上田吉一『極光21』第84番 詰棋めいと1985.3
さて、今夜は最後まで進みます。ご心配なく。
昨夜はこの40手目まで進んだ。
92桂があるから玉方の手にはあと桂が1枚だけ。
まだ歩が2枚あるから最後に桂以外の駒が入手できて詰みだな……と予想した方。
タイトルをよく見てください。
同じように進めてみよう。
94歩、82玉、83飛成、同玉、63飛、73桂、
93歩成、同玉、73飛不成、83銀、
【失敗図】
今度は飛合としてくれない。
昨夜の変化図を思い出してもらいたい。
【再掲変化図】
ここで歩があれば簡単だ。
しかし【失敗図】では歩が残り1枚。94歩を打ってしまえばそれでタネが尽きる。
ではどこまで戻ればよいのか。
63飛と打った次の局面で手を変える必要がある。
94歩、82玉、83飛成、同玉、
桂を2枚入手したこの局面から収束に入る。
75桂、
1枚目の桂をここに使う。
同歩だと……
同歩、93飛、82玉、74桂、
【変化図】
74桂が打てるのでこれは簡単に詰む。
そこで正解の応手は同とだ。
同と、93飛、82玉、72と、同玉、
84桂、
2枚目の桂を84桂と使うのが好手だ。
同桂、63銀成、81玉、
それにしても持駒歩1枚で詰みそうに見えないが……。
82歩、同玉、73成銀、71玉、91飛成、81香、
同龍、同玉、83香、71玉、82香成まで65手詰
71玉に91飛成とできるのが84桂と捨てた効果。
一間龍の恐ろしさで間駒しても切られて詰んでしまうのだ。
歩合は二歩でできない。
飛合や銀合でも同手数なのが惜しいが、作者は気にしていないという。
最後に動く将棋盤を用意したので、初めから並べて鑑賞してください。