前回、結果発表と書いていたのを結果発表(前編)と書き直しました。
そして、さらによく考えて結果発表(その1)にしました。
良い子の皆さんは真似をしないように。
第8問 はせがわ_ゆ
正解
57香、56角、55角、34角、66桂、65玉、
56銀、同角、64飛まで9手詰
★角で開き王手をしても馬は作れそうにありません。45玉と逃げられたときの対策で57香はまずやってみる手でしょう。45玉でも46銀で詰みます。ということは中合もしくは捨合の出番。
★55への捨合から先に考えましょう。55桂合は66桂、65玉、56銀、64玉、55角まで。56銀をとれるように55香合だと? 同角でよさそうです。どこに何を間駒しても66桂、65玉、56銀まで。これをとれるように34角合や44桂合でも同(角|桂)、64飛です。駒余り。34桂打にして66桂に45玉なら? 25飛でOKでした。
★ということは2手目は56への中合です。それでも66桂から56銀でこの間駒は取れそうですが……。ここで56角合として55角に34角と移動合する順が閃いたら解決です。間駒が動くだけでなくスイッチバックするという狙いでした。
ペケ シフマンで発生した駒がスイッチバック
松崎一郎 角が大奮闘(限定合、移動合、還元角)。
占魚亭 形は重いけれども、受方角のスイッチバックがいい感じ。
坪倉光誠 シフマン+スイッチバックをシンプルに実現していますね。
まつきち 詰みすぎて困ったあげくひねり出した妄想解。あってるかな?
RINTARO 中合のスイッチバック。最初が移動合なのが凄い。変化も完璧。
はせがわゆ 配置は重いが、角合から移動合の理屈はすっきりしているつもり。
松澤成俊 詰み過ぎて困るが角の移動合いが駒余りを避ける詰将棋らしいうまい受け
negitarou 角の移動合で少しだけ延命。初形を見て、詰上がりはハートマークと予想したが・・・
久保紀貴 シフマンで中合を移動合した上、それをその後さらに動かすのは非常に高度と思います。
竹中健一 受け方が難しいが駒取り阻止ではよくある応手かな。スイッチバックするのがうまいです。
★実際に解くと2手目56金合なども読まなくてはいけないので(66桂以下が簡単か)、うまく整理できないと悩むことになります。
第9問 RINTARO
正解
34飛、同玉、46桂、44玉、17角、26銀、
35銀、同銀、36桂、同馬、24龍まで11手詰
★24飛で間駒を稼ごうとするのはあっさり同馬、同龍、34香合ぐらいで41桂が利いていて詰みません。34飛から46桂で形を決めてしまうのが正解です。44玉に36桂では35玉で36銀が打てません。35を塞ぐために17角。35合では36桂、同馬、24龍で銀が余ります。焦点に捨てる26中合が登場する形です。35銀に同玉は26龍から24龍の両王手なので26の間駒は35銀をとれる銀合と決定。構わず35銀に同銀で課題をクリア。このように線駒(本作の場合17角)のライン上を間駒が動くのをペレ・ムーヴといいます。
松崎一郎 面白い!5~7手の角銀の攻防。
久保紀貴 17角を打つ手が入っているのがよいですね。
ぎょうざパン 「5手目24龍で9手詰?」と思ったら逆王手!
まつきち この初形から26銀合からのペレが出るのはちょっとした驚き。
坪倉光誠 作意が先に見えて、35玉の変化の36銀に後から気付きました。
占魚亭 4手かけて桂を設置してから角打ちを決行。ペレ&ピンメイトがいい感じ。
松澤成俊 この間駒の動かし方はよく見る気がするが角を下から打つのは珍しいのでは?
