岡田敏 近代将棋1980.10
「詰棋書紹介」で取り上げた作品だが、再度こちらでも紹介する。
大駒はすべて攻方。当面は17飛を表舞台に出すことを考えて攻めれば良さそうだ。
22歩成、同香、23桂不成、21玉、11桂成、
31玉、
初手は22歩成しかなさそうだ。
同玉は23桂成、11玉、25角までだから同香。
15桂馬も消してしまいたい。
とれば17飛が動き出すから23同香とも11同玉とも取れない。
この局面でしばし考える。
65龍を働かせることも考えなければならぬ。
32角成、同玉、33金、
初手は角を捨てるしかないのだが、41角成~52金~42金か、それとも32角成か。
33金に同玉は44銀で簡単に詰むことを確認して、取れないのならば33金だと決め打ちする。
41玉、52金、同玉、
33金に31玉では22金、同玉、12飛成で簡単。
41玉の一手だが、今度は52金で誘き寄せられる。
さて、次は……
53金、同玉、44銀、
63香を取らせるのはまだ早い気がする。
53金に44銀が手応え有りそうだ。
同玉なら45龍、33玉、37飛以下簡単なので、44銀も取れない。
11から44まで綺麗に並んで駒が残っていくのが、正解の匂いがぷんぷんするという訳だ。
63玉、55桂、72玉、
続けて55桂も置けた。
ここら辺ではもう半分以上解けたつもりで追っていた。
82香成、同銀、84桂、83玉、82と、84玉、
【失敗図】
84桂と跳びたいが、取られる前に82香成と仕事をしておくのが手の筋というものだ。
そして82とと銀を入手して絶好調と思いきや……、いきなり行き止まりにぶつかった。
まだ手は続くがとても詰みそうにない。
では何処で間違えたのか……。
実は初手から間違えていたのだ。
詰将棋解答選手権だったらここまで解いてきても途中点が1点も貰えないという悲惨な結果だった。
66角、
なんとも見事な伏線手だと言わざるをえない。
一体誰が、この初手を最初に考えるだろう。44銀に同玉の変化でもこの48角が活躍していたので、まさかこの角を初手に捨ててしまうのが正解だなんて思いもしなかった。
同と、
55歩合などは同角と取って、12歩、同玉としてから22歩成で15桂の消去が保障される。
22歩成、同香、23桂不成、21玉、
11桂成、31玉、32角成、同玉、33金、
頭2手を挿入すれば、途中の手順は間違っていなかったようだ。
ただし、44銀に同玉の変化は読み直す必要があるが、省略する。
41玉、52金、同玉、53金、同玉、
44銀、63玉、55桂、72玉、82香成、同銀、
84桂、83玉、82と、84玉、
75とが66に移動しているだけで、なんと景色が変わってしまっていることか。
これなら収束まで一気に進めそうだ。
85銀、95玉、96歩、同と、同銀、同玉、
97歩、同玉、95龍、96金、
金合はもちろん86龍を拒否するもの。
同龍、同玉、86金、97玉、87金、98玉、
88金、99玉、19飛まで45手詰
曲詰はもちろん飾り駒は許されない。
また、不動駒も少ない方が優れている。
確認してみよう。
緑になっているのは動いた駒。
黒い駒は初形からずっとそこにいる駒だが、いずれも必要な駒であることは明白だ。
11成桂・33金・44銀がいずれも取れない捨駒で配置された駒であるというところが凄い。
初手の伏線も評価されて塚田賞を受賞したはずだ。
しかし残念なことに、今回柿木将棋で検討したところ初手から次のような余詰が見つかった。
22歩成、同香、23桂不成、21玉、11桂成、31玉、
41角成、同玉、52金、31玉、42金、同玉、
53金、同玉、13飛成以下
どうも48角が37に利いているのがいけないらしい。
修正案としては39角にするか57角にするのが考えられるが、どちらがいいだろうか。
また他にもいい案があればコメントを。
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