詰将棋つくってみた(197)
 課題39:結果発表(6)

志駒屋十政 詰パラ1988.08

 第16問について護堂さんが触れていた山腰作ってこれでしょうか。動く将棋盤は末尾においておきます。

さて残りは長いのが2局! でも頑張って終わらせます。

第21問 馬屋原剛

正解
44飛、36玉、46飛、27玉、38金、同歩成、
28歩、同と、47飛、36玉、37飛、同玉、
64馬、36玉、46馬、27玉、28馬、36玉、
46馬、27玉、45馬、37玉、55馬、36玉、
37歩、27玉、54馬、37玉、64馬、36玉、
37歩、27玉、63馬、37玉、73馬、36玉、
37歩、27玉、72馬、37玉、82馬、36玉、
37歩、27玉、81馬、45桂、同馬、37玉、
55馬、36玉、37歩、27玉、54馬、37玉、
64馬、36玉、37歩、27玉、63馬、37玉、
73馬、36玉、37歩、27玉、72馬、37玉、
82馬、36玉、37歩、27玉、81馬、45桂、
同馬、37玉、55馬、36玉、37歩、27玉、
54馬、37玉、64馬、36玉、37歩、27玉、
63馬、37玉、73馬、36玉、37歩、27玉、
72馬、37玉、82馬、36玉、37歩、27玉、
81馬、45桂、同馬、37玉、46馬、27玉、
28馬、36玉、37歩、45玉、44金引、55玉、
67桂、64玉、76桂、73玉、85桂、72玉、
18馬、71玉、82金、61玉、72馬、51玉、
73馬、62銀、同馬、同玉、63銀、同玉、
55桂、62玉、53銀、同銀、同金、同玉、
43桂成、62玉、53銀、63玉、64銀成、62玉、
53成銀、51玉、52成桂まで141手詰

★20手目の局面。ここまでが序奏で、ここからメインの馬鋸が始まる。

★46手目の局面。91香を取られると簡単に詰むので、45桂の中合で呼び戻す。(玉方視点)

★72手目の局面。

★98手目の局面。

★結局、歩3枚と桂馬の持駒変換になっている。もう歩が足りないので、ここから収束に入る。入手した桂馬を自然に消化しており、流石だ。

竹中健一 結局香を取らずに収束に入るのがうまいところ。
占魚亭 香を取らせない延命策。馬鋸終了後の馬捌きも上手い。
keima82 香を取られないため桂を犠打。でも、攻方も歩を消費しているから無駄合いにはならない。この機構だけでも素晴らしいですが、67、76、85に打った桂がのちに効いてくる収束も神がかっています。

作者 高校時代の素材の収束を手直ししたものです。
☆テーマ自体が新奇性に乏しく発表できなかった作品を、この機会に発表してくださいという今回の企画にピッタリの作品でした。
★Judgeの護堂さんが触れていた作品は次の図。

藤本和「夢の旅人」近将1984.12

★「夢の旅人」は歩4枚と香の持駒変換。もっと似ているのは次図。

相馬康幸『相馬康幸Collection』第32番 詰パラ1984.04


★実は筆者も当時同じネタを作っていて、相馬康幸作をみてお蔵入りになった。今回その作品を発表しようと思ったのだが、収束が纏まらず断念。作品集までには……完成するだろうか……。

