詰将棋つくってみた(171)
 課題37:表紙向き

 15手詰というと短編界における主戦場というイメージがあります。『現代詰将棋短編名作選』でも『詰将棋年鑑2020-2021』の短編の部でも、もっとも数多く収録されているのは15手詰。詰パラで年に一度開催されている詰将棋順位戦でも15手詰が主流です。

 そこでは大きな構図を使った難解作・構想作が覇を競っているわけですが、表紙だけは違います。手数は同じ15手でも、ちょっとホッとする世界がそこに広がっています。

 姿・形よく、考えてみようという気をおこさせてくれて、ちょっとだけ考えるところが用意されており、気持ちよく詰め上がる。そういった癒される15手詰を募集します(^^)。

課題37 右上 \(6\times6\) の配置で15手の詰将棋を作ってください。

 

  • 手数制限はありません。
  • 未発表作に限ります。
  • 投稿先はkazemidori+kadai@gmail.com
  • 締切は12月30日(土)
  • Judgeは田口正明さんです

例題を見ていきましょう。

 今回は風みどりのしょぼい例題はなしで、大御所達の15手詰をがしがし鑑賞していきましょう。

例題1 北原義治 詰パラ1954.12

正解
12香成、同香、11角、同玉、23桂、22玉、
31飛成、同角、34桂、32玉、31桂成、同玉、
53角、32玉、42角成まで15手詰

 安心感のある初形。手が決まると次の手が次々に見えてくる構成。気負いといったものが全く感じられません。

例題2 南倫夫 詰パラ1958.4

正解
24銀、32玉、33歩、同桂、23銀成、同銀、
43金、31玉、32歩、同銀、42金、同玉、
34桂、31玉、22とまで15手詰

 全会の課題「2回以上繰り返す」 の味を小駒図式で実現しています。

例題3 井上雅夫 詰パラ1963.1

正解
33金、13玉、32金、43角、22角、24玉、
33角成、13玉、25桂、同角、22馬、24玉、
13龍、同銀、33馬まで15手詰

 ちょっとやりにくい3手目に限定間駒。龍が見得を切る収束!……と選びましたが、よくみたら37桂が指定範囲をとびだしていますね。昔の詰パラには6×6の制約はなかったのでした。(そういえば入玉図もよくあったっけ)
 今回はNGとします。

例題4 長谷繁蔵 詰パラ1967.4

正解
23角引成、11玉、51飛成、21桂、33馬、22金、
同馬、同玉、31龍、13玉、23金、14玉、
34龍、15玉、24龍まで15手詰

 純正飛角図式(純は成駒なし、正は持駒なし)。間駒の読みも適度で、詰上りは清涼詰(攻方2枚)。

例題5 柴田昭彦 詰パラ1968.7

正解
42角、33角、14飛、同玉、16香、15銀、
同飛、24玉、33角成、同桂、35角、同歩、
25銀、同桂、14飛まで15手詰

 本作は有名ですね。間駒読みで時間を掛けさせておいてキリッと締まった収束。解後感は最高です。

例題6 桜木健古 詰パラ1984.9

正解
12角、同玉、23角、21玉、41飛、31桂、
同飛成、同玉、41飛、22玉、14桂、23玉、
21飛成、14玉、24龍まで15手詰

 持駒趣向ですが、力で詰めるといった作品ではなく、軽みと間駒読みと飽きさせずに愉しませてくれます。

例題7 石川英樹 詰パラ1993.11

正解
42銀打、同馬、33桂、同馬、52銀打、32玉、
24桂、同馬、43金、31玉、41銀成、同玉、
23馬、同馬、42銀成まで15手詰

 持駒が多いのを嫌う方は多い(筆者も苦手)ですが、本作は3種なので問題ありません。この作者の巧さが存分に発揮された傑作です。
 余談。T-Baseの作意は最終手42金でしたが、気になって確認したらやはり42銀成でした。(誰か褒めて)

例題8 角建逸 詰パラ1993.7

正解
42角、32玉、41角、同玉、51角成、32玉、
52龍、42桂、同馬、22玉、14桂、11玉、
33馬、同桂、22龍まで15手詰

 美しい初形。変化はゴツいが作意はあくまで軽やか。14桂が捨駒ではいるところがいいですねぇ。

例題9 相馬慎一 詰パラ1994.4

正解
12香、同玉、13香、同桂、34馬、23飛、
24桂、11玉、12香、21玉、33桂、同飛、
11香成、同玉、12桂成まで15手詰

 貧乏図式のサラサラとした手順の中に光る13香! こういう手をさりげなく実現させるところがなんともいえずカッコいいですね。

例題10 四方武久 詰パラ1994.9

正解
13桂、同飛、22香、11玉、12桂成、同玉、
34角、同銀、24桂、11玉、21香成、同玉、
32桂成、12玉、22成桂まで15手詰

 何度見てもこの34角はいいですねぇ。銀合が変同? 無粋なことをいわんでください。
 ちなみにこのときの作者の言葉が衝撃でした。

 みなさま。たくさんの投稿をお待ちしています。よろしくお願いいたします。


「未発表作」とあるけれどtwitterで流した作品はダメですかと質問がありました。
昨今はtwitterも既発表とする風潮ですが、つみき書店はそんなに厳しくしても仕方ないのでインプレッション3桁まではOKとします。(1000を超えていたら既発表扱い)


追記:2023.12.2

青のKK 例題7、初手33桂以下の余詰があるみたいです。
https://x.com/kkosaka6/status/1730869294651813943?s=20

柿木将棋で確認しましたが成立していますね。残念です。
作者には修正図をお願いします!

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