詰将棋創作チョー入門(16) 第2回三手詰祭:結果発表(その3)

第2回目の三手詰祭。
71問を一気に出題しました。

4月から土日はお休みにしていましたが、今日は特別にうpします。

お気に入り投票の数は★で表しています。

第41問 keima82

正解
13角、同龍、47金まで3手詰

◇可成地帯から王手をかけるための限定打。工夫されているのは35角、56玉、46金、57玉、47金までの5手詰という紛れを作っていることです。(今回の課題を知っている人には無意味ですが……)45角には36歩の捨合で詰まないのかと読ませることで満足感を高めます。

占魚亭 受方竜を釣る最遠打(その2)。
まつきち 4番の仲間。こういう表現もある。
keima82 自作。やはり皆同じことを考えますよねw

第42問 奥鳥羽生

正解
69角、同龍、38香まで3手詰

◇ライン交差の捨駒です。生香で串刺しにする感触が良いですね。もちろん37合は同飛で無駄合です。14角の紛れに25歩の捨合を用意してあるのも流石です。先に39香と打つと49角に47歩合で詰みません。先に49角と打って、もし47歩合なら37香と打てるように香は手持ちにしておく必要がある訳です。★★

まつきち 2番の仲間。38香の詰上りがいい感じ。
占魚亭 受方龍を八段目から移動させる(その2)。
negitarou 47合でも、58合でも、最後はビシっと香打ちで詰みます!
keima82 40番と同じような意味付けの角捨て。2手目の応手で香の打ち場所が異なるのが面白いです。また、初手14角や39香等が良い紛れになっています。

第43問 keima82

正解
27角、同玉、18龍まで3手詰

◇角を開いて48龍で王手するしかない形。19玉と逃げられたときに詰ませるのは27角と29角しかありません。同玉とされても詰むのは27角しかないと絞れます。★

貴棋 王手でない捨て方が面白い。
占魚亭 角の移動場所を問う(その2)。
まつきち 一マス移動する27角のふんわりした感じが良い。

第44問 keima82

正解
37馬、同と、57角まで3手詰

守備駒を移動させるための捨駒。純粋なものは今回では初めてでしたっけ?最終手も限定移動で緊張感を保ったまま終局。★★

占魚亭 角の盾。
奥鳥羽生 強手後に 一つ引く味 奥ゆかし
まつきち 初手が入って最終手が生きた!(37馬~57角)
高橋美鈴 初手の馬捨てが開き王手を成立させるハッとする手。
negitarou 3手目(角を動かして「龍」を守る)の感触が好きです。

第45問 シナトラ

正解
46馬、同桂、74馬まで3手詰

◇51飛車を働かせるのに玉までに駒が3枚もいる。3手詰で3枚も消えるのかと一瞬心配になる初形です。実際には初手は46馬か66馬の二択。66馬では47玉と逃げられて失敗です。最終手も緊張感ある限定移動。56合は同飛成で無駄合。2手目58玉に25馬までの変化もボリューム感を高めます。★★★★★★★★

松田圭市 ダイナミック
貴棋 今回一番悩まされたので。
まつきち 紛れの活きる巧みな構図。
奥鳥羽生 止め馬 左へ右へ 対比かな
negitarou 初手は、46馬か66馬の二択。
十姉妹 右に左に楽しかったです。初形が良かったです。
占魚亭 58玉は25馬まで。取るか逃げるかで馬の移動方向が変化(その1)。
natemomi 最初に見たとき、5筋に駒が並んでいて面白いと思いました。盤面全体を使った詰将棋は経験がなかったので、面白かったです。
keima82 初手が2択。2手目同桂の場合はどちらも同じように詰み。問題は58玉の場合で、「あれ?どうすんの??」としばらく悩みました。
高橋美鈴 縦に配列されてて、見た目重視かなと思ったら、開き王手のタイミングや、4筋に逃がさないなど、工夫されてて気持ちよく解けました。

第46問 negitarou

正解
55角、同玉、64角成まで3手詰

◇玉を呼び込む捨駒。課題を知っている人には一目でした。先に64角成は51香が働き出して55歩と間駒されて失敗です。

占魚亭 危険地帯へ誘導(その1)。
keima82 手順前後は合駒をされて失敗。
奥鳥羽生 潜む敵 触らぬ香に 祟りなし
まつきち 手順前後を許さない構成を少ない駒数で実現。

