有馬康晴 将棋月報 1942.9
失敗図までの手数がちと長いので、久しぶりに失敗図に至る動く図面を用意した。
考えてみようという方も安心して上の図面は操作しても大丈夫だ。
まずは失敗図に至る手順から。
84香、71玉、72歩、61玉、62歩、51玉、52香、42玉、32歩成、53玉、54銀上、64玉、56桂、73玉、
91歩成は同角とされるから、この角の利きを消す84香に手が伸びる。
高い駒は同香成と取って簡単。
82角の移動合は、91歩成、71玉、74香、61玉、72香成、51玉、52歩、42玉、32歩成、43玉、54銀引成、52玉、42と、同玉、43歩、51玉、52歩、同玉、32飛成、51玉、62成香まで
ところが84香にあっさり71玉と躱されると、素直に追うと失敗図に至ってしまう。
74歩と打ちたいが、二歩禁と打歩禁の二重苦だ。(もし、実戦でこのような手を指してしまったら1局で2敗することになるのだろうか?)
この後も、83香成、同玉、84歩、82玉、83歩成、同玉、94角、73玉、83角成、同玉、88飛、同角成……
と色々手は続くのだが失敗する。
実はこの失敗図では解決に至るために開けなければいけない錠が3つかかっている。
種明かしをしてしまえば、上図の84香、72歩、58角の3つだ。
作意は冒頭の3手がこの3つの錠を開ける3つの鍵になる。
再掲初形図
83香、
84でなく、83に打つのが最初の鍵。
71玉、72香、
持駒に香と歩がある。先に香を遣ってしまうのが第2の鍵。
これを香先香歩という。
61玉、25角、
第3の鍵は飛車の活用を邪魔している58角を冒頭でいきなり見切って捌き捨ててしまうこと。
同歩、62歩、51玉、52歩、42玉、32歩成、53玉、54銀上、64玉、56桂、73玉、
これで先程の失敗図と比べてみれば、74歩が打てて、以下道が拓けているのがわかる。
74歩、83玉、84歩、82玉、83歩成、同玉、88飛、
58角を捨てておいた効果。
83歩成、同玉の後に94角と捌きに行くと、92玉と逃げられて92歩が消えてしまうので不詰。
同角成、73歩成、同玉、85桂、82玉、93香成、81玉、73桂不成 まで31手詰
なお有馬康晴に興味を持たれた方は次の情報にアクセスしてみるとよいだろう。
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