風みどりの詰将棋と関係ない話(47) 私の愛した温泉


 高橋一喜『日本一周3016湯』という本がある。1年かけて日本中の温泉巡りをした本だ。世の中には凄いことを考え、実行する人がいるものだ。尊敬せざるを得ない。ブログはこちら。noteはこちら

 この方ほどではないが、筆者も温泉は大好きだ。温泉の思い出をいくつか書き綴っていこう。

万座温泉「日進舘」

 最も数多く入ったのはこの日進舘の長寿の湯と極楽湯だろう。8泊以上は「湯治コース」となって安いので、泊まるときは8泊から12泊が標準だった。なので優に50泊以上はしていると思うが、ここではその程度ではまだ幼稚園児扱い。風呂に入って話していると「年間に30泊はする」とか「おれは50泊以上している」なんてジイサマ方がごろごろいる。
 いくつもの温泉宿があるが一番古株の日進舘の一択だ。あちこち泊まったり日帰り温泉で利用したりしたけれど、湯の味わいでは長寿の湯が浴場の構造から雰囲気から最上だし、露天風呂だったら極楽湯の開放感は抜群だ。スキー場の客からは丸見えだが、双眼鏡を持って滑る人はいないだろう。週刊誌は万座プリンスホテルまで買いに行く。
 この宿の一番はお湯だが、二番目はスタッフ全員の客をもてなそうという姿勢だ。毎晩ロビーでスタッフのメンバーによるショーが開演される。

また毎朝警備員さんが仕事の終わりに散歩の案内をしてくれる。

 
 散歩コースも色々あって飽きない。



 上の写真は日進舘で育てているコマクサだが、ちょっと車で上れば本白根山にはコマクサの群生地もある。

 アクセスは夏は車で渋川から西に走り草津温泉を抜けて白根山の湯釜を眺めてからちょっと降りて万座温泉というのがて定番のコースだった。帰りは草津温泉に寄ったり、時間があるときは榛名山の伊香保温泉に寄って帰る。
 また軽井沢の方から白糸の滝や鬼押出し園を刊行して北上するルートもある。

 一週間以上も滞在していると、流石に飽きてくるのでドライブに出かける。
 北上すると志賀高原。さらに進んで地獄谷野猿公苑に着く。猿が入る温泉だが、ヒト用の風呂もちゃんとある。間欠泉の掃除は見物だったけれど……ここだったっけか?
 主に走ったのは油街道–西へのコース。対向車はなるべく来てほしくない道をひたすら真っ直ぐ走ると長野に出て善光寺をお参りするのが定番だった。途中でUターンすると山田温泉にいける。ショートカットする道もあるが怖くてはいる気にはなれなかった。

 最近足が遠のいているのは、一つは車を手放してしまったということだが、新宿からの直行バスも出ている。冬はプロのドライバーに任せるのが安心だから何回もお世話になった。やはり大きいのは一つは食事。もう一つは風呂が理由だ。

 昔の日進舘の食事は「まごわやさしい」をモットーにしたちょうどよい食事だった。メインの料理はお盆に載っていて、ご飯かお粥だけを自分で好きなだけ盛り付けるというスタイルだった。ほとんど肉は出なかったので、日進舘に泊まるときは途中で焼肉などをたっぷり食べてから泊まるというのが定跡だった。
 それが代替わりしてからか、裏の事情は分からないが、食事に肉もでるようになり、よくあるバイキングスタイルに変わった。これは糖尿病患者が一週間以上も宿泊するのは辛い。

 もう一つは風呂だ。日進舘はいくつもの源泉を持っている。しかし湯量が少なくなってきた源泉のあるのか、それとも単に面倒になってきたのか今ではどれもほぼ同じお湯だ。
 以前は古い建物が残っていた。元は宿泊施設もあった細長い建物だったのだろうが土砂崩れで崩壊し、温泉二つだけが残っていた。これがとてもいい感じだった。日替わりで男女入替、どちらの温泉もいい湯だった。この温泉二つが無くなってしまった。今はどれも長寿の湯にある「苦湯」と同じに思える。湯守の方に聞いても「昔の名前で出ています」ということだった。

 もうずいぶんご無沙汰している気になっているが、写真をあさってみたら次の2枚の写真が見つかった。

 

上は2019.8.12に撮影したもの、下は2018.3.29のタイムスタンプが確認できる。
結局、コロナ前は毎年行っていたのか。

 そして引退したらここで働いて暮らしたいなと思っていたのも間違いない。いや今見ても凄く魅力的に思える。

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