長編詰将棋の世界(19) 

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

添川公司「放れ駒」 詰パラ2010.9

棋譜ファイル

92と、同玉、94飛、93歩、82銀成、同香、
91桂成、同玉、93飛成、92銀、同龍、同玉、
83銀、93玉、82銀不成、94玉、93銀成、同玉、
83桂成、同玉、84歩、同金、同飛、同玉、
85香、75玉、76金打、74玉、75歩、同馬、
同金、同玉、93角、65玉、64と、56玉、
46馬、67玉、68金、同と、57角成、78玉、
68馬、87玉、97金、同玉、86銀、87玉、
77馬、96玉、98香、同と、97歩、同と、
同銀、同玉、79馬、96玉69馬、85玉、
87香、94玉、76馬、93玉、75馬、92玉、
47馬、91玉、82香成、同玉、73と、同玉、
74馬左、62玉、63歩、71玉、61桂成、同玉、
62歩成、同玉、53歩成、同歩、同と、同玉、
43と、同玉、33香成、53玉、43成香、同玉、
34と右上、42玉、43と、同玉、25馬、32玉、
33と、同玉、34と、22玉、14桂、31玉、
32歩、21玉、22歩、同銀、同桂成、同玉、
23歩、同銀、同と、同玉、56馬、32玉、
43銀、21玉、32銀打、11玉、12馬、同玉、
34馬、11玉、33馬、22金、同馬、同玉、
23金、11玉、21銀成、同玉、32銀成、11玉、
22成銀まで133手詰

92桂合は82龍、同玉、72と寄、93玉、83桂成、同玉、84歩、同桂、73と寄、同金、同と、同玉、46馬、64桂、同馬、同玉、66飛以下
同玉は57角成、59玉、37馬、69玉、47馬右、78玉、88金、同玉、79銀、87玉、69馬、76玉、77歩以下
A 78馬は不詰。本文参照。
X 非限定
B 限定。53とは71玉で不詰。

☆無解者多数。難問だったようだ。全編を通して変化はあるも、その複雑さが難しかったのではない。作者の構想の一手が本作を難問たらしめた。

☆初手は飛車を取る以外ない。3手目は銀成に誘われるがこれは歩しか入手できない。94飛と上から押さえ、歩合させておいて銀桂を捨て93飛成と再度合駒を問うのが正解だ。

☆桂合は82龍以下(変化イ)い。銀合を喰って次は86飛の活用を目指す。83玉の形にして84歩だ。これで飛車と金を指し違えて飛車の出番は終了する。

☆飛車と替えた金をさらに馬と交換して93角と打てばいよいよ2枚馬による包囲網の完成だ。やっと2枚の主人公が登場した。物語はまだまだ先が長い。玉は左下を通過してまた上辺に戻り、おそらくは右上で収束を迎えるはずだ。では2枚馬でどうやって追い戻すのか、途中図はその目途がついた局面。46馬を79馬と引いた所だ。

途中図58手目の局面

☆ここで狙いの一手が出る。こう書けば誰もが気付くだろう。そう、玉から離れる69馬である。しかし、この目立たない妙手は暫く平坦な手順が続くだろうという安心感に溶け込み、実力解答者を何人も陥落させた。

詰鬼人 残念ですが詰められません。
中沢照夫 残念ながら続かず、途中に伏線入りか。

☆なぜ、誰もが自然に進める78馬上ではいけないのか。78馬と進めた場合はのちに56馬と展開することになり、次の局面に至る。

失敗図

☆図からまだまだ手が続くが、56馬を活用することができず不詰だ。

☆正解手順を進めると56馬でなく47馬の形になる。されば34香25との2枚を消去すれば25馬とこちら側から活用することが可能になるという仕組みだ。

☆2枚の邪魔駒がさらに69馬をカモフラージュしているわけで、失敗図に至ってから25馬の筋に気付くにはかなりの発想の飛躍が必要だ。

武田静山 中盤迷ったとき、25馬から利かす筋が見えたのが幸運だった。

☆煙詰は基本逆算で創るものだと思うが、だとしたら失敗図の辺りから途中図の69馬を構想する作者の発想に驚嘆せざるを得ない。

護堂浩之 簡潔でありながら、作者の意志を貫き通した収束が圧巻。導入部でまた戻ってくることを想定しながらの中盤での左上部分の組み立て方とか、うまいもの。
池田俊哉 早々に二枚飛を手放して二枚馬が主役の細かいさばき。特に題名にもなった69馬の横ばいから、香歩を消して25馬と出る辺りの構成は圧巻。最近の煙としては地味かもしれないが、盤面・手順の美しさは群を抜いているか。
須川卓二 題名がもろにヒントでした。69馬に迷いなし!飛車を全く使わない中盤の追い回し方と、簡潔でありながら、作者の意志を貫き通した収束が圧巻。見慣れた詰め上がり形から、何故こんな逆算が出来るのか、正直舌を巻く。先を展開を見据えた69馬とか、何より、導入部でまた戻ってくることを想定しながらの中盤での左上部分の組み立て方とか、うまいものだな、とその創作技量には感心する。ただ、感心はするけど感動はしなくなってしまったのは、私の感性が麻痺してしまったせいに違いない。
野口賢治 放れ駒2枚と玉が対峙した114手目がハッと息をのむまさに名場面。ここから馬2枚を消してみせるとは手練れの名演出。

永島勝利 69馬の伏線が絶妙。また、14桂からの収束も工夫を感じた。
鈴木 彊 いつもながらの添川流の煙詰。終盤難所あり。収束の時は暫し酔い痴れました。見事なものです。
竹中健一 うまく捌けていくものですね、サスガという感じです!
斎藤博久 駒消しの名人の巧みの技という感じ。何気ない69馬が印象に残った。
凡骨生  時間切れとなりました。残念。
葉井来人 清潔感漂うミステリアスな煙。残り駒数が一桁になってからが難解だった。
加賀孝志 二枚の馬が主役。足が長いので逃げられそうで逃げられない。煙も増えたがスッキリ小駒の詰上がりは好感が持てる。
和田 登 煙詰めの傑作。69馬が後の25馬を可能にした絶妙手
今川健一 作者は添川さん、全駒配置、煙?当たりです。収束、中盤、序、すべて良し。序の14手目の変化、特に59手目に78馬上として、一苦労。それだけに解けて爽快、猛暑の夏もこれで終わりか。
国兼秀旗 次から次へと煙詰を投稿される添川氏。もはや「ヘビースモーカー」とお呼びするしかない。

【詰上がり図】

☆馬一色図式から小駒だけの詰上がりとはまた見事。派手な肩書きはない作品だが4月号の七種合煙を超える得点を集めた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください