山田修司「新四桂詰」『夢の華』第42番 近将1963.11
この作品も一度取り上げた。(詰将棋雑談(8))
しかし入門でも一度きちんと取り上げておかねばならない作品ということでお許しを。
15飛は17飛と活用するしか使い道が見えない。
まずは77とを清算していくしかないだろう。
87銀打、同と、同銀、88玉、
案外手をつけてみると変化は難しくない。
97角、同玉、96金、87玉、17飛、
早くも山場が出現する。
96玉は97飛まで。98玉も97馬、89玉、19飛まで。
間駒するしかないが、例えば57香合だと
57香、86馬、98玉、97馬、89玉、19飛、
【変化図】
59に間駒ができるが、九段目に打てる間駒は飛角金銀。
いずれも取って簡単に詰む。
それではどのような応手があるのかというと……。
27桂、
「只じゃないか」という声は封殺して考えてみると、先の変化同様の筋、86馬以下に対して逃れる応手は27桂しかないのである。
試みに86馬以下追うと次の図に至る。
【失敗図】
19飛とできない。(37角では、同飛で角が入手できるので論外)
しかし、そう27桂は只だ……。
同飛、37桂、
只捨ての桂馬ふたたび。
その意味は29飛を許さないことだ。
同飛、47桂、
そしてみたび。
当時は3連中合の作品は過去になく。
本作が嚆矢となるそうだ。
同飛、57桂、
これで四桂連合が完成。
この原理は古くから「逃れ図」として流布されていたものだそうだ。
当然詰将棋に仕上げることを試みた人も大勢いただろうに山田修司の登場以前にそれが成されたことはなかった。
同飛、同歩成、97馬、76玉、
86金、66玉、78桂、65玉、
結局、玉方は九段目で金銀合を渡す代わりに桂馬4枚を渡すことで凌いだことになる。
75金、同金、77桂、64玉、
75馬、同玉、87桂、64玉、
76桂、53玉、52金、63玉、
64歩、74玉、86桂、83玉、
連合の主な仕掛駒である飛車と馬を早々に処理してしまう所が巧い。
84歩、82玉、83歩成、同玉、
75桂、82玉、83歩、81玉、
さらに85歩の邪魔駒消去、さらに
92香成、同玉、93歩成、同玉、
85桂、92玉、84桂、91玉、
9筋の駒も捌いて四桂詰に持ち込む辺り完璧な仕上がりだ。
82歩成、同玉、74桂、81玉、
93桂不成、91玉、83桂不成 まで63手詰
最後の逃げ方は限定されていない。
最後に古くから流布していた逃れ図とはおそらく下図。
名人大家詰将棋妙手選 1916.1
上の図には仮に詰む順を入れておいたが、実は22手目より36桂合~66桂合以下不詰。
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