第47問 negitarou

正解
58角、同龍、74角まで3手詰

◇守備駒を移動する捨駒です。初手に角の王手が3通りあるので考えさせてくれます。詰上りも生の角の腕の長さがピンと張り詰めた印象をもたらしてくれます。(最近の変長ヘイト論をきいているといまにバカ詰めのようにこの詰上りが認められなくなる日がくるのではないかと心配です)

奥鳥羽生 角捨てで 龍にお眠を 誘いけり
占魚亭 受方龍を6筋から移動させて退路封鎖。
まつきち この詰上りも一時期流行った記憶があるが、いつみても気持ちよし。

第48問 keima82

正解
68角成、同玉、86馬まで3手詰

これも一旦課題については忘れて解いて欲しい問題。初手64馬を動かしてみたくなる。86馬や46馬として68馬を目指しても63香で香が利いてきて失敗。捻って54馬、63香、36馬は59香がブラなので59玉で終了。作意は裏をかいて68角成と玉を両王手の位置に呼び込む捨駒。遠くから角がひっくり返るのにはなんともいえない情緒を感じるのですが、オレだけ?★★

占魚亭 香を取らせない迫り方。
奥鳥羽生 両王手 香の出番を 封じたり
まつきち 馬を右に動かしたくなるのはなぜ?
natemomi なぜ1三に角があるのか考えて、成るためだと気づいたときに作者の方はよく考えていらっしゃるのだと感心しました。

第49問 荒川貴弘

正解
14角成、同玉、24金まで3手詰

◇23には桂馬が利いている。14の死地に玉を呼び込む捨駒14角成の出番だ。何度も使われているのはそれだけ心に響くものがあるからだろう。32角を41角にしたいくらいだ。

占魚亭 25歩の顔を立てる。
まつきち 定番とはいえ14角成と成り捨てるのは爽快。

第50問 松田圭市

正解
36角、15玉、37馬まで3手詰

◇線駒のラインを遮るための限定打。作意をみればその意味は明らか。しかしちょっとこの作意はモヤモヤする。折角香の頭に打つ限定打なのだから「同香」とスパッと取りたいものだ。では何故取れないのか。それは同香だと、24馬までだけではなく、36同馬と香車を喰う余詰があるからだ。(解答はもちろん同香でも正解)しかし、それだったら46馬ではなく57馬の配置にすれば良さそうだが……。

占魚亭 障害物を移動させる(その2)。
negitarou 初手は、馬のコースを通すための一着!
まつきち 限定打の意味づけは14番・15番などに似たもの。香が相手だと深みは出しにくいか。
keima82 作意手順はとても面白いですが、最終手で香を取って詰むのはかなり気になりました。自分なら駒を追加(31香等)してでもこのキズは消したいです。

第51問 羽毛布団

正解
84角、同玉、82飛成まで3手詰

◇玉を呼び込む捨駒。角の腕の長さを必要とした捨駒ではないので、金や銀でも良さそうだが、それでは74から打って平凡に詰んでしまう。角は使いにくい局面なのだ。そして作者が解答者に期待しているのは初手91角を考えてくれること。64に逃がさない角らしい使い方だ。82歩の捨合で辛くも逃れるという紛れだ。この手を見せておいて、作意は小駒のように角を使うのが狙い。★★★★

奥鳥羽生 駒増も 紛れ増やしに 創意見ゆ
占魚亭 コビンに一撃。64玉は54飛成まで。
まつきち 初手を限定にするのは難しかったのかな。
高橋美鈴 一見、91角としたくなるが、合駒されちゃう。詰み筋に誘う角捨てでした。
negitarou 初手(84角)の感触が好きです。玉が逃げても綺麗に詰みますね。
natemomi 2手目がなかなか気づけず、苦労しました。本当によく考えられて配置されているなあと感心しました。

第52問 シナトラ

正解
75角、同飛、56龍まで3手詰

◇第14番と正面衝突。8段目以下を切り取るとソックリだ。ということは77歩を銀に替えれば54桂はいらなくなる。しかしそれではわざわざ57玉の配置にして13角~68角成などの紛れを用意した意味がない。本作は初手の角打ちが12箇所もあるというが最初の発想なのだ。そのなかで飛車の利きに打つ75角が唯一の正解、余詰は利きが目立たぬ54桂ですべて対処するという造りなのだった。

