詰将棋つくってみた(199)
第7回 三手詰祭:結果発表(2)

いよいよB部門です。
サクサク行きます。

三手詰で「新作」もしくは「自分の名前をだして恥ずかしくない作品」を作るのは難しいので、なかなか参入してくれる作家は少ないのですが、今回は誰だか分からない謎の一流作家が登場してくれました。嬉しいです。

B部門

第14問 チョー一流作家

正解 82角、同香、11龍まで3手詰

◇91龍を81香がマンツーマンブロックしています。横への利きは身体で押さえ、99龍には81銀合、同龍、同香成というわけです。一方で持駒に角がありますが、37角と打っても28歩合、同角、同桂成で寧ろ堅くなってしまいます。
◇そこで91龍と持駒の角を協力させる着手が82角です。81香の利きを塞いでいるのがミソで、73歩合などには99龍で詰みです。同香ならば(これが作意ですが)龍の横利きが開くので11龍までの詰み。解答は「82角、73(64~28)歩(香~)、99龍まで3手詰」でも正解です。

RINTARO よくある手順。
まつきち 古典的、角の遠打
占魚亭 龍の通り道を抉じ開ける。
高橋美鈴 龍を縦に使うか横に使うか迷いました
三輪勝昭 3手詰の角最長遠打最少駒数(全駒使用は除く)。
keima82 読まずに▲82角と打ちたくなりました。好みの問題かもしれませんが、香は41に置きたいです。
negiotarou 角で香車の利きを遮る。二手目・合駒の手順が好きです。第14問と第15問は雰囲気がよく似ていますが、こちらの方が好みです。

第15問 チョー一流作家

正解 81角成、19馬、27馬まで3手詰

◇開き王手を利用して18角を成りかえって27馬までを狙う。ところが「63角成(不成)、19馬、27馬(角成)まで3手詰」は不正解。なぜなら2手目19馬ではなく28玉と逃げられたときに困ってしまうからだ。
◇正解は28玉のときに91馬までの詰みをみて、81角成と91馬に寄り添ってなっておく。「81角成、18合(桂成)、27馬まで3手詰」の解答も正解。
★★★

空貴人 初手の限定が自然
松崎一郎 馬の横には成りづらい。
占魚亭 角・馬を大きく動かす。
三輪勝昭 双方角最長距離移動作。
まつきち 古典的、角の最遠移動。
松澤成俊 途中下車しそうになった🤣
高橋美鈴 81角成限定ですね。逃げたら馬取って駒余り
keima82 28玉の変化に▲91馬を用意するための限定移動。
RINTARO これもよくありますね。
◇前回の三手詰祭6の第11問springs作も同一手順でした。別の表現なので無問題です。

第16問 シナトラ  b)+玉方67銀

a)
b)

正解 
a) 58金、同桂成、47飛まで3手詰
b) 48金、同と、35角まで3手詰

◇ツインとは駒1枚の移動で2つの対比的な詰手順を楽しもうという形式です。まずは図面の作品を解き、その後でb)の変更を加えて新たに解きます。2つの姉妹作とは違い、あくまで1つの作品と考えてください。
◇57銀(玉方)の有無で、初手に金を捨てる位置が変わり、トドメを刺す駒も飛車と角行が替わっています。また攻方の飛角3枚がいずれの図でもすべて働いていることにも注意してください。

高橋美鈴 退路封鎖
占魚亭 角の役割交換。
RINTARO ツインは評価が難しいですね。
negiotarou (a)と(b)で金を打つ位置が変化!
まつきち bの筋なら68歩を置かずにと思ってしまう。
keima82 ツインとしても面白いですが、bは単体で見ても良い作品だと思います。
三輪勝昭 ツイン作ってやつですか。駒の働かせ方の違いがツイン作として面白い。

第17問 松田圭市

正解 25角、37玉、15角まで3手詰

◇63角、37玉、27角成は不正解です。2手目45歩合という応手があり、同角成、47玉以下逃げられるからです。では角を右から打つことにして14角ですと37玉、15角、26歩合で失敗します。予め23香の利きを塞ぐ位置に25角とするのが正解でした。
◇B部門なので駒配置などについて解答者から遠慮なしにいろいろツッコミが来ています。お楽しみください(^^;;

