詰将棋入門(190) 「大迷路」

三代伊藤宗看『将棋無双』第100番 1734.8

『将棋無双』の巻末を飾る大作。
「大迷路」は門脇芳雄の命名。

先に門脇本で予習をすると、本局は手順は完全には限定されておらず、9通りの正解手順(変同8つ)があるとのこと。

あまり細かいところには拘らず進めていくことにしよう。

93飛成は間駒されて終了なので初手はこれしかない。

53と、

同金が正解だろうが、一応確認しておこう。

   同玉、42銀不成、同歩、45桂、

【変化図】

これで案外せまい。どう逃げてもあと数手で詰む。

そこで2手目は

   同金、

これで龍追いが始まる。

75桂、同成香、93飛成、

逃げ方は52玉と74玉の二択。
52玉が81龍の守りもあるが、序盤なので逆に変化だろう。

   52玉、51角左成、同龍、同角成、43玉、
33飛、44玉、53龍、55玉、35飛成、45香、
同龍、同玉、46金、34玉、33龍、25玉、
35龍まで

【変化図】

そこで作意は74玉に決まりだ。

   74玉、73龍、

また逃げ方が二択。

65玉は75龍以下いくつもの分岐に進んでいくが、上部に逃げていくと持駒に香があるので早く詰むようだ。
しかし入玉方向に逃げられると、結局85玉と戻ってくるようだ。
おそらく変同順になると思われるので、85玉と決め打ちして進めていこう。

   85玉、

75龍、94玉、95香、同と、
同龍、83玉、93龍、74玉、73龍、

また二択だが、65玉は変同だろう。
それよりも85玉と逃げられた後、延々とぐるぐる回転してしまうことの心配をする必要がある。

   85玉、86歩、

85玉に75龍ではまた一回転するだけだからここで手を変える必要がある。

   同玉、77龍、85玉、75龍、94玉、
95龍、83玉、93龍、74玉、73龍、

さてまた似た局面になった。
17手目の局面との違いは77歩の有無だけ。

   85玉、86歩、同玉、68角、

【変化図】

したがって再び85玉なら86歩、同玉に、68角が可能になる。
85玉と戻れば86歩以下3手詰だし、77歩と抵抗しても75龍、
97玉、77龍、87歩、86龍まで。

したがって85玉ではなく中央に逃げ出す65玉が正解だ。

   65玉、

75龍、56玉、66龍、

さて早くもまた二択。
これも変同かもしれないがよく見ると45玉には46龍だけではなく36龍もある。

   45玉、36龍、55玉、33角成、

44玉は33角成の一発。
55玉と戻っても33角成。馬ができてはこれは早い。

   65玉、66龍、74玉、75龍、83玉、
73龍、94玉、93角成、

【変化図】

そこで34手目は

   47玉、

54香の利きに注意して攻める必要がある。

46龍、

また二択だ。
58玉は少し進めるとまたぐるっと回ってくる。
これは変同だろう。
38玉はすぐに手が止まる。
こちらを先に進めよう。

   38玉、48龍、27玉、

手を続けるには…

36銀、同玉、37龍、45玉、

ここで35龍と46龍の2つの手段があるように見える。
しかし35龍は

35龍、56玉、46龍、67玉、66龍、58玉、
68龍、47玉、48龍、36玉、37龍、45玉、

で同じ局面に戻ってきてしまう。
いわゆる迂回手順だ。
そこで46龍以下上部に追い込んでいこう。

46龍、34玉、35龍、43玉、42銀成、同歩、
33龍、52玉、42龍、63玉、62龍、74玉、
73龍、

85玉は68角があるから駄目なのだった。

   65玉、75龍、56玉、66龍、

再び二択。
こんどこそ45玉が可能になってはいるが、手順で22歩を取って持駒が増えただけの次の局面になる。

それだったら持駒が少ないうちに47玉と逃げることを選択しよう。
(1歩の差が下辺でなければ45玉も変同だということだ)

   47玉、46龍、

前回この局面は二択だったが、37銀が消えたことで38玉は37龍以下の3手詰になっている。
37銀が消えたことは36龍がなくなったので、45玉と逃げることを可能にしたが、37龍を可能にしたので38玉と逃げることはできなくなっている。

