邪魔駒消去の手筋は直接消去と間接消去の2種類がある。
そう教科書には書いてある。(直接消去をさらに2種類に分ける人もいる)
初心者のために例を挙げる。
こないだ私家版一般戦で発表した自作の部分図が下図。
易しい7手詰。
初手に打った金が邪魔駒になって、4手かけて自爆しているのがわかるだろう。
これが直接消去。
下図は今急造した自作。易しい9手詰。
(それにしても、もうちょっとどうにかならんのかい?)
初手に打った銀が邪魔駒になって、これを4手かけて玉に取ってもらっている。
これが間接消去。
素直なオイラは、邪魔駒消去の手筋はこの2つなんだと信じていた。
ところが……
教科書を信じてはいけない
と衝撃を受けたのが次の作品だ。
柏川悦夫 詰将棋半世紀第2部盤上流転第49番 近代将棋1967.1
大好きな作品だらけの柏川悦夫作品群の中でも大々好きな作品だ。(語彙が……)
塚田賞も受賞した有名な作品。
この局面で3手目に打った52銀が邪魔駒になっている。
この銀、直接消去も間接消去もできない。
そこで、銀を角に打ち替えてから、その角を直接消去する。
邪魔駒の銀を消去するのに、そのままでは消去できず、角に替えてやっと消去できるという新しい手筋だ。
こんなの教科書に書いてなかったぜ。
始めて見たのは「詰」(野口文庫1975.6.10)の第80番として。
この本、解説がほとんどなくて、当時理解するのに四苦八苦した。
この作品にはちょっとだけあって、それでもこれだけ。
第29期塚田賞(中篇)
塚田九段選評「柏川作、構想の妙もさることながら、19手と短くまとめた処などひそかに感服している。作りようによっては長くなる危険性があるからである。」
さて、やっとこさ本題に入る。
オイラはこの手筋、この柏川作1作しか知らなかった。
ところが、先日、見つけた。
詰将棋入門27で取り上げた小林豊作だ。
証拠をご覧に入れよう。
この局面で43桂が邪魔なのだが、34歩と打っても42玉と逃げられて消去することができない。
そこで43桂を43歩に打ち替えた局面がここだ。
今度こそ、34歩と打って消去することができる。
当初の目的の43桂が消去できた局面がこれだ。
柏川作とまったく同じ構造なのがわかるはずだ。
比較すると次のようになる。
- 邪魔駒(銀)→(角)→直接消去=柏川作
- 邪魔駒(桂)→(歩)→間接消去=小林作
いかがだろうか。
ご意見はコメント欄に。
追記(2020.6.22)
軽趣向好作選38の近藤郷作がこのタイプの間接邪魔駒消去。
- 4手目の局面で36飛が邪魔駒になっている。
- 36飛を38桂に打ち替えて、
- 38桂を間接消去する。
- これで36飛が間接消去できたことになり28歩以下収束する。
オイラが知らないだけで、このナラティブはたくさんあるのかな?
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