占魚亭 角の盾。
negiotarou 角で香車の利きを遮る。
RINTARO 63角は45歩合で逃れる。
高橋美鈴 一見重く見える手ですがうまくいきました
まつきち と金2枚を38銀1枚というわけにはいかない?
三輪勝昭 手順成立には3筋を端にすれば4筋の駒はいらないし、角香を逆形にすれば初手捨駒にする事も出来る。
keima82 香を遮断するための限定打。▲44飛、△48と、△35歩除去、▲48香追加で、配置を2枚減らせると思います。
◇みなさん、この筋は手掛けたことあると思いますので、適格なご指摘です。(私もあります。『三手詰・五手詰集』第12番)でも推敲しすぎても同一作になるとか、きっと色々な事情があってこの図に落ち着いたのだと思います。作者は改良図がもしできたら送ってください。

第18問 チョー一流作家

正解 27香、同龍、76馬まで3手詰

◇身動きの取れない玉ですが遠くから龍・馬が守りを利かせています。22香は同龍、同馬、同龍で逃れ。76馬は54歩合で失敗です。
◇そこで龍と馬の2つの線駒の利きの交点–27に香を打つのが定番の好手です。龍・馬のどちらで取ってもどちらかの利きが塞がれてしまうというわけです。
◇作意は同龍。同馬ですと最終手が22とでも22馬でも正解。作意は87馬ではダメで76馬に限定されているわけです。

RINTARO 焦点の捨駒。
松崎一郎 焦点の27香。
negiotarou 焦点への香打ち!
まつきち 古典的、香の限定打
高橋美鈴 大駒の焦点に打つ香、鉄板
占魚亭 焦点打。同龍には狙撃、同馬には突進。
keima82 もう見るからに「焦点に打ってください」と言わんばかりの配置。
三輪勝昭 11は歩にするか香にするか迷うが香にしたのは風さんの判断で、香だと対子図式になるので香が良さそう。11香だと歩で良いのに香にしたと思われないのがミソ。
◇(せっかく本名がばれないように必死で配慮しているというのに……)

第19問 シナトラ

正解 75馬、55桂、64龍まで3手詰

◇57馬をどかして58香で開き王手をするしかないということは、少し考えれば分かります。でも馬を一体何処に動かせば良いのでしょう。馬の動かし方は11通りもありますが、まずは端から試してみることです。すると……

占魚亭 64に行かせない。

◇ことが絶対必要だということに気付くはずです。66馬が44も抑えて効率よさげですが64玉、53龍、74玉とどんどん逃げられてしまいます。といっても46馬では75玉でそれこそ絶望なので、初手は75馬に決定です。44玉から35玉と逃げられそうな配置になっているのが巧妙で、実は75馬に44玉でも53馬まで駒余りで詰みます。
◇では75馬には55間駒でしょうか。

高橋美鈴 あれ?駒が余っちゃう

◇55合には53龍まで駒余りで詰みます。詰将棋の作意は駒が余らないはず。逆にいえば駒余りの解答は「玉方の応手にミスがある」ということで不正解になってしまいます。
◇実は53香を玉方は守る手段があります。それは55桂という移動合。73飛の利きが通って53龍ができなくなっています。代わりに62龍の縦の利きが通りましたから64龍までの詰みとなります。攻方の手よりも応手に狙いがある詰将棋もあるということを知っておいてください。

まつきち 2手目の桂跳ねが好防
negiotarou 桂馬の移動合がうまい受け。
RINTARO 駒余り阻止の移動合が新たな詰み筋を生じさせるとは。
三輪勝昭 桂の移動合。3手詰の場合限定合より移動合の方が創作は易しそう。
keima82 自分の飛車のラインを通すために桂を跳ねたら、敵の竜のラインも通ってしまい…。

第20問 シナトラ

正解 65銀、47玉、64銀まで3手詰

◇今回の白眉です。初形玉はほぼひとりぼっち。守備駒は名ばかりでいない方がいい駒ばかり。飛角3枚に囲まれて絶体絶命のようですが、なかなか飄々と逃げ回って捕まりません。
◇2手目66玉と逃げられたときに1手で詰む形はと考えると、初手は65銀しかありません。92角の利きを自ら塞ぐ不安感が効いています。66玉には76馬までです。(この順を解答しても正解ですが、その後を考えないのは勿体ない!)
◇2手目玉は47玉と逃げます。さて銀は5ヶ所の利きがありますが飛角3枚の邪魔をしない場所はなんと1ヶ所だけ。玉から遠ざかるような64銀しかないとは!
★★★★★★

