作品集制作のススメ(2) 出版にかかる費用

 今回amazon-kindleのオンデマンド出版サービスを利用してみた。結論から言って、このサービスを利用すれば作品集を出版するハードルは、また一段と下がったといえる。このサービスの報告だけしようと思ったが、この際ある程度まとめて「作品集制作のススメ」を書いておくことにする。

 2回目は費用について。作品集を作りたいが、一体どれくらい費用がかかるのか心配だという方も多いだろう(多分)

 もちろん、どのような形で造るのか、何部刷るのか、で金額は全然違う。そこで具体例を一つご覧に入れよう。

『Limit7』の帳簿を公開

 『Limit7』は本文152頁、カラーのカバーPP加工、見返し付きだ。
 1000部刷ることにして印刷屋に見積りを依頼したら、印刷製本にかかる費用は502,200円だった。

 さて定価をいくらに設定するべきか。次のようにシミュレーションした。

定価設定 ¥ 1,500
印刷部数 1,000
印刷製本 ¥502,200
印税 ¥150,000
献本費 ¥ 39,600 献本数 220
装丁 ¥ 5,000
輸送費 ¥ 24,090
合計 ¥720,890
商品数 780
損益分岐点 687 すべて委託販売の場合
565 直販と半々の場合
481 すべて直販の場合

 アンソロジーなので献本が多い。1000部刷っても販売できるのは780部。
 費用の合計が720,890円だから1冊の原価は924円になる。
 まずは1500円で計算してみた。するとすべて直販できるなら481冊売れればかかった費用は回収できるが、委託販売だと定価の7割で卸す上に送料がかかるから687冊売らなければ赤字になってしまうということだ。(amazonは6掛なのでもっと厳しくなる)

 そこで2000円で計算してみた。

定価設定 ¥ 2,000
印刷部数 1,000
印刷製本 ¥502,200
印税 ¥200,000
献本費 ¥ 39,600 献本数 220
装丁 ¥ 5,000
輸送費 ¥ 24,090
合計 ¥770,890
商品数 780
損益分岐点 551 すべて委託販売の場合
453 直販と半々の場合
385 すべて直販の場合

 定価をあげれば印税もあがるが、自分の分の50,000円は無視して良い(?)ので500部も売れればトントンになりそうだ。時間をかければ、500部ぐらいは売れるだろう。
 これで2000円と決定した。

 現在489部売れていて、入金の総額は712,336円だ。あと8,554円でペイする。読み通りと言って良いだろう。(あと直販で5冊!)

 実際には最初の本だったから、この他に屋号のロゴを作成したり(使わなかった)、isbn取得やJANコードを取得するのに費用がかかったが、それは計上していない。

 もし自作集を造るのだったら印税はいらないし(?)、献本ももっと数少なくて済む。印刷製本も探せばもっと安いところもあるだろう。しかしそれでも最初に500,000円程度は必要になる。この金額がネックになるという方もいるだろう。

 amazon-Kindleダイレクト出版ならば、この費用がかからない。次に『詰将棋つくってみた2021』の原価計算を公開しよう。

『詰将棋つくってみた2021』の原価計算

 今回はpdf出版ということで作家の方々にもJudgeの方々にも印税はなしということで了解を得ている。かつ献本費用もpdfをメールするだけだから無料だ。

 かかった費用は装丁に10,000円、紙の本を国会図書館やあちこちに献本して8,640円。
 あわせて18,640円。これだけだ。印税を払わないのだからつみき書店の利益もさして出す必要はない。そこでpdf版は800円とした。STORESで販売すれば760円は入ってくるので、25冊売れればペイする予定だ。(現在5冊売れています)

 なぜ、これだけで済むのか?具体的にamazon-Kindleダイレクト出版の進め方を説明しましょう。

kindle direct publishing にログインする

 まずはkindle direct publishing にログインします。urlは下記です。

https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP

 【+ペーパーバック】を選択します。

 作成は3段階で終了です。

ペーパーバックの詳細情報を入力

 本のタイトルや著者名、内容紹介などを入力します。内容紹介はAmazonで販売されるときの商品説明として表示されるものですから、真面目に書く必要があります。

ペーパーバックのコンテンツをアップロード

 紙は本文用紙(あまり選択肢はない)、判型などを指定した後、データを入稿します。

  • 原稿(pdfを推奨)
  • 表紙(pdfのみ)

 正常にアップロードできたら、ピレビューアで確認します。

ペーパーバックの価格設定

 『詰将棋つくってみた2021』の場合、208頁、表紙カラー、PP加工で1冊の印刷コストは591円とでました。
 希望小売価格は985円以上30000円以下で設定しろと指示されます。今回は1000円としました。
 1冊売れると、原価が591円、amazonに400円、つみき書店に9円、国に100円が入ります。
(これだけですとペイするのに2072冊売れないといけないので、皆さんpdf版を買ってくださいね。ちなみに紙版は現在23冊売れました)

 つまりオンデマンド出版とは、注文が来てから印刷・製本して販売しますので、まえもって印刷製本費がかからないということです。

※今日はここまで!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください