語の歴史の授業ででてきた」と言われたときと同じくらいショックです。
今は昔、Basic という言語では
30¥7
30Mod7
と書いたんです。
決して新しい記号や用法を導入したつもりではありませんでした。
AWKでは剰余の方は
30%7
でしたけれど…。
いや、でも、この書き方excelのVBAでは残っているのでは?
なるほどです。失礼しました。
確かにExcel VBAにもある記号ですね(演算子は覚えられないので毎回調べてます‥‥‥)。
ただ、「30 mod 7」は30の剰余類 \overline{30} (つまり集合)読めてしまうのがちょっと気になります。