作品集制作のススメ(1) Kindle ダイレクト・パブリッシングの印刷品質

 今回amazon-kindleのオンデマンド出版サービスを利用してみた。結論から言って、このサービスを利用すれば作品集を出版するハードルは、また一段と下がったといえる。このサービスの報告だけしようと思ったが、この際ある程度まとめて「作品集制作のススメ」を書いておくことにする。

 そのために少しずつ出版についての知識も説明していこう。(オイラも素人ですが)

印刷の色々

 Kindle ダイレクト・パブリッシングはオンデマンド印刷です。オンデマンド印刷って何だろうということを簡単に説明します。
 大雑把に言うと印刷の方法には次のようなものがあります。

  • 孔版印刷
    古い方にはガリ版印刷といえばわかるでしょうか。傷をつけて空いた穴を通してインクを紙に移します。今でも中学校での印刷物はだいたいこの方法です。公民館で印刷機を貸してくれたりします。森田さんも「詰研会報」はこれで印刷していました。若かった頃に造ったアンソロジー『Affection』や『Affection2–妻木貴雄作品集』はこの方法で藁半紙に印刷して造りました。
  • 凸版印刷 昔は活字を並べて版を組みました。今では滅んでしまいました。あるとしたら、よほどの高級品です。印刷された文字のへこみに拘りがある人の造る本でしょうか。
  • 凹版印刷 印刷屋さんに頼むと大体この仕組みなります。オフセット印刷ともいいます。インクをドラムに乗せて、そのドラムから紙にインクを移します。早くて綺麗です。公民館によっては貸してくれるところも昔はあったのですが、今はどうでしょう。カラー印刷はこの方法で何枚かの色を同じ紙に何度も印刷して実現します。印刷技術者の腕で仕上がりは全然違います。
  • オンデマンド印刷 簡単にいえばレーザーコピー機の高級なものです。印刷ではなくコピー。昔の同人誌は安いコピー屋でコピーしたものをステープラで製本して販売したという伝説が残っています。

Kindle ダイレクト出版で出されている詰棋書

 現在手元にある、このサービスで出された詰棋書は写真の3冊です。

坂田慎吾さんの『不知火』とspringsさんの『春暁』、そして今回つみき書店で作成した『詰将棋つくってみた2021』です。もっとありますが、ごめんなさい買っていません。

 『不知火』は詰将棋を見事な盤駒で並べた写真を掲載するという豪華な造り。 twitterの「駒テロ」の総集編です。これ見てると、使いもしないのにいい駒が欲しくなってしまうんですよねぇ。

 ただひとつ気になることがありました。それは詰将棋の図面です。

 解説の文字は鮮明なのですが、図面に滲みが見えます。縦横の線はともかく、文字がどうも粗いです。アンチエイリアスをかけ忘れたとか、そもそも粗い画像を拡大したといったことが原因なのか、それともオンデマンド印刷の特徴なのかが気になりました。

 そこで自分でも1冊購入して、確認したかったのはその印刷品質です。

 文字や図面に関しては、ご覧のように十分満足できる仕上がりでした。ほっとしました。
 しかし画像に関してはやはり気になります。

 滑らかな線がギザギザな線になってしまっています。手書きの文字もでこぼこしてエッジがくっきりしていません。オンデマンド印刷は、画像は苦手なのでしょうか?
 いやオイラがまだ画像の取り扱い方を理解していないので、それが原因だったらよいのですが。

 ともあれ、印刷品質は悪くないと思いました。あとオンデマンド印刷はコピーなので、他の印刷方法と違ってインクではなくトナーです。昔はコピーしたものを綴じておいたら、暫くしたらくっついてしまったり転写されてしまったりということがありました。そこら辺のことは何年か経ってみないとわかりませんが、改善されていると信じましょう。

「作品集制作のススメ(1) Kindle ダイレクト・パブリッシングの印刷品質」への2件のフィードバック

  1. 手持ちの安いレーザープリンタでPDF版の160頁を印刷してみたら、画像中の文字「亀有香取神所のコマイヌ」もくっきり読み取れました。
    オンデマンドの印刷は、なぜか画像部分だけ新聞紙のようなフィルター機能を使っているようですね。

  2. そうなんです。自宅のプリンタで出力するゲラではくっきり印刷できるんですけどね。

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