詰棋書紹介(36)  紅玉

紅玉 小西逸生 1962.9.1 全日本詰将棋連盟事業部

ただし筆者が所持しているのは石沢リコピー版であり、書影は筆者の手作りのもの。

5手詰から15手詰の短編が主体。
大駒をきっちり捨てて仕上げる所謂「手筋物」が100局並んでいる。

「手筋物」とはあまりよいニュアンスの言葉ではない。
使い古された捨駒パターンという意味を含んでいるからだ。

しかしもう少し考えてみる。
なぜ使い古されるかというと、その捨駒パターンが面白いので皆が真似してパクったからということだ。

ということは最初にその捨駒パターンを見つけた人は偉大な作家だということになる。

初めて発表されたときには、きっと新鮮な捨駒としてモンタージュ法を愛する作家達の創作意欲を刺激したに違いない。

しかし、遡って作品を鑑賞する我々にとっては「何度も見た捨駒パターンだ」という印象しか持つことは出来ない。
たとえ飯尾さんのように詳しくデータを調べて、これは当時は新しかったはずだと知識を得たとしても、当時の短評の熱さの理由を想像することは出来ても、自分が感動することは出来ない。

やはり作品との出会いは一期一会なのだ。

筆者がこの作品集に出会ったのが、まだ詰将棋の知識もさほど多くない時期だった幸運に感謝します。(神よ!)

さて、こんなことをつらつらと書いていると誤解を招いてしまいそうだ。
今、解いたら「紅玉」はつまらない作品集なのかと。

そうではない。

最遠移動だ曲詰だシスマンだといった看板をもたない、普通の短編詰将棋にとって、1つの駒の配置、手順の組み立て、解答者の心理を見切る細かい配慮がいかに重要なのかを学ぶのに、小西逸生の作品集を超える物はないと思っている。

紹介する3作はいずれも11手の短編。

解いてみてください。

小西逸生 紅玉 第47番 将棋世界1957.10

小西逸生 紅玉 第50番 近代将棋1958.3

小西逸生 紅玉 第65番 近代将棋1959.5

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