メタ奔馬(改)正解発表(8)

つぎはぎの解説でしたので、最後に動く将棋盤でまとめて作意を並べていただきましょう。

伊藤正 「メタ奔馬(改)」

弱点は次の3つ。

  • 12手目は21玉としてもよい。中岐れ。
  • 73手目の76角は69手目にしてもよい。手順前後。
  • 307手目の97馬は313手目にしてもよい。手順前後。
作者の言葉

◇元ネタは田中鵬看氏の「奔馬」で「馬ノコ+桂連取り」。これに感銘を受けた私は手数伸ばしの歩中合を入れたのが既発表作。当時は馬ノコに歩合を組み合わせたものはなく新しい工夫と思っていた記憶がある。ただこの時は馬ノコルートの長さを優先した結果、歩合の挿入は馬が遠ざかる時だけだった。
◇今回の修正にあたって余詰筋を検討したところ、修正には1筋左に寄せることが必要になり、馬ノコのルートの長さは短くなるが、その代わり、11飛配置により復路の歩合も入れることにした。
◇馬ノコの目的は「88銀を取ること」に設定。
◇収束で手順前後があるが、これ以上のまとめができなかった。

解答者は5名でした。(めいと発表時よりはちょっと増えました)

江市滋 だいたい解けた、復路でも歩中合が成立するあたりとかが創意かな、その代わり軌跡にやや違和感があるか(一段上げたので)
つつじ 原図も検索しましたが、馬の移動範囲が少なくなった代わりに復路にも歩合が入り、手順がより奇麗になっていると思います。他の非限定・手順前後はともかく、76角と97馬のタイミングが非限定なのは個人的には若干気になりますが、構成上どうしようもなさそうでしょうか。
金少桂 作者本人による素晴らしい修正。原図では馬鋸の一部で銀往復運動が入らなかったが、今回の改良図では馬鋸の全てで銀往復が入り、破調のない整然とした趣向手順になっているのが良い。
たくぼん メイトは読んでいなかったので、解図したのは初めてです。馬鋸自体はシンプルな狙いですので解くのは難しくはありませんでしたが、歩の捨て合いからの銀不成の繰り返し手順により長手数を実現していますね。無理していないような感覚が感じられますがそこが作者の腕なんでしょうね。
占魚亭 原図では馬2枚で行っていた趣向手順を馬1枚で行うようにしたのは上手い改良だと思います。

なお発表原図は下図でした。

伊藤正「メタ奔馬」詰棋めいと 1984.06

「メタ奔馬」が入れた歩の捨合は、捨合でない形では殺人機械「蠅」詰パラ1981.2がありますが、「メタ奔馬」が多くの作家・解答者を感動させたのは、この捨合を自作馬鋸に取入れた作家がすぐに何人も現われたことが証明しました。

当選者発表

厳正な抽選の結果、たくぼんさんが当選しました。つみき書店の最新刊『詰将棋つくってみた2023-4』を贈ります。

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