詰将棋入門(21)  イの字

丸山正為 「将棋イロハ字図全」 第2番 1927.9.10

このタイトルでは楽しみ半減だ。
が、まぁ、仕方ない。
見なかったことにして解いてみておくんなさい。

64桂、41玉、74馬、同龍、53桂、同香、52桂成、同玉、53角成、同玉、54香、

54香の短打がちょっとしたアクセント。
離して打つと逃げられる。

同龍、同金、同玉、44飛、55玉、46銀、56玉、67金、同成香、57歩、同成香、同銀引、55玉、56香 まで29手詰

以下は解説が必要な所はなかろう。
気持ちよく「イ」の字が炙り出される。

ちなみに将棋月報1926.2に発表した図は次図。

詰パラの中編名作選に載っていた図は次図。

丸山正為は初めてイロハ48文字を裏表完成させた作家として知られる。
曲詰には詳しくないので明言できないが、裏(あぶりだし)だけでも48文字そろえた作家は古今で10指に満たないはず。
表(初形曲詰)もセットでとなると片手で十分数えられそうだ。

〇〇〇さんなどは「質にこだわらなければそんなもん簡単にできるんだよ」と言いそうだ。

仰るとおり。(筆者にはできないけど)

ただ次のようには言えそうだ。

本作はこれ1作をみれば平凡な作品だけれど、単品で評価してはいけない。
「イロハ字図全」をまとめて一つの作品として評価しなくては。


追記
橋本哲さんから次の指摘をいただき、本文を手直ししました。(2020.4.19)

  • 全部で百番。(イロハ48字+京+曲詰でないもの)×2=100番
  • 初形曲詰/あぶり出しの順で、1番は初形「イ」の字で、あぶり出し「イ」は2番。
  • ちなみに1番は、33角55銀58馬77香/44香56玉57と66と+金金桂歩
  • 図面が違います。2手進めた局面で83馬が29馬、57とが46とになってます。

丸山正為 「将棋イロハ字図全」 第1番 1927.9.10

そういえば、筆者も実物を見たことがあるのを思いだしました。
アカシア書店で立ち読みしたのかな。

それに「イロハ48文字」といっても「ン」を入れる場合と「京」を入れる場合がるんですね。
かるたは「京の夢大阪の夢」でしたっけ。
丸山版は「ン」も「京」も入った「イロハ49文字」が正しいのですね。

さらに追記です。
岡田敏「解いて楽しいあぶりだし詰将棋」(2000.3.27)に次の記述を見つけました。

現在まであぶりだしてイロハ48文字を完成し、発表しているのは次の五人である。

    丸山正為 昭和2年9月 月報社
    門脇芳雄 昭和31年1月 詰パラ
    田中 至 昭和44年5月 過雁組曲
    伊藤路歩 昭和57年2月 詰パラ
    岡田 敏 平成5年9月 詰パラ

門脇さんと岡田さんは初形曲詰の印象がないから、裏表で揃えているのは残りの3方でしょうか。
この文章が書かれてから20年経っているので、もっと増えていることでしょう。
新ヶ江さんとか三輪さんとか?
ご存じの方はコメントをよろしくお願いします。

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