第22問 馬屋原剛「シルバーシールド」

正解
31と右、22玉、27龍、24銀打、21と右、12玉、
17龍、13銀、11と、22玉、28龍、24銀上、
21と左、32玉、31と左、42玉、75馬、53と、
41と右、32玉、31と右、22玉、21と右、12玉、
17龍、13銀、11と、22玉、27龍、24銀上、
21と右、12玉、16龍、13銀、11と、22玉、
25龍、24銀上、21と右、12玉、14龍、13銀、
11と、22玉、21と左、32玉、65馬、43と、
31と右、22玉、25龍、24銀上、21と右、12玉、
16龍、13銀、11と、22玉、27龍、24銀上、
21と右、12玉、17龍、13銀、11と、22玉、
28龍、24銀上、21と左、32玉、31と左、42玉、
75馬、53と、41と右、32玉、31と右、22玉、
21と右、12玉、17龍、13銀、11と、22玉、
27龍、24銀上、21と右、12玉、16龍、13銀、
11と、22玉、25龍、24銀上、21と右、12玉、
14龍、13銀、11と、22玉、21と左、32玉、
76馬、43と、31と右、22玉、25龍、24銀上、
21と右、12玉、16龍、13銀、11と、22玉、
27龍、24銀上、21と右、12玉、17龍、13銀、
11と、22玉、28龍、24銀上、21と左、32玉、
31と左、42玉、86馬、53と、41と右、32玉、
31と右、22玉、21と右、12玉、17龍、13銀、
11と、22玉、27龍、24銀上、21と右、12玉、
16龍、13銀、11と、22玉、25龍、24銀上、
21と右、12玉、14龍、13銀、11と、22玉、
21と左、32玉、87馬、43と、31と右、22玉、
25龍、24銀上、21と右、12玉、16龍、13銀、
11と、22玉、27龍、24銀上、21と右、12玉、
17龍、13銀、11と、22玉、28龍、24銀上、
21と左、32玉、31と左、42玉、97馬、53と、
41と右、32玉、31と右、22玉、21と右、12玉、
17龍、13銀、11と、22玉、27龍、24銀上、
21と右、12玉、16龍、13銀、11と、22玉、
25龍、24銀上、21と右、12玉、14龍、13銀、
11と、22玉、21と左、32玉、98馬、43と、
31と右、22玉、25龍、24銀上、21と右、12玉、
16龍、13銀、11と、22玉、27龍、24銀上、
21と右、12玉、17龍、13銀、11と、22玉、
28龍、24銀上、21と左、32玉、31と左、42玉、
97馬、53と、41と右、32玉、31と右、22玉、
21と右、12玉、17龍、13銀、11と、22玉、
27龍、24銀上、21と右、12玉、16龍、13銀、
11と、22玉、25龍、24銀上、21と右、12玉、
14龍、13銀、11と、22玉、21と左、32玉、
87馬、43と、31と右、22玉、25龍、24銀上、
21と右、12玉、16龍、13銀、11と、22玉、
27龍、24銀上、21と右、12玉、17龍、13銀、
11と、22玉、28龍、24銀上、21と左、32玉、
31と左、42玉、86馬、53と、41と右、32玉、
31と右、22玉、21と右、12玉、17龍、13銀、
11と、22玉、27龍、24銀上、21と右、12玉、
16龍、13銀、11と、22玉、25龍、24銀上、
21と右、12玉、14龍、13銀、11と、22玉、
21と左、32玉、76馬、43と、31と右、22玉、
25龍、24銀上、21と右、12玉、16龍、13銀、
11と、22玉、27龍、24銀上、21と右、12玉、
17龍、13銀、11と、22玉、28龍、24銀上、
21と左、32玉、31と左、42玉、75馬、53と、
41と右、32玉、31と右、22玉、21と右、12玉、
17龍、13銀、11と、22玉、27龍、24銀上、
21と右、12玉、16龍、13銀、11と、22玉、
25龍、24銀上、21と右、12玉、14龍、13銀、
11と、22玉、21と左、32玉、65馬、43と、
31と右、22玉、25龍、24銀上、21と右、12玉、
16龍、13銀、11と、22玉、27龍、24銀上、
21と右、12玉、17龍、13銀、11と、22玉、
28龍、24銀上、21と左、32玉、31と左、42玉、
41と左、53玉、58龍、63玉、64歩、同金、
同馬、同玉、55龍、73玉、64金、84玉、
85龍、93玉、83龍、同玉、74金、92玉、
93歩、81玉、82金、同金、同桂成、同玉、
73金打、71玉、72歩、81玉、92歩成、同玉、
83金上、91玉、82金直まで441手詰

作者 移動合回数の最多記録作(86回(数え間違えていなければ)) 大学時代の素材で、独力で創った初めての超長編でもあり、新鮮味はないが愛着がある。

★441手の超長編。タイトルもついているので愛着のある作品と分かる。当然の如く優秀作に輝いた。

★まずは初形をよく見る。玉方の持駒は銀が1枚。と金のベルトで玉を左右に動かす仕組みだろう。36龍と76馬の活用を計るのだろうが、課題から馬鋸と割れているのから98歩が質駒であることが予想できる。47桂が35銀を質にしていて3筋の2枚の香も強力。玉が23や43に来たときに動き出すのだろう。変化が難しそう。58金も質駒にみえる。気になる配置だ。

★左に追って馬の王手では51玉とされて手がないのでまずは右に追う。31と右に23玉は35桂と銀を入手して25龍に桂合も切っちゃって35銀でどう逃げても詰みそう。22玉だ。さらに21と右としちゃうと13玉で16龍、14銀で切れてしまう。22玉の所で龍で王手するよりない。

★27龍で応手は色々あるが、最終的に24銀合と決まる。25龍でも同じにみえるが、これは迂回手順になる。(違っていたら教えてください)
☆教えてもらいました。

★ここから龍鋸がはじまる。目的は28龍とすること。

★と金ベルトで左に追い75馬と王手。今度は51玉には58龍と金が入手できるので、53との移動合になる。

★続けて41と右、32玉に65馬としたくなるが、54とで全然詰まない。

★ではどうするかというと、また龍の位置を移動しておかなければいけないのだ。次図は14龍まで龍鋸で近付いたところ。

★今度は65馬に54とならば同馬と切って簡単に詰むので、43との移動合となる。

★これで趣向成立の大まかな仕組みは解明できた。実際には23玉、43玉の変化や24銀引の変化などがあり(解くのはともかく)創作は大変だ。(動く将棋盤には柿木将棋の解を入れておいたが書籍化する際には正しい変化順を馬屋原さんが教えてくれることを期待している)
★次図は98歩を入手したところ。これで持駒が1歩増えた。ここからは馬を近付ける。

