詰将棋入門(33) 新四桂詰

岡田秋葭 「新四桂詰」 将棋月報1943.4


岡田秋葭の代表作と言われている作品をもうひとつ紹介して将棋月報編を終わりにしよう。
このタイトルは後世の人がつけたもの。
完全なネタバレだが、持駒と右半分の配置で「もしやこれは」と予想がつくと思うので許されよ。

序盤がちと変化があって真面目に読むと難しい。
勘が冴えない方は、大駒4枚が消え去って小駒図式になる22手目の局面から考えてみるのも良いかもしれない。


71角を活用するのが本筋。

86角、88玉、97角、同玉、93飛成、同歩、53角成、

2手目98玉や96玉は92龍で詰む。(5筋まで追えば55飛成とできる)
87玉は作意でも詰むがいろいろ短い順がありそう。
95角を消去して、53飛が捨てられる。

98玉、93龍、88玉、97馬、77玉、78歩、67玉、59桂、57玉、

1枚目の桂馬を59に配置した局面。
57玉でなく、56玉が最後の読みを必要とする変化。
55と、同玉には47桂打または67桂打で早い。

ここで93龍に見切りをつける。

79馬、同と、97龍、77桂、同龍、同歩成、

4枚目の桂馬を入手した。

49桂、46玉、38桂、36玉、48桂、25玉、

4枚の桂馬を配置完了。
後はきもちよく跳ねていくだけだ。

この局面で34銀生と金をパクりたくなるが、35玉と足場を崩されて52方面への脱出が阻止できない。
素直に攻める。

37桂、35玉、47桂、24玉、36桂、14玉、

36桂も跳ねて44への効きを作っておくのがポイント。
ここから金をパクる。

23銀不成、同玉、34銀成、同玉、44金、

44金が打てて、もう鍋に入った。(それは最初からか)

23玉、35桂、13玉、

桂馬の隊列も整った。
後は突撃するだけ。

14香、同玉、26桂、13玉、25桂、12玉、24桂、21玉、22銀成、同玉、34桂、31玉、23桂不成、21玉、
13桂不成 まで57手詰

九段目に桂馬を打つところから始める四桂詰が作者の狙いだろう。
小駒だけでメイン部分は完成しているが、それだけでは満足感が不足するとみて序盤を付け加えたか。
桂馬は1枚は合駒で入手したいと考えたか。

岡田秋葭はこの月に亡くなっており、結果発表は見ていないとのことだ。
享年19歳という。

詰棋めいと第30号で湯村光造は次のように書いている。

岡田秋葭が早世せず、せめてあと十年も生きていれば、図巧を近代化したような作品集を遺したかと思うと誠に残念である。

岡田秋葭に興味を持たれた方は次の情報にアクセスしてみるとよいだろう。

  • 秋葭作品集 (詰棋界第21号1954.8.10)
  • 続秋葭作品集 (詰棋界第23号1955.1.1)
  • 岡田秋葭作品集 田代邦夫編 詰パラ編集部 1971.8
  • 岡田秋葭作品集(via. 詰将棋博物館)

追記(2020.5.14)

  1. 四桂詰タグに純四桂詰を集めてあります。ただし、これは「奇兵隊」の結果稿を書くためのノートなので添川公司「奇兵隊」自体は載っていません。
  2. 第22期塚田賞を受賞した山田修司作は「新々四桂詰」と記憶していたが、「夢の華」#42では「新四桂詰」となっている。さらに岡田秋葭作は「四桂詰」と紹介されている。ここら辺の事情をご存じの方は教えてください。
  3. 鈴木さんの四桂詰を探しているんですが見つかりません。どこに発表されたんだっけ。情報求む。見つかりました。ありがとうございます。

「詰将棋入門(33) 新四桂詰」への1件のフィードバック

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