竹中健一 狙いすました17角からの手順がうまい。手順前後を防ぐためには双玉なのは仕方ないか…
はせがわゆ ペレらしさの無い配置だったので驚いた。舞台を整える最初の2手が良い働きをしている。
ペケ 舞台作りから始まり突如出てくるペレに驚いた。35玉に36銀で詰むのが気づきづらかった。
★ところで最近大活躍している凛太朗さんがいらっしゃいますが、RINTAROさんはちょっと字が違うRINTAROさんです。お間違えないように。
第10問 シナトラ
正解
47香、46飛、45銀、同飛、34金、55玉、
58香、57飛、56銀、同飛成、65金まで11手詰
★なんだか似たような配置が2~4筋と5~7筋に。そして期待通りの手順が出てきます。
★46にも利かせるために47香と打てば35玉、25金、36玉と逃げ出すために36に中合をする形になっています。間駒は35銀を同☖ととれる飛車合です。金は出払っていて手元にありません。
★同じ手順をもう一度繰り返して幕。間駒動かしを並列で2回とはオリジナルな発想でした。
松崎一郎 都詰め。
はせがわゆ そっくり同じことを2回。
松澤成俊 課題達成×2倍おみごと(笑)
占魚亭 異なる筋で同一構成のペレ。面白い。
RINTARO 中合い動かし2回。素晴らしいです。
まつきち 左右で合駒動かし、素晴らしい対称性。
ぎょうざパン 「46角合で9手詰」で解答出すところでした。
竹中健一 隣り合う二つの筋で同じような手順なのが面白い。
久保紀貴 同じ構図でのダブルになっているがユーモラス。アイデア賞。
ペケ 繰り返しで飛中合動かしのテンポがいい。合駒制限の配置も巧妙。
坪倉光誠 同じ手順を繰り返す味は良いですが、飛合なのに動きが小さくで地味に見えました。
第11問 久保紀貴
正解
23龍、24金、52馬、35玉、34馬、同金、
55飛成、45金、26龍、34玉、46桂、同金、
35龍寄まで13手詰
★今度はどのようなアイデアを実現した作品でしょうか。この作者の名前を見ただけでワクワクしてきますね。
★23龍と平凡に王手をすると作意を辿れば分かるように24金合に決まります。最初は普通に間駒として現れた金が34馬、同金とまず1回動きます。さらに55飛成に26龍までの詰みを避けて45金と今度は移動合で再活用されます。その金を46桂、同金と再び動かして終局となります。
★一度目は打合を動かし、二度目は移動合を動かす。しかも同じ金が!
RINTARO 間駒が3回動く。
坪倉光誠 同じ合駒の3回移動は
★あれ? もしもし。 ……切れちゃいました。
松崎一郎 合駒の金が孤軍奮闘も。
ペケ 最小限の配置で合駒が2度動く
ぎょうざパン 合駒の金が3回動くところは流石ですね。
占魚亭 合で出した金を誘導。取らない所がいいですね。
竹中健一 よく働く金ですね。移動合まで入っているのがうまいですね。
はせがわゆ 合駒の金がぬるぬると。この配置で余詰が無いというのもすごい。
松澤成俊 平凡な龍の王手でなくつい22とか21とかしゃれて隘路にはまった(笑)
まつきち 合駒の金が23→34→45と斜めの軌跡を描くのが美しい。最後は46まで、3度動くのもお見事。
久保紀貴 合駒動かしと移動合動かしを同じ金でやるのが狙いです。想定よりもだいぶコンパクトにできました。
第12問 はせがわ_ゆ
正解
59香、58馬、57角、76馬、66銀、54馬、
46角、58飛、57銀、67玉、56銀、同飛成、
78金まで13手詰
★96飛-66角のバッテリーと54飛-55銀のバッテリーに直角に夾まれた王様。そして玉方36馬の存在。持駒に香。慣れてくると作者がなにをやりたいのか朧気に見えてきます。解図にも経験というものは物凄く役に立つものなのです。そう46馬→58→76→54と飛車を取るために\(\displaystyle\frac34\)回転するのではないかという夢のような手順がうっすら見えます。しかし58馬も76馬も移動中合になります。そんな事が可能なのでしょうか。
★想定手順では59香に58馬。普通に58歩合だと48角、76歩(65玉なら64飛、同香、54銀)、66銀、67玉、78金まで。このとき58香だったらそこから逃げられるので58馬の中合は成立しそうです! 以下48角、76歩、66銀、46玉! なるほど58馬の中合は36からの脱出路を開ける意味もあったわけですね。そこで3手目は57角と開き王手することが強いられます。同玉は66銀から58飛で手元に角があるで大丈夫。想定手順ではここで58角が自由になっているので76馬の連続移動中合。76歩では66銀で簡単です。香は出払っていて76香合はできない! 無双手順通り、76馬で正解のようです。かくして66銀に54馬と根元を取ってしまうことに成功しました。後は収束ですね。
★馬の利きが明後日の方まで行ってしまったので59香で王手することができます。35角では57歩、同銀、55玉で64~73の逃路が塞げません。46角と再び捨駒風味の開き王手。同玉は55銀まで。ここで再び58に中合が放たれます。今度は78金を防いで飛車!
