2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。
佐藤和義 詰パラ2010.12
31飛、21角、同飛成、同玉、65角、54香、
同角、12玉、14飛、13桂、22歩成、同玉、
25香、24歩、同飛、33玉、23飛成、42玉、
43龍、51玉、52歩、61玉、63龍、62飛、
71歩成、同玉、62龍、同玉、63飛、52玉、
43飛成、61玉、62歩、同玉、63龍、51玉、
52歩、41玉、32角成、同玉、23香成、42玉、
33成香、31玉、61龍、41香、32歩、21玉、
41龍、12玉、21龍、同玉、23香、11玉、
22香成まで55手詰
イ76歩は同角、11玉、12歩、同玉、24桂、13玉、23と、14玉、15歩、23玉、32角成、同歩、同飛成以下
イ32桂は同角成、同歩、同と、同玉、24桂、43玉、32飛成、54玉、34龍以下
ロ11玉は21角成、同玉、32と、11玉、55角まで
ハ34桂は同角、11玉、22と、同玉、55角、33桂、23角成、同玉、33角成以下
☆盤面歩だけの清楚な初形。ここから限定打4回、合駒6回を含むこくのある手順が飛び出す。
☆今回は合駒入門。上級者は読み飛ばしてください。
☆初手31飛は限定打。12玉なら22歩成、同玉、32飛成を見ている。さて合駒を考える。持駒に飛車があるので、同飛成、同玉、22飛、11玉となったとき、打たれて詰まない駒と考える。角桂歩の3通りだ。歩は22歩成、同玉、32飛成で簡単。桂は先に14飛と押さえてから22歩成。—角合と決まる。
☆角合はとって65角。これは限定打ではないが54角では詰まない。以遠打と呼ぶ人もいる。そのココロは12玉の逃げに22歩成、13玉、23飛、14玉、47角とこちらに引いて詰ます狙いだ。
☆したがって「大駒は近づけて受けよ」の中合が成立する。54合同角12玉に22歩成はもう成立しないので頭から押さえる14飛。応手13合に対して54で取った駒を打つとしよう。飛角金銀桂は簡単、歩は二歩、したがって香が正解だ。
☆続いて13の合駒を考える。22歩成、同玉、25香。合駒したら32角成なので33玉。以下13飛成、44玉、43龍、35玉、45龍、26玉、36龍、15玉。以下13でとった駒を打って詰む。これで先ほどの25香が限定打であることが判明する。29香なら26歩の中合で逃げられる。そこで作意の25香に対してもまたしても近づけて受ける24中合が成立する。ところが24合だとその瞬間32角成とできることに注目しよう。32角成、12玉、13飛成、同玉。このとき持駒に飛角金銀香があれば簡単。かくして13の合駒は桂馬と判明する。
☆13桂の場合は24合を同飛と取るしかない。2筋には歩が利くのでとりあえず歩合として先を進めよう。
☆25香が鎮座しているので23飛成に上には逃げられない。下段に追い落としていって61玉に63龍でまた合駒だ。しかしこの形は飛合が常識。良く出てくる形なので詳しくは各自で確認しておくと良いだろう。
☆63飛に72玉の変化は13飛成と桂馬を入手して早く詰む。63歩合は同龍81玉73龍で良い。
☆1歩消費して63龍の形にすればもう収束だ。24は歩合いで正解だった事も確認出来る。
☆最後に32角成が鮮やかな妙手。31玉の形に61龍で最後の合駒選択だ。
☆32歩、21玉、41龍、12玉の局面で一手で詰まない駒は…香しかない。かくして最後の大駒龍の捨て駒まで登場し、小駒のみの詰上がりに至る。
中出慶一 合駒選択に難解味があります。大駒が消えて小駒だけの詰み形になるのが立派で良い感触です。
宮本慎一 合駒飛角桂香歩がでるが、香2枚で詰み上がるとは思わなかった。
加賀孝志 小駒図的キメの細かさ詰上がりも小駒図合駒の綾も楽しめました。
永島勝利 これが一番面白かった。合駒の綾はあるものの、同様の筋で詰むので徒労感はない。気持ちよく読める好作。
池田俊哉 これは題名に偽りあり?あまりやさしいとは思えないが……図面に始まり、手順も貧乏五種合?(こんな言葉ないが)手がつけづらく骨がある感じ
竹中健一 こんなに手が続くとはびっくりしました!
原 雅彦 最後に13龍の開き王手に嵌りました。
加藤清隆 初形はクールなモノトーン調だが、合駒選択、中合、限定打など濃密で熱い手順が展開される。申し分ない好作品。
凡骨生 歩一色図に香と歩の中合を絡め収束の馬捨、龍捨で締めている。
須川卓二 序の合駒調べはなかなか手ごわいですが、後半は見慣れた筋で収束。歩だけの配置で仕上げたところに価値はありそう。
作者 本作は姉妹作の片方。妹作はパラ97.6大学。両作は13手目まで同じ。本作を中心に創作していたが、余詰の連続でお蔵入り。
☆同じ収束から2方向に逆算して2つの作品を作る事は可能だ。これが正算だと、理屈では同じ事でも解答者の受ける印象はだいぶ異なる。
☆32角成や21龍の手をどう評価するかという問題かもしれない。
神谷 薫 パラ97.6既発表作の改良図。収束もスッキリまとまって13年を要して最終図に達した訳ですね。でもやっぱりアンデパンダン…という気がする。いや、作者の気持ちも判るか。良く出来ていますからね。「やさしい」はこういう発表の場として活用してもいいでしょうね。
☆めいとのアンデパンダンは貴重な発表の場でした。
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