新田道雄 詰パラ 1975.5
前回に続いて桂香図式。
新田道雄氏は詰パラデパートの担当を長く務めつつ、多作で、解答でも活躍していた。
42金が守っているので、31から41への逃走が気になる。
では具体的に初手は?
33銀?23銀?13角?
でも、大抵の詰将棋ファンだったら、まず試してみたい手が見える。なぜと訊かれても困るのだが、まずはこの手に心惹かれてしまうのだ。
13歩成、
桂香図式の宿命で13に捨駒をすると変化が多い。
それで筆者など桂香図式が苦手なのだが、好きな人はそこが好きなんだろうな。
コツコツとつぶしていこう。(初手13歩成は正解だと確信している……)
まずは初見で気になった31玉は……。
31玉、32銀、同金、同角成、22飛、
【変化図】
案外、簡単だった。31玉でも飛銀の持駒があれば心配ないということだ。
次は同玉の変化。
同玉、14銀、
【変化図】
これも手をつけてみれば簡単だ。
24玉は25飛で止まるし、22玉には23角成で大丈夫。
次は同桂。
同桂、14桂、31玉、21飛、
【変化図】
32銀からでも詰むがここは桂馬を動かした効果で21飛と鮮やかに捨ててみよう。
これで正解の応手は確定する。
同香、
同香と決まるとこれは急に守備が薄くなったと感じる。
早速、試してみたい手が見えてきた。
12飛、
これはとれない。とったら勿論23銀から22角。
かつ31玉の逃げも許さない一手だ。
……ところが。
33玉、42飛成、24玉、46角、15玉、
【失敗図】
42飛成も同玉とはとれない。31角で捕まっている。
しかし、上部へスタコラサッサと逃げる手があった。
46角に間駒してくれれば22龍が間に合うのだが、15玉で絶望だ。
これで本作のメインテーマが明らかになる。
どうやってこの上部脱出を阻止するかということだ。
ここで本当ならちょっと考えていただきたいところだが(昔は続きは明日とやった)、昨今は皆さん忙しい。
どんどん正解を説明してしまうよ。
14桂、
14歩を成捨てたい衝動があるのは、無意識にこの手を考えていたのかもしれない。
初形で14歩がなければ初手から14桂で簡単だ。
同香、12飛、33玉、24銀、
24玉から上部に逃げようという王さんに、わざわざ24銀と捨てる!
いわゆる退路に捨駒の手筋なのだが、唯一のカナケでもあり衝撃の一手だ。
同玉、46角、
この角がピッタリ。しかし持駒なしだが、これで上部脱出を阻止できているのだろうか。
25玉、14角成、26玉、22飛成、17玉、
28龍まで
【変化図】
14桂で香を吊り上げ14角成を担保したことで、46角の限定打が鮮やかに決まるというわけだ。
さて作意は最短で収束する。
33玉、42飛成、同玉、64角、41玉、
42金まで15手詰
詰上りは清涼詰。
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