松崎一郎 銀の動きが面白い。
高橋美鈴 銀がちょこちょこずれて大駒を効かす
三輪勝昭 コミカルな銀の動き面白い。
RINTARO 大駒の効きをかいくぐる銀の動き。
negiotarou 銀の動き(6五→6四)がユーモラス。
まつきち 引いて真っ直ぐに立つ銀の動きが見応え十分
占魚亭 さらっとバッテリーを組み換える、味のいい銀の動き。
keima82 これは凄いですね。初手も凄いですが、3手目も色々詰みそうで限定されているとは・。

第21問 久保紀貴

正解 27銀、37桂、38金まで3手詰

◇本作も今回の収穫です。
◇持駒の金が使えません。38銀が居なければ38金までで詰み。33飛がいますから27銀とどけば、空いた38に金を打って詰み—とすぐに理解できたことと思います。では、何を考える問題なのか。はい、「2手目どう応じるのが最善か」を考える問題です。
◇37に間駒を打つしかありません。打てる駒は歩・香・桂・銀・金の5種類。正解は1つです。
◇37歩合としてみましょう(このような場合、歩から考えるのが定跡です)。38金、同歩成、同飛成まで5手駒余り。おかしいですね。変長(変化長手数駒余り)でしょうか? いえ、作者の久保さんは変長作品を発表するような年寄ではありません。よく考えると37歩合は38角までで持駒の金を使わずに詰んでいます。これは37の間駒がなんであっても同じように見えますが……桂だけは違いました!
◇27銀、37桂に38角は29銀(金)合でなんと詰まないのです。そこで37桂合には当初の予定通り38金で詰み。
◇わざわざ38金を打ってくださいというような桂合が正解とは、まるでばか詰(協力詰)のような、なんと不思議で楽しい手順でしょう。
★★★★★

松澤成俊 風変わりな合駒
占魚亭 38角対策の合駒。
高橋美鈴 合駒は桂でなければ駒余り
山城正樹 桂合いが見えにくかったです
空貴人 桂合で角の開き王手を無効に
まつきち 2手目37桂合が最善とはムシの良い話。
negiotarou 桂合が正解!、右下で駒が渋滞してますね。
三輪勝昭 駒取りの別詰防止でない合駒限定なのが3手詰として優秀。
RINTARO 不思議な詰将棋。他合は38角。こんな限定合初めて見たかも。
keima82 ▲38角までの駒余りを防ぐ唯一の受け。▲33飛を取ることができる玉方の駒が配置されていたら、2手目△33Xと騙されていたかも。
◇「27銀、33X、38金まで3手詰」を変別のバツとするのは現行ルールではその通りなのですが、ちょっとしのびないですね。作者もそんなことはしたくないのでこの配置なのでしょう。

※今日は最後まですすめる予定でしたが、午前中に緊急の仕事が入ってしまいまして、時間が足りなくなりました。
今夜はここまでで失礼します!

「詰将棋つくってみた(199)
第7回 三手詰祭:結果発表(2)」への3件のフィードバック

  1. 風みどり様、たくさんの解説お疲れ様です。m(_ _)m

    【第14問】の短評ですが、角で香車の利きを遮る。が正しかったです。失礼しました。

  2. 祭だから良いかと思ったが皆さんなかなか手厳しい。
    興味のある方は『増補新版すなどけい』第99番をご参照ください。

  3. 僕の投稿作はネタ被りは覚悟の上で同一原理当然あるだろうし、同一図になるものもあるだろうと思ってました。
    第15問ですがこの原理で色々な図がありそうですが意外に限られてます。
    先ず27に利かせる駒は銀か桂しかあり得ない。
    桂は39だけ。
    銀は16と38だけ。38銀は変化に29飛があるので39とを置くか19は香にする必要がある。
    で最初に浮かんだのが16銀39香ですが、これだと28玉の変化で18馬があるので18に玉方利きが必要。
    でこの駒も限られる。
    最少駒数にするためには26桂しかないと思っていましたが、1筋香があったのは気付きませんでした。
    これだと39桂しかなく3筋に利かす駒が1枚では済まなさそうですが34飛がピタリの配置です。
    僕の作品では詰上りに大駒が遊ぶのがタブーなのでこの図はないのですが最少駒数原理に別解があるのは勉強になりました。
    これを風さんは表現の違いと言ったのかな。僕も3手詰の創作図としては別解と思ってます。
    尚、発表図の48金は39香も可です。
    39香だと3536に利いているのが魅力なのに26桂のためその必要がなくなりました。
    それは癪ですし26桂は単なる余詰防止ではと、不詰防止にもなるよう48金にしました。
    48と金は同一図として、この3手詰原理を最少駒数でとなると発表図と前発表図しかないと思います。

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