奥鳥羽生 優しさか 最終余詰 消す配慮
占魚亭 受方飛を5筋から移動させる(その2)。
keima82 14番とネタ被り。でも、本作も変化処理がお上手です。
まつきち 14番の仲間。中空の一手75角が妙手。今回この限定打もちょっと流行(笑)

第53問 シナトラ

正解
13角、同龍、56角成まで3手詰

◇初手24角という恐ろしい罠を仕掛けて3手詰なのに誤解者を生み出した。今回は手順の記入を求めていないので一体何人が完成に陥ったかわからない。さらに今回の課題を知らずに解いたとしたらどうなったことだろう。パラの幼稚園で出題してみたかった。
◇23角がピンされている。これを解除すれば56角成までだ。そこで普通に考えるのは線駒のラインを遮る24角。何を合しても逃げても56角成で詰みそうだ。ところが王の位置が悪かった。24角には35桂、同角、46歩、同角、47玉で詰まない。
◇正解は可成地帯に打つ13角。46合駒なら同角成と取るぞという手だ。47玉には56銀という手が盲点に入りそうだ。同龍と取らせて守備駒を移動させて23角をアンピンするという面白い手段だった。★★★★★★

松田圭市 これは裏をかかれた
高橋美鈴 初手14角として、自玉を守りたい気持ちになる。
貴棋 三手詰めの中に桂の中合の5手詰の罠を仕掛けたので。
keima82 2手目47玉に対する56銀がなかなか見えませんでした。
占魚亭 受方龍を2筋から移動させてピンを解除。47玉は56銀まで。
negitarou 初手は「24角打」が第一感。それだと、35桂合、同角、46歩合・・・ で詰まないんですね。
松崎一郎 チョー入門にしてはチョー難しい!。作意は、13角、同竜、65角成の三手詰。又は、13角、47玉、56銀まで三手詰と思います。が、二手目に35桂の中合の逆王手があり、同角成、47玉、39桂まで5手詰となりませんか・・・・・。
◇その順の解答も正解ですが、
13角、47玉、56銀まで
13角、35桂、同角成、47玉、56銀まで桂余り
この手順を比べると35桂は無駄合といえます。

この作者の作品をもっと解いてみたい方は、下記の本の第四章を!

第54問 羽毛布団

正解
73角、同飛、36馬まで3手詰

◇可成地帯から王手するための限定打。87飛が91角・82角を拒否しています。中空に打つ角の限定打は気持ちが良いです。盤面を大きく使った作図が好印象です。★★

奥鳥羽生 限定に 盤端使う 案もあり
◇左に2筋動かすと87飛が消えるということですね。
占魚亭 どちらの飛車を移動させるか問う。27玉に備えた初手がキモ。
negitarou 初手の角の打ち場所で、結構悩みました。2枚の飛車の守りがよく利いていますね。
まつきち 87飛は一石二鳥の好配置ですが、逆に73しか打てなくなってしまいました(笑)。28歩は置いた方が良い?

第55問 風みどり

正解
68角、同歩成、19飛まで3手詰

◇焦点の捨駒。19飛は18歩合、83飛成は73歩合。78飛が縦横に利いているのでどちらかを消そうという方針を立てます。68角が67歩の存在を活用する手で同歩もしくは合駒は19飛、同飛なら83飛成で詰むという訳です。

keima82 67歩は玉方にとっての邪魔駒になっているのですね。
高橋美鈴 歩の効きに角を打つ。どちらかの飛車を止めればいい。
占魚亭 同歩成は19飛まで。取る駒の違いで攻方飛の移動方向が変化。
まつきち 30番の仲間?(笑)。68は焦点なので妙手ですが、流石に古典的。
negitarou 面白かったです。「世界一難しい7手詰(三谷郁夫氏作)」を彷彿とさせます。
◇いずれも元ネタは伊藤看寿の図巧第8番
natemomi 盤面を大きく使った詰将棋経験がなかったので面白かったです。解答があっているかは自信はないです。。
◇見事正解です。

第56問 荒川貴弘

正解
23角成、同金、12飛成まで3手詰

◇守備駒を移動させる捨駒かつ攻方の邪魔駒を消す捨駒。★

占魚亭 飛の通り道を作る(その2)。
N.Yama 角をなり捨てることで金をうまくどかせました。
まつきち ごちゃごちゃした配置(笑)。難解さを求める意図はないでしょうから、もっとシンプルな表現も可能では?
keima82 詰め上がりで、14の地点への効きがダブるのが気になりました。☗15と→☗25歩にすれば玉方馬も不要ですが、紛れが減って微妙ですかね。
◇ただ邪魔なだけだった32角に14地点を押さえる働きが加わります。働いている角を捨てることで捨駒の価値が上がります。最終手12銀成も消えて、さらに31金も不要になりますね。

