湯村光造 近代将棋1952.2
簡単な形で解いてみようという気になる。
横から飛車を打つとフラフラと上部に逃げられて捕まらない。
64飛成としようと考えて62飛と打つと、今度は近すぎて81玉、83香、71玉で63角成ができない。
初手は上から攻める香打ちだろう。
85香、
75角の利きを邪魔しないように85以遠から打つ。
71玉と躱されても、53角成で捕まる。
【変化図】
普通に83歩合だと、今度こそ52飛だ。
83歩、52飛、81玉、83香不成、71玉、
53角成
【変化図】
それでは85香にどう受けるのが正解かというと……。
84香、
香の利き筋とと角の利き筋の交点にポンと歩を捨てるのが好手だ。
このように味方の駒の利きがないところへの間駒を中合という。
中合の意味付けははさまざまあるが、この場合は香と角の2つの線駒のラインの交点に捨駒することによって、一方の利きを遮断することにある。
同香、93玉、
さらに83歩合は?と思われるだろうが、次の展開をみればその間駒は無駄に攻方の持駒になるだけと判る。
さて、この局面で香の開き王手ができる形だが、香では弱すぎて玉への響きが少ない。
そこでこの香を飛車に替える。
83香成、同玉、84飛、93玉、
香と飛の打換えだ。
香→飛は普通に有利なので誰も驚かないが、飛→香だと珍しいから誉められる。
次にこの局面に至ると今度は81角が邪魔駒になっている。
飛車を開くのに81に行きたいのだ。下に引いたらまた84に間駒されてしまい困ることになる。
92角成、同玉、93歩、同玉、
これで持駒1歩を消費して81角が原型消去できた。
81飛成、84歩、
94玉に84龍で終わりかと思いきや、またしても84への間駒である。
こちらは玉に接しているので中合とはよばない。
かといって只捨てであることには変わりがないので、その意味を含めて表記したい場合は変則合とか捨合という。
同角ならば94へ、同龍ならば92へ逃げようという捨て身の受けだ。
同角、94玉、93角成、同玉、
同龍では92玉で打歩詰になるので同角。
こちらの角もまたしても邪魔駒になってしまった。
そしてこの角も1歩を消費して原型消去するのである。
94歩、同玉、84龍まで21手詰
活躍していた2枚の角がいずれも邪魔駒となり原型消去されるというナラティブ。
中合や捨合を学ぶ教材としても絶好の作品だ。
なお、14手目の84歩合は桂合でも同じ。(変同)
19手目の94歩が85桂に変わるだけだ。
この場合、捨駒させる順を選ぶのが玉方の考え方だろう。
この形での24への間駒は詰将棋雑談(41)を参照されるとよいかも。
詰将棋そのものが煩雑なのにもかかわらず合いごま、捨て合いなど、、着手するに嫌だなあ~と。しかし手に乗ると言うべきか意外に手数が伸びたもののボケ気味の脳内であっさりと。しかし解けたからと言って詳細な記事解説を読まないのは勿体無いと噛みしめた。
棋力が低いのもありますが、歳をとってきて、最近はつとに易しい作品が好きになってきました。