   58玉、48龍、67玉、68龍、

ここで逃げ方は二択だが56玉は66龍でも57龍でも結局変同になりそうだ。

   76玉、

ここでも66龍と77龍があるようだが、結局どちらも85玉と逃げることになる。
これは非限定ということでよいだろう。(余詰だという人もいるかもしれない)

66龍、85玉、75龍、94玉、95龍、83玉、
93龍、74玉、73龍、65玉、75龍、56玉、
66龍、

45玉は持駒が増えて同じ局面になる。
そこで46玉だがこちらも同じ局面にならないように攻める必要がある。

59手目の局面と比較してみると違いは67歩の有無だけだ。

   47玉、46龍、58玉、59歩、

48龍では同一局面に戻ってしまうので59歩と手を変える。

   69玉、66龍、

67歩が消えているので、今度は66龍が王手になるという仕組みだ。

   78玉、68龍、87玉、98銀、

逃げ方が二択。これは片方は変化だ。

   86玉、88龍、76玉、87龍、65玉、
85龍、56玉、76龍、

   55玉、46龍、65玉、66龍、74玉、
75龍、63玉、73龍、52玉、62龍、43玉、
42龍、34玉、33龍、45玉、37桂、


   56玉、36龍、65玉、66龍、74玉、
75龍、63玉、73龍、52玉、62龍、43玉、
42龍、34玉、33龍まで127手詰

【変化図】

逆回転になると37桂が決め手になるということだ。

そこで90手目に戻って98銀には76玉が正解だとわかる。

   76玉、

さて、もう一度84角の周りを回ってこよう。

66龍、85玉、75龍、94玉、95龍、83玉、
93龍、74玉、73龍、65玉、75龍、56玉、
66龍、

59歩があるから、すでに47玉という選択肢は消えている。

   45玉、46龍、34玉、35龍、43玉、
33龍、52玉、22龍、

さて質駒らしい22歩をとってあとは収束だろう。
それにしても持駒に歩が8枚もある。
そろそろどこでこんなに大量の歩を消費するのか心配になってくる。
22歩を消去したのも持駒を補充という意味よりも収束の下準備という意味の方が大きいようだ。

   63玉、62龍、74玉、73龍、65玉、
75龍、56玉、66龍、45玉、46龍、34玉、
35龍、43玉、44歩、

何周かしてみれば、収束に入るのは44歩しかないとわかる。
44歩に逃げたらどうなるのか。

   52玉、32龍、63玉、62龍、74玉、
73龍、65玉、75龍、56玉、66龍、47玉、
46龍、45玉、46龍、34玉、35龍まで139手詰

【変化図】

43玉ができないのだからもう1周して詰みだ。
そこで44歩は同金の一手。

同金、42角成、

角が消えた。あとはまだ7枚残っている歩だが。

   同玉、44龍、43歩、33金、31玉、
32歩、21玉、

43の間駒は銀打としても32歩を同銀と取れる訳でもなく、何でも良いようだ。

22歩、11玉、12歩、同金、23桂不成、同金、
12歩、同玉、14龍、

龍を鮮やかに消した。
12歩を同玉だと23桂成~14龍で歩1枚違う。
12歩と14龍は手順前後が可能だ。

   同金、23金打、11玉、21歩成、同龍、
12歩、同龍、同金、同玉、

14龍、同金であと5手で詰んでしまうように見えたが、今の今まで隠れていた81龍が動き出してきた。

13歩、同金、22飛、11玉、12歩、同金、
同飛成、同玉、23金打、11玉、22金左まで163手詰

最後まで繊細な歩使いが楽しめる見事な作品だった。

変同が8個もなかったと感じられるかもしれないが、変同の先でまた別れていく訳だ。この変同は誉められたものではないが、右下・左下・左辺と狭い所でよくもこれだけの仕掛を詰め込んだものだ。
収束も手順前後はあるものの最後まで気を抜けない流麗な手順であり、傑作といって間違いないだろう。

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