第57問 荒川貴弘

正解
13角成、同玉、22銀不成まで3手詰

◇バッテリーですがリアピースの25香は14銀に当っていますし、何処に角を開いても攻め駒が足りなそうです。そこで逆に角を捨て25香を活かすのが正解というわけでした。2手目33玉は22馬までの変化は攻方の駒がすべて働いていい感じです。このとき42を押さえる役割と思っていた31銀が最終手に動き出すのも効率的で好印象です。★

占魚亭 33玉は22馬まで。素直な手順。
まつきち これを作意に限定出来れば24角のミニ回転。
奥鳥羽生 創意見ゆ 初手選択肢 多き良し (攻強化 受弱化する 案もあり)
☖12桂→12歩、☗25香→26香、☗35歩→44歩、☖32歩・43歩→☗43銀 (紛れ増、13角生は25銀で逃れ)
◇12桂、14銀などの配置は「守りが厳しくて詰みそうにないだろう」という配置です。それを両王手の威力が打破するのですが、詰将棋に少し慣れてくると逆に攻めが狭まって易しくなります。そこで「どうやっても詰みそうだろう」という配置にすることを考えるのですね。詰上り攻方の駒があまり遊ぶのも嫌なのでバランス感覚が求められます。

第58問 keima82

正解 26角、同銀、47飛まで3手詰

◇邪魔駒消去の捨駒です。37角がいなければ47飛までの詰み。26角に同銀とされ失敗したかと思いきや、53角が後ろに控えていたので47飛でやはり詰んでいたというラッキー感が狙いでしょうか。★

奥鳥羽生 隅の桂 作図経過の 名残かな
◇19桂は確かに不要に見えますね。16桂が28角を消しているのも謎なので、28角、同桂成、14飛という紛れを組み込むことを企画していたのではないでしょうか。
占魚亭 間接ピンメイトと言えばいいのかな?
negitarou 両王手ではないですが、玉方の「銀」が角にピンされているので詰み!
まつきち この詰上りも一時期流行(笑)。1~2手目はペレで銀を呼んでくる感じ。

第59問 シナトラ

正解
17角成、同桂不成、27角まで3手詰

◇玉を呼び出す捨駒。同玉なら14飛まで。そこで同桂と守備駒が移動する結果となり遮蔽が解除されて24飛が働き出す。2手目同桂成だと29角で駒余りの詰み。作意手順は駒余らずのはずだから、これは応手が間違っていると判明。17同桂不成が正解とわかります。

negitarou 2手目・不成問題
占魚亭 障害物を移動させる(その3)。成ると29角。
まつきち 玉方桂不成の定番とはいえ、配置はよく計算されている。
keima82 第1回の自作(No.43)の角バージョン。実は自分も同じネタで考えてたのですが、なかなかうまく作れず断念してしまいました。もし出していたら盛大にネタ被りしていたところでした。

第60問 negitarou

正解
84角、同桂、63桂不成まで3手詰

◇邪魔駒消去の捨駒。初手は24角と84角の二択なのですが、52玉とされたときに62角成とできる84角が正解。24角も同Xと取る駒があった方が紛れるかも。★

占魚亭 52玉に備えた初手。
keima82 自陣と金を置かれることが多いですが、歩で済むのなら歩を置いた方が良いと思います。
まつきち 桂香による両王手の詰上り、短手数で妙味を出すのは難しいですね。本作は初手が二通りあるのが良い。
natemomi 初手がなかなか発見できませんでした。角をどちらから王手するのか駒を動かして何度も繰り返し考えたので印象に残っています。
negitarou 自作。【第28問】と【第60問】は姉妹作。容姿はあまり似ていない姉妹です(笑)。「邪魔駒を移動させてからの両王手」が共通テーマです。

一気にいけるかもとも思いましたが、あと1回ください。また明日!

「詰将棋創作チョー入門(16) 第2回三手詰祭:結果発表(その3)」への2件のフィードバック

  1. 【第60問】で、第28問と第60問は「両王手」がテーマとか書いていますが、第28問は両王手ではありません・・・

    色々、グダグダでしたね(汗)

  2. 不要駒、やってしまいました。お恥ずかしい。何で置いたのか自分でも覚えてないです…。

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