★あとは容易な詰みです。
松崎一郎 爽快!4連続開き王手。
RINTARO やりたい放題。よく実現したと思います。
竹中健一 不思議な手順だけどこれしかないのも不思議。
久保紀貴 とんでもない欲張りセット。かなり驚きました。
ペケ 馬の連続シフマンと飛中合動かし 実現させる創作力がすごい
はせがわゆ 詰将棋として良いとは言い難いが、力だけは入った思い出作。
まつきち 移動合した馬の回転だけでもすごいのに飛車中合が出て動くのはお見事。
占魚亭 大模様すぎるけど、受方馬の3/4回転や飛+角から飛+銀へとバッテリーを組み換える前半が面白かった。
松澤成俊 このコーナーにはもったいない(失礼)好作。デパートなら看寿賞🤣変化の3連歩合いによる逃れがおもしろい
★半期賞は獲れませんが、看寿賞はこのコーナーに発表しても獲る可能性は残っています(^^)。
★想いのはいった投稿用紙から引用します。
作者 手順の密度を高めることを目標としました。きれいな作が好きなのですが、たまにこういうのも作りたくなります。
気に入っている点
- 攻め方にも良い手がある。中合動かしの自作では中合に注力するあまり攻め方に良い手が入らないことが多いですが、本作は57角、46角など「良い手」らしさのある手が入ったと思います。
気に入らない点
- 2手目の意味のダブり。2手目の目的が馬を合駒することと逃げ道を作ることの2つに見える点が気持ち悪い。馬を合駒することが主目的で、36が塞がっていても成立するのですが、2手目の意味付けが主眼ではないので駒数を減らすことを優先しました。
気にしてない点
- 収束のための双玉。他にやりようが無いと思います。気になりますが…。
- 駒数の多さ。最初から無視して作りました。ただ、無駄は出来るだけ無くしたつもりです。
本作は創作初期、ちょうど中合技術開発競争時代?に手順を夢想し、今年になってようやく実現した作です。しかし、今は難度の高い手順を実現したというだけでは評価されなくなっているため時代遅れの詰将棋になってしまいました。このような作を投稿できる場を設けてくださりありがとうございます。
★高校にはどうかと思いますが、順位戦だったら高評価を得たと思います。あそこだったら悪形が目立たないし(^^;;
第13問 ペケ
正解
22角、12玉、13歩、同桂、23角成、同玉、
26香、25桂、33角成、13玉、14歩、同玉、
17龍、同桂成、24馬まで15手詰
★以前このコーナーにパケさんという筆名でベテラン作家が投稿してくださったことがあって、この作品を投稿いただいたとき、そのベテラン作家の作品だと暫く信じていました。それくらい完成度が高く美しいからです。新しい方と知って吃驚。とても楽しみな新人が登場しました。
★手順自体は解説する必要はないと思いますが、跳ねさせた桂が完璧なタイミングで移動中合します。この桂が再度動いて幕。kisyさんから奨励賞をゲットしたのもむべなるかな。
松崎一郎 桂の僑軍孤進。
松澤成俊 軽い桂跳ねが良い味
ぎょうざパン 桂の三段跳び、きれいですね。
占魚亭 受方桂の三段跳ね。いいですね~。
RINTARO 序の付け方、狙いの移動中合、収束と申し分なしです。
まつきち この好形から桂の3段跳は爽快。評価は「マル」(笑)。
坪倉光誠 少ない駒数で全ての変化をしっかり割り切っていて、上手い作品でした。
久保紀貴 この桂が三段跳ねする展開は予想できませんでした。よい序がついたもの。
竹中健一 26香がいいタイミングで入りましたね。シンプルな図からなかなかの手順だと思います。
★誤解者が1名。5手目から11角成、同玉、41龍の順。応手が21金の限定合。これで筋に入ったと思って同龍、同玉、24香に単純な23歩合(他合は詰む)を見落としたもの。この紛れ順もこの作品を彩る大事なパーツです。
第14問 小林敏樹
正解
97金、同玉、88金、同玉、78金、89玉、
79金打、99玉、11馬、22香、89金、同玉、
29飛、同香成、88馬まで15手詰
★4連続に金を打ち、メインの舞台を完成させます。24飛をマンツーマンディフェンスしている21飛にちょっかいを掛けて11馬。22香合と抵抗することになります。構わず29飛でこの香を動かし、11馬が働いて詰みというナラティブでした。
★7番が飛車に香合で角を捨てて香を動かす図でしたから、飛車と角を交換した双子の作図でしょう。11馬に香合はあったかもしれないですが……確かに見たことあるような気がしますが、見つかりませんでした。
松崎一郎 車と馬が驀進。
RINTARO 最小限の配置で狙いを実現。
はせがわゆ 打った金を捨てる味が良い。
ペケ 縦の効きを残すためのロケット
占魚亭 線駒が大きく動く、気持ちのいい収束。
まつきち 5手目11馬から13手かと思った(笑)
竹中健一 11馬は絶妙で指がしなりそうな一手ですね!
坪倉光誠 手順前後の紛れは読み応えがあって面白いですね。
ぎょうざパン 中段よりも入玉してもらった方が捕まえやすかった。
松澤成俊 つい94飛とまわって小考。初手が決まればわりと簡単で拍子抜け
negitarou さりげなく持駒趣向(金4枚)、手順に成生非限定がないのが素晴らしいです。
久保紀貴 「課題:持駒趣向」のあまりもの?メイン部分は昔の将棋世界の付録であった小林敏樹ミニ作品集のかおりが少ししました。
※解説書くのって読者の想像しているよりずぅぅっと時間がかかるのです。筆者だけ? 今夜はここまででお仕舞い。
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