長編詰将棋の世界(34) 離れた双馬の協力

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.4)(抄)

 菅野作はいつもながらの人に優しい楽しめる作品。しかし、ゆめゆめ油断はなされませぬように。

菅野哲郎「連合艦隊」 詰パラ2011.4


棋譜ファイル

15成香、同玉、17龍、16香、同龍、同玉、
17香、25玉、36馬、24玉、13銀生、33玉、
22銀引生、42玉、86馬、52玉、85馬、42玉、
75馬、52玉、74馬、42玉、64馬、
   {52玉、53歩、42玉、31銀生、33玉、22銀上生、24玉}=
46馬、25玉、47馬、
   {24玉、13銀生、33玉、22銀引生、42玉、52歩成、同玉}=
74馬、42玉、75馬、、57馬、25玉、
58馬、
85馬、42玉、86馬、、68馬、25玉、
69馬、、96馬、63歩、同馬、42玉、
64馬、52玉、74馬、42玉、75馬、52玉、
85馬、42玉、86馬、52玉、96馬、42玉、
97馬、52玉、96馬、42玉、86馬、
68馬、25玉、58馬、、85馬、42玉、
75馬、、57馬、25玉、47馬、
74馬、42玉、64馬、、46馬、25玉、
36馬、、62と、同玉、63と、71玉、
72と、同玉、44歩、71玉、72香、81玉、
91馬、同玉、99飛、同成香、92歩、同玉、
83金、91玉、92歩、81玉、71香成、同玉、
72金迄181手詰

☆易しい。というのは他に手がないからだ。変化もほとんどない。玉方の持駒がないので合駒について悩む必要がない。10手で趣向の舞台が完成する。

☆舞台は斜めに区切られている。右下をA面、左上をB面と仮に呼ぼう。A面の主役は36馬、B面の主役は95馬である。A面とB面の舞台転換を担うのが22と33の銀だ。

☆A面の馬が動くにはB面の馬の後方支援が必要。B面の馬はある程度自由に動けるが、肝腎の97にいけない。96を通過するためにはA面の馬の支援が必要。さらに収束に入る為にはA面の馬は元の35まで戻らなければいけない。かくして2枚の馬が緊密な連携の元で活躍することになる。

☆作者が表現したかったのはこの構造の面白さなのだ。

☆大塚氏の「双馬」を始祖とする系列の作品といえよう。だが、2枚の馬が同じ面で絡み合うように動く作品が多い。本作のようにA面B面で1枚ずつの馬が、互いに協力するという構図は初めて見た。面白い!

和田 登 2枚の馬の協力形は壁越しの為、発見に手こずった。おもしろい趣向
宮本慎一 馬鋸が2つ。ユーモアな動き。
加賀孝志 馬の連携で取れないシステム。狙いが一貫していて新手筋の馬鋸と云える。
鈴木 彊 右と左の両方の馬による馬鋸その橋渡しとなる2枚の銀。最後に39飛が99飛という切り札をだす。手順の組み立て方は驚異でした。本当に素晴らしい見事なものでした。

☆さて、本作には途中に一つ陥穽がある。誤解者を生み出す事が作者の本意ではないと判断して、選題稿で注意を促した。その結果…。

某氏 いつもながらの人に優しい楽しめる作品。「油断」とは何のことなのか。
永島勝利 連合艦隊による艦砲射撃というより、海兵隊の十字砲火という印象。それにしても、63歩の手裏剣は、近代兵器に目を奪われていると見落としそうですね。

☆どうやら惑わしただけだったようだ。14名もの誤解者名を数えた。志駒屋作、広瀬稔作を思い出せと、もっと直載に書くべきだったか。

☆玉方62歩が72のと金に取られるのを待つだけの存在なのだ。それならば馬に取ってもらえればそれだけで2手延びる。最長手数の原理でタイミングが決定する。馬が一番離れている時、すなわち最初の96馬の瞬間だ。

☆落とし穴を設けたというわけではなく、この趣向をより長い間楽しむための手管であるとご理解願いたい。

作者 すっきりした双馬鋸。63歩の破調もちょっと面白いと思います。収束は39飛が消える順でまとめられて幸運でした。完成までに大変お世話になった石黒さんに感謝します。

☆命名には賛否両論あった。

国兼秀旗 2枚の馬を1本に繋げることで一方の馬が金銀の利きを渡っていけるという複式馬鋸は、双方の馬が協力しあっているという点でまさに「連合艦隊」。菅野氏の作品のタイトルは内容との関連を理解できないことが多いが、本作はすっきりとわかって気分がよい。
野口賢治 ガラス越しに目と目で確かめ合うような双馬の連携は楽しめたが、暫し軍艦マーチが耳から離れなかった。
須川卓二 「序奏~表裏の馬鋸趣向~歩突きの延命~大駒2枚捨てての収束、そして難解すぎない変化。文句なしの好作です。ただ題名だけはもう少し平和なものがよかったな。

☆楽しめる作品の投稿を待っています。大勢のファンが。

今川健一 2頭立ての馬鋸、一方の鋸のために反対側でも鋸趣向とは!ようやく取ったぞ97歩。さあ、収束は良いけれど、67歩の突き捨てを見落とした。注意一秒何とやら、落とし穴には気をつけましょう。菅野さん、好調。面白い趣向作を有難う。
竹中健一 2枚組み合わせの馬鋸は面白いですね!まだまだ手数伸ばせそう!?
池田俊哉 2枚馬の連携で守備金を無効化する複合馬鋸。目的は一歩取得とシンプルだが、63歩のヤケクソ捨合をどこに挟むか、がポイントこのタイミングで合っていると思うが、もう一ひねりあるとアウトか…
某氏2 このような複式馬鋸を人に優しく提示してくれる才能に脱帽。無尽蔵のアイデアと抜群のプレゼンテーション能力。命名もピッタリ。
某氏3 深読みせず惰性で繰り返し手順で迫った為、選者の「油断しないように」が気になる。
草間準二 趣向手順を楽しんでから、その意味に気付く。油断とは63歩突き合のことかと思った。しかし、そのタイミングがよくわからない。多分、と思って今回の答案に至る。突き合が無駄合でなくその後の打合いは無駄合となるというのはキツネにつままれた感じである。
小林 徹 少々いじくり回せばストーリーは見える。後は63歩に注意しなさいよだろう。
神谷 薫 二人三脚機構を利用しての馬鋸+馬鋸? 舞台装置が大掛かりなのは仕方ないでしょう。趣向は面白いし、63歩のアクセントもあるし、良く出来ていると思います。
斎藤博久 飛を世に出す為に2枚馬ががんばった。
山田嘉則 相互に紐をつけるための馬鋸の連携。きれいな収束と手数伸ばしの捨合という演出もうまい。

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