★次図は65馬まで近付けたところ。64馬とはできないので、ここから収束に入るはずだ。(もちろん途中から収束に入ることも考えられるが、作者名から忖度すれば……)

★再び龍を28まで遠ざけて、58金の質駒入手から収束となる。

★次図は435手目の局面。この歩を打つために98歩を入手したということになる。

★\(龍\times 馬\times2\)となる。1999年のI.TADASHI「\(馬\times 馬\)」の衝撃からいくつか同様の構造を持つ作品が発表された。本作は山崎健「アンフィスバエナ」の\(龍\times 龍\times2\)、志駒屋十政「京の夢」の\(馬\times 龍\times2\)、そして作者自身の出世作「槍の帝王」\(王\times 馬\times2\)と似た構造ではあるが、まったく同様の構造を持つ作品は見た記憶が無い。(ただ、最近記憶力が自分でも呆れるほど自信が無い)

松澤成俊 力作
占魚亭 龍鋸+馬鋸で2歩獲得。龍・馬が消える収束もシンプルで良いですね。
竹中健一 なにこれ!こんな傑作がここにいたなんて!本誌じゃないんだ! つみき書店さんのつくってみたコーナー過去最長手数じゃないかな。構想も凄いですし、文句のつけようがない!
keima82 Youtuberっぽいタイトル。右上の形は「ミクロコスモス」に似ていますが、持ち駒変換の代わりに竜鋸を、馬鋸と掛け合わせた作品。1サイクル31手ですか…。とてつもないですね。
★昔は「命名のセンスが……」などと弄っていたが、最近はあいちゃんの作者にも褒められて向かうところ敵無しの状態。でも、と金の方は無視ですか?とちょこっと苦言を残しておこう。

総評

松澤成俊 今月は一部のみ解答します。
竹中健一 本誌に出してもよいような作品もあってびっくりしました。
ぎょうざパン 今回3問しか解けず、ちょっと悔しいです。3番・4番くらいまでは解きたかったのです。
占魚亭 馬屋原さんは別格として、面白い作品が多かったです。今回もAlexander Kalenovさんの作品があって、嬉しかったです。
RINTARO 皆さん、素晴らしいですね。疲れました(笑)。私は、在庫の馬鋸を放出しました。複雑なのは作れませんが、いつか挑戦してみたいと思います。
keima82 単に馬鋸というだけではなく、プラスアルファ主張してくる作品が多く、楽しめました。馬屋原さんの作品群には唖然。在庫を放出したのか、全部新作なのか気になるところです。。
negitarou 解けたのは全体の4分の1くらいですが、特に良かったのは【第4問】です。20手台の問題は手強そうに見えました。RINTAROさんの問題は比較的わかりやすく、楽しく解かせていただきました。
松崎一郎 残念ながら解けなかった作品も多々ありましたが、馬鋸祭に楽しく参加させていただきました。かなりの長手数でしたが、ポツンと置かれた離れ駒を目標に、馬鋸に入るまでの手順を見つけるのが面白かったです。
空貴人 いずれも手を出してみたくなるような作品ですが、簡単ではないことが大変よくわかりました。一方で、ぼんやり眺めていると、テンポの良い手順の一部が見え、解けなくても、見ていて楽しい作品が多いと感じました。どうもありがとうございました。

成績発表

Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8
竹中健一
negitarou
keima82
まつきち
松崎一郎
占魚亭
松澤成俊
RINTARO
山城正樹
空貴人
ぎょうざパン
Q9 Q10 Q11 Q12 Q13 Q14 Q15 Q16
竹中健一
negitarou
keima82
まつきち
松崎一郎
占魚亭
松澤成俊
RINTARO
山城正樹
空貴人
ぎょうざパン
Q17 Q18 Q19 Q20 Q21 Q22 point
竹中健一 1
negitarou 3
keima82 2
まつきち 3
松崎一郎 3
占魚亭 3
松澤成俊 1
RINTARO 3
山城正樹 3
空貴人 5
ぎょうざパン 3

今回は6ポイントに到達した方はいらっしゃいませんでした。空貴人さんが立直!


志駒屋十政 詰パラ1988.08

藤本和「夢の旅人」近将1984.12

相馬康幸『相馬康幸Collection』第32番 詰パラ1984.04

「詰将棋つくってみた(197)
 課題39:結果発表(6)」への2件のフィードバック

  1. 山腰作の件。
    具体的にこれのことかどうか記憶は曖昧ですが、これも一つの例になるかとは思います。つまり、23の香(飛)で合駒の余地をなくしておいて、38銀、39飛の形で馬ノコを成立させる舞台設定、という意味ですね。
    昔からあったのかも知れませんが、私は、この形は山腰さんの名前が浮かんでしまうのでした。

    1. 金子さんから志駒屋の筆名を教えていただいて、やっとこさ見つけました。記憶力の減衰が甚だしいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください