メタ奔馬(改)正解発表(7)

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……25飛成まで199手詰。

せっかく最後まで詰上げたのに、この199手の解答は間違いで、正解は343手詰。何が間違えていたのかを考えておいてくださいというのが昨夜の宿題でした。

田中鵬看「奔馬」近代将棋1971年2月

実際もし199手詰が作意だとしたら伊藤正は発表することをしなかったでしょう。
上図は「メタ奔馬」の元となった「奔馬」です。
初手から51龍、81歩、同龍、同玉、45馬と進めれば、今までこの連載を読んできた方なら最後まで詰ますことが出来るでしょう。ほとんど同じ構造だからです。

では、伊藤正が新しく開発し、世間をあっといわせた手はなんだったのか。
25手目にまで遡ります。

53馬、

今まで馬の王手に対して素直に21玉と逃げていました。
なぜなら42には攻方の駒が二枚利いており、普通は間駒が出来ないからです。

42歩、

この歩合が妙手です。

(42)同馬、21玉、

もし同馬と取ってしまえば、玉方34銀がいますので43馬とすることは適わず、打歩詰が解決できません。
42歩の捨合は馬で取ることはできないのです。

(42)同銀不成、

仕方なく銀で取ります。不成で取るところが先を見越した好手です、

21玉、22歩、同玉、33銀不成、21玉、

さてこの局面を良く見ると、53馬に対してすぐに21玉と逃げた局面とまったく同じなのです。
42歩を入手しましたが、22歩と捨てたので、持駒の増減はありません。
ただ手数が6手余計にかかっています。
玉方はできるかぎり手数が伸びるように応手をする約束ですから、この手順が正しいわけです。
ということは次の31玉に対する馬の王手に対しても同じことが起こります。

54馬、31玉、64馬、42歩、

玉から遠ざかる31玉に対する馬の王手にはすべて42歩合が利くということです。
では近付く場合はどうでしょう。

……64馬、42歩、

55手目の64馬に対しては当然42歩が利きます。問題は持駒に桂馬がある場合です。

……75馬、

仮に42歩合として進めてみましょう。

42歩、同銀不成、21玉、22歩、同玉、31銀不成、

32玉なら、42馬、21玉、33桂まで簡単な詰み。ですが11飛が守っています。
同飛と銀を取られて詰みません。
詰棋めいとに発表された原図は馬鋸の軌跡が最長になるように設計されていたため、1筋の配置はなく、右に一路動いた形になっています。当然11飛は置けないので、原図では桂馬が持駒にある場合は捨合ができないようになっています。(原図は次回紹介します)

(75馬、)42歩、

というわけで、この修正図では馬が近付く際にも捨合が成立するように変更されました。
さて、この6手が貯まりに貯まって……

…………25龍まで343手詰

次回最終